「ルカさん、おはようございます」
「雅彦君、おはよう」
ミクが出かけ、他のボーカロイドも全て朝食を食べ終えたあと、タブレットでルカがニュースを見ていると、ようやく雅彦が起きてきた。
「雅彦君、コーヒーも朝食もできているわ」
「はい、では先にコーヒーをいただきます」
そういって、コーヒーと牛乳をマイカップに淹れ、暖める雅彦。そうしている間に、ルカは雅彦の朝食を暖め直したあと、配膳し始めた。暖まったコーヒーを飲んだあと、朝食を食べ始めた。
「雅彦君」
「ルカさん、何ですか?」
「ミクが雅彦君が今日の深夜に起きていたことを話していたわ。そして、ここ数日、雅彦君がずっと遅いということも聞いているわ」
「…そうですか」
「雅彦君」
そういって、雅彦を見つめるルカ。
「雅彦君、ミクはあなたのこと、かなり心配していたわよ」
「はい…」
雅彦も、その自覚はあるらしい。
「雅彦君は、色々とやらないといけないことがあるのは分かるわ。雅彦君の立場は、色々と複雑だから」
「はい、そうですね、僕も世の中を納得させないといけませんから。…本当は、家ではしたくなかったんです。ですけど、大学が認めてくれなくて…」
顔を落とす雅彦。その表情には、苦悩が浮かんでいた。
(雅彦君も、難しい立場なのね)
雅彦の立場を考えるルカ。
「大学でできませんから、家でやらざるを得ないですが、そうすると、空いている時間は、平日の深夜しか無いんです」
「雅彦君なりには考えている訳ね?」
「はい、…一応ですけど」
しばらく黙る二人。
「…きっとミクは、口には出してませんけど、このことで不満に思っていると思います。方やミクには早く寝るようにいっておいて、方や僕が遅くまで起きているのは、どう見たって二枚舌ですからね」
「そうね。きっとミクは不満に思っていると思うわ」
雅彦の推測を肯定するルカ。
「ですよね…」
ため息をつく雅彦。そんな雅彦を見て、何か打開策が無いか考えるルカ。しばらくすると、何か考えたらしい。
「雅彦君、今、雅彦君がしている作業って、誰かと共同でできないの?」
「僕が今やっている作業は、人間がアンドロイドの体を持つことに対するメリットをまとめることです。今は自分の経験談を具体的にデータで出して来て裏付けを取ったり、大学から許可をもらってその辺りに使えそうなデータを整理していますが、まだまだそういうことをまとめることで精一杯で、他に体系的に考えている人がいるのかすら把握ができていない状況です」
「雅彦君、今、あなたがすべきことは、データをまとめることじゃ無くて、雅彦君の味方を見つけることじゃないかしら?」
「味方…、ですか?」
「そうよ、確かに雅彦君の様にアンドロイドの体を持った人間はまだ数的には少ないかもしれないけど、同じことを考えている人が皆無だとは思わないの。そういう人と協力して、作業を分業して行えば、雅彦君の負担も軽くなるんじゃ無いかしら?時間も短くて済むでしょうし」
ルカの言葉を吟味する雅彦。確かに、今まで、データをまとめるのは自分しかできないと思い、半ば使命感に近いものがあったが、アンドロイドの体を持つ人間の立場は厳しいのはアンドロイドの体を持つ人間なら容易に理解できるはずだ。そうであれば、確かに行動を起こしている人間がいてもおかしくない。単独で動いて各個撃破されるより、連携を取ったほうがこの先プラスになるかもしれない。
「…そうですね。分かりました、そっちの方向で少し調べてみます」
その言葉に、笑顔になるルカだった。
「あの、すいません、このことは、できればミクには…」
「分かったわ。いわないでおいてあげる」
「ありがとうございます」
ルカに礼を言う雅彦だった。
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