さらに数日後、今日はバレンタインである。
「はい、みんな、チョコよ」
そういって、ボーカロイドごとの箱を指し示すMEIKO。
「今年もだね」
「…たくさん来たな」
それぞれ自分あてのチョコを見てKAITOとレンがつぶやく。KAITOはアイスを初め、比較的甘いものが好きという印象が強いため、甘目のチョコが多く、さらにはおくっている年齢層も高いため、高めのブランド物のチョコが多い。一方レンは、14歳という年齢に合わせて、甘目のチョコが多い。また、レンはファン層が比較的年齢層が低いせいか、小中学生位の年齢の女の子がチョコを送ってくることも多いため、可愛いらしい包装が多い。
「…俺、もっと甘さ控えめな方が良いんだけどな」
「レン君、贅沢いっちゃ駄目だよ」
「でも、甘いのばっかだと飽きるよ」
実はレンは甘さ控えめのほうが好きである。
「レン、それならブラックのコーヒーと一緒に食べたら?中々合うよ」
「…参考にするよ」
一方、女性陣も男性陣ほどではないが、チョコが送られてくる。
「…やっぱり、お酒が入ったチョコが多いわね」
「MEIKO姉様らしいです。…まあ、私もお酒の入ったチョコは多いですけど」
自分あてに送られてきたチョコを眺めるMEIKOとルカ。二人は比較的お酒に強いせいか、お酒の入ったチョコが送られてくる比率が高い。比較的数が少ないのは幸いだった。このチョコレートは未成年である他の4人には食べさせられないからだ。
「…嬉しい、こんなに沢山ある」
「しばらく、お菓子には困らないわね」
ミクとリンが呟く、二人のチョコは、それぞれのカラーに合わせて、ミクあてのチョコはメロン味、リンあてのチョコはオレンジ味が多い。
「うわー、沢山来ましたね。壮観だ」
そのチョコの山を見て雅彦が呟く。雅彦はチョコを食べることを頼まれることが多い。せっかく来たチョコを傷める訳にはいかないからだ。雅彦は甘さにかかわらず、たいていのチョコレートを食べるため、他のボーカロイドから重宝されている。そんな雅彦にMEIKOが近づく。
「…はい、雅彦君」
「…は?」
MEIKOからチョコレートを手渡されて素っ頓狂な声をあげる雅彦。
「あの…、これ…、僕あてですか?」
MEIKOから渡されたチョコレートを見ながら話す雅彦。
「そうよ、雅彦君あてよ」
「何で僕あてのがあったんですか?」
「手紙がついているチョコがあるから、それを読んでみたら?理由が分かるかもしれないわ」
そういわれ、いくつかあるチョコレートの一つについていた手紙を開ける雅彦。そして手紙を読む。
「ええっと…、安田雅彦様、日々研究においてボーカロイドの技術発展に尽力されていることと、初音ミクさんの恋人として、誰よりもミクさんを大切に想われていることへの敬意を表してチョコレートをお送りします。…か」
手紙を読む雅彦。
「雅彦君、良かったじゃない。そういうチョコが来るってことは、あなたの功績が世に知れ渡っている何よりの証拠よ」
「確かにそうかもしれませんが」
雅彦は少々複雑である。雅彦はそもそもボーカロイドではない。確かに世界的なアンドロイド・ボーカロイド研究者として、そしてミクの恋人として名が広く知られているのは雅彦自身も自覚しているが、ボーカロイドに混じってチョコを送られる対象ではないと思っていた。
「雅彦さん、良いことだと思います。チョコを送ってくれた人に感謝して、食べるべきだと思います」
「まあ、感謝はするけど。…ただ、僕にチョコなんか送ってきても、歌は歌えないのに」
そういって複雑な表情でチョコを眺める雅彦だった。
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