目覚めた時には
私じゃなかった
白くて細い手を
握って開いて
お目覚めですかと
近づく人が怖くって
天蓋のベッドに隠れた
お嬢さま大好きと
子犬の様に寄るメイド
お嬢様守ります
真摯な瞳した執事
ここは何 わたしの夢
昨日までの「私」の
記憶が段々霞んでいく
生きていて代わりに
誰かの優しい声が聞こえた
今日からわたしはお嬢様
朝からドレスを
着慣れずつまづく
手袋付けた手が
優しく抱(いだ)いた
ご無事でしょうかと
微笑む人は婚約者
上品な微笑み見惚れた
お嬢さま離れてと
猛犬みたく鳴くメイド
信じてはダメですと
狂気を孕む目の執事
それは何故 誰もが秘め
昨日までの「わたし」の
ことなど気づかず零れていく
受け止めて代わりに
誰かが嗤った声が消えない
逃げれぬわたしはお嬢様
夢の中「わたし」が手を握る
「あなたに救いがあるように」
懐かしい「私」の姿で
「帰して返して」涙がこぼれた
紅茶でも 傾けては
以前までの「わたし」の
記憶をなぞってこなしていく
受け止める代わりに
大事なあの人どうか守って
今日から「わたし」がお嬢様
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