「でも、こうして会うのも何かの縁です。
 今日はそんなことを忘れて、一緒に宴をしましょう」

 主人はそう言って一番向こうの椅子に座る。

「なら、パーティー!」

「パーティー!!」

 少女人形と少年人形は互いに言葉を復唱した。

 そして、みんなは一斉に言った。

「『歓迎しよう!』」





≪Bad ∞ End ∞ Night No.03【自己解釈】≫






「Hurry,HurrY!!」

 少年人形はどこか壊れたように言う。その声を聞いて小走りで執事がワインボトルとグラスを持ってきた。

「ワインをついで」

 楽しげに、歌を歌うようにグラスにワインを注ぐ。

「いや……、だから私16だからワインなんて……」

「どんちゃん どんちゃん♪」

 気づくとさっきまでお茶を持ってきていたメイドが景気良くワイングラスの中の赤い液体を飲み干しているではないか。メイドの存在意義はどこへやら。

「乾杯しましょう? この楽しい時に」

 そして、村娘に近づいてきたのはドレスを着た可憐な女性。

「あっ、はい……」

 村娘はその気に押されて、乾杯して一口飲む。

「あれ……。けっこういけるかも……?」

「Are you readY??」

「準備はいい?」

 いつの間にか隣にいた――たぶん奥方だろう。主人と仲良く肩を並べていたからだ――女性と少女人形は叫んだ。

 そして、


『「さぁ、はじめよう」』



 村娘は、その声と同時にワインをまた飲んだ。

 そのあとは、ワイン片手に洒落こんで、チェスやら囲碁やらダンスやら、いろいろと宴をした。まさに、主役は村娘だった。

 しばらくして、酔いが回ってきたのか、村娘はへなへなと椅子に座った。

「楽しくなって来ちゃった?
 ……まあ、いろいろと楽しかったもんね。ワインも結構飲んだし。
 もう寝たらいかが?」

 メイドは気づくと、村娘の隣に座っていた。ほかの人間は村娘と離れたところでまだダンスをしていた。オーケストラの立派な音楽が部屋に充満していた。

「眠くなった、とか?」

 今度は少女人形が別の方のがら空きの方の隣に座った。

「いや、ちょっと疲れただけ」

「そうかい?
 でも、まあいいんじゃない?
 まあ歌って、踊りましょうよ。まだ夜は明けないもの。
 それとも、もう寝ちゃう、とか?」

 それを聞いて村娘は首を横に振った。

「いや?
 私は今この時が楽しいんだから、まだまだ遊んじゃうわ。
 歌って、踊って、騒いじゃってさ。もう酸いも甘いも忘れちゃうくらい。
 気が狂っちゃうくらいに、もうどうなるかは、私にもわかんないヨ?」

 村娘は悪魔のように、笑った。何を考えているか、それは誰にもわからないくらいの微笑だった。

「そうなら、いいんだ」

 少女人形はまた壊れたように笑って、

「じゃあ、楽しもう。この夜を、ね」

 エスコートするかのように、村娘に手を差し出した。





つづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Bad ∞ End ∞ Night No.03【自己解釈】

頑張った。なんとか1番終わりまでいけた。

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本家様;http://www.nicovideo.jp/watch/sm16702635

閲覧数:788

投稿日:2012/05/19 17:45:32

文字数:1,255文字

カテゴリ:小説

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