(るか)
――ほんに惚れたはぬしばかりでおざりぃす
(みく)
――憎い御人、エヽモ、どうともしておくんなんし
(りん)
――……なーんちゃって?


ここは吉原仲の町 うた屋に咲きつる二つ華
苦界にありて地獄極楽 匂い立ちたる二つ華

惚れたが末に行き着く先は
離れられないこの身体
三枚布団の上は極楽
会えぬ時間が生き地獄

緋帯ゆらゆら後引いて
「ぬしさん お煙草おあがんなんし」
涙はらはら袖引いて
「ぬしさん わっちゃあ寂しゅうおざんす」

アレサ ぬしさん お疑いなら
小指切りんしょ
御名刻みんしょ
起請も立ててその上で
三羽鴉を殺しんしょ


御職二人と稀なるは うた屋名物二つ華
右手極楽左手地獄 並び立ちたる二つ華

道中姿を一目も見らば
夢に訪う艶姿
あえてひたるは極楽気分
あえておちるは地獄の手管

氷雨しとしと傘さして
「ぬしさん 明日もおいでなんしよ」
小雪しんしん窓閉めて
「ぬしさん お帰し申しんせん」

アレサ ぬしさん お疑いなら
小指切りんしょ
御名刻みんしょ
起請も立ててその上で
三羽鴉を殺しんしょ


(るか)
――慮外ながら憚りながら
(みく)
――哀れがるのはおやめなまし
(るか)
――どうせ咲くなら爛漫に
(みく)
――どうせ散るなら繚乱に
(るか)
――極楽太夫
(みく)
――地獄太夫
(るか・みく)
――それが太夫の ア 張りと意地


馴染みの浮気はご法度サ
客が逃げたぞ ソレ 捕り物だ
大門前でとっ捕まえて
連れて帰ってお仕置きゾ
花魁 ご褒美頂戴ナ


ここは吉原仲の町 うた屋に咲きつる二つ華
苦界にありて地獄極楽 匂い立ちたる二つ華
御職二人と稀なるは うた屋名物二つ華
右手極楽左手地獄 並び立ちたる二つ華


――ソウレ、惣花!
――アーイ


【ひらがな】
(るか)
――ほんにほれたは ぬしばかりでおざりぃす
(みく)
――にくいおひと、ええも、どうともしておくんなんし
(りん)
――……なーんちゃって?


ここはよしわらなかのちょう うたやにさきつるふたつばな
くがいにありてじごくごくらく においだちたるふたつばな

ほれたがすえに いきつくさきは
はなれられない このからだ
さんまいぶとんの うえはごくらく
あえぬじかんが いきじごく

ひおびゆらゆら あとひいて
「ぬしさん おたばこ おあがんなんし」
なみだはらはら そでひいて
「ぬしさん わっちゃあさびしゅうおざんす」

あれさ ぬしさん おうたがいなら
こゆびきりんしょ
おな きざみんしょ
きしょうもたてて そのうえで
さんばからすをころしんしょ


おしょくふたりとまれなるは うたやめいぶつふたつばな
みぎてごくらく ひだりてじごく ならびだちたるふたつばな

どうちゅうすがたをひとめもみらば
ゆめにおとなう あですがた
あえてひたるは ごくらくきぶん
あえておちるは じごくのてくだ

ひさめしとしと かささして
「ぬしさん あしたもおいでなんしよ」
こゆきしんしん まどしめて
「ぬしさん おかえしもうしんせん」

あれさ ぬしさん おうたがいなら
こゆびきりんしょ
おな きざみんしょ
きしょうもたてて そのうえで
さんばからすをころしんしょ


(るか)
――りょがいながら はばかりながら
(みく)
――あわれがるのはおやめなまし
(るか)
――どうせさくなら らんまんに
(みく)
――どうせちるなら りょうらんに
(るか)
――ごくらくだゆう
(みく)
――じごくだゆう
(るか・みく)
――それが たゆうの あ はりといじ


なじみのうわきはごはっとさ
きゃくがにげたぞ それ とりものだ
おおもんまえで とっつかまえて
つれてかえっておしおきぞ
おいらん ごほうびちょうだいな


ここはよしわらなかのちょう うたやにさきつるふたつばな
くがいにありてじごくごくらく においだちたるふたつばな
おしょくふたりとまれなるは うたやめいぶつふたつばな
みぎてごくらく ひだりてじごく ならびだちたるふたつばな


――そうれ、そうばな!
――あーい

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

唄屋二人花魁廓噺(旧:女郎ボカロ。に歌詞つけてみた)

KYさんの
「女郎ボカロ。」
http://piapro.jp/content/6n9asj1oskfkn7pr

を拝見しましてぐぐっときたので走り書きました。
猛ダッシュでした。
すっごく楽しかったです。
なんかもう己の萌えを詰め込ませていただきました!
ごちそうさまでした!
タイトル?なにそれ!

【追記】
流石にあまりにあまりだったので
仮題つけてみました。長いのがすき
「唄屋二人花魁廓噺(うたやふたりおいらんくるわのはなし)」


多分極楽太夫は菩薩のように美しいのでそう呼ばれ
地獄太夫は相手して貰えるなら地獄に落ちても構わないからそう呼ばれたんじゃないかと推測中(お前)
本来禿は花魁一人に二人つくので花魁二人にりん一人じゃ足りない……
男禿もいたのでじつはれんもいるとかいないとか
気持ちだけ!



苦界におちて嘆くより
凛と咲こうとして
或る意味割り切って客を手玉に取る
甲乙付けがたい両太夫、でいかがですか。


イメージ的には勝山太夫と高尾太夫
でも極楽地獄は仲が良さそう
っていうか仲がよければいい!

極楽太夫の禿だったのが地獄太夫で
そのつながり、とか……
ああ、なんかつながった?ない?だめ?


うた屋の楼主はカイト、遣り手がメイk(ガッ)
……いえ、メイコさんはどっちかの間夫で……(それも)


小指も多分自分のじゃない
名前はきっとお風呂入ったら消える系

ちなみに起請文を立てて鴉が死ぬときはこんなとき
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%B7%E8%AB%8B%E6%96%87

多分吉原中鴉の死骸でいっぱいだと思います。
カー。


本来ずっと書きたかった本当の「地獄太夫」はもそっと殊勝なので
この地獄太夫とは別物として見ていきたいところ
あれも書きたいんです……

閲覧数:420

投稿日:2009/11/16 13:58:25

文字数:1,711文字

カテゴリ:歌詞

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