toekaの投稿作品一覧
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墓石に向かって両手を合わせて
僕は宇宙を考えている
昇る煙を見上げてみても
僕は空しか見えなかった
瞼の裏に見えるのは
佇むあなたの夕映えだった
心が分かんないよ
愛が分かんないよ
愛が分かんないといけないことが
僕には分かんないよ...葬送のうた
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足を伸ばした池のほとりで
夕暮れ 桃色の雲をみてた
不自然に留まる40度の心が
宇宙の外へ広がっていく
風が吹く 葉音に包まれる
光の波束が瞳に集まる
星のシャワーが降り注ぐ
そういうのが全部、宇宙に支配されてる
この景色この匂いこの感覚は
過去にも未来にも存在しない...夕葉のうた
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すべり台に寝転んだ
見上げた青より青い青
どうして僕は生きるんだろうを
噛んで砕いて飲み込んで
君は何を書いているの
何が君を書かせているの
言葉を歌に乗せたなら
何か起こるんじゃないかって
ただそれだけ ただそれだけであれ
どこかに君がいる世界...真空のうた
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目覚めて二十が過ぎたから
何かしないといけないね
雲の流れを思っていたい
ただそれだけをしていたい
優しくなんてしないで
世界はこんなに息つらいのに
あなたはまた世界を創るのですか
どうしてそんなに幸せそうに
残酷なことができるのですか、教えて
どうして僕は生まれたのですか...スイーツ
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目を瞑って 深く潜って
じいと待てば海の底に行けるよ
雨の篠突く冷えた夜
同じ毛布に包まって
君が、教えてくれたこと
嫌なことは忘れて 好きなことも忘れて
君のことだって全部忘れて
海の底は静かで 暗くてあったかくて
君の匂いがしていたんだ
目を瞑って 深く潜って...海底
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この大きな大きな世界の中の
小さな小さな地球に漂う
これまた小さな僕の中には
大きな大きな世界があるんだ
一体全体どうしてだろう
どうしてここにいるんだろう?
理由なんかないんだろう
偶然、奇跡、運悪く、だろう?
希望を与える歌を 誰かを救う歌を
歌にそんな力はないぜ ただの振動だぜ...空と宙
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ここはどこなんだろうね
どこに向かってるんだろうねと
笑う君 夏の空 雲と宇宙
息をするのもあと少し
うたを歌うのもあと少し
未来が在るとは思えないから
物言わず二人歩いたんだ
いつか僕は世界に散らばっていく
この心も記憶も感情も
光と僕らは揺れながら...よるべ
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窓に張り付いている夜は
いつか引き剥がされてしまう
それはカーテンを閉めたって
包まったって 潜ったって!
何もしないで息をしたいのに
何かしないと落ち着かない
僕は眠らない 眠りたくない
明日が来るのを止めるんだ
僕は階段なんか登っていない
円周上を走っている...泥の朝焼け
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例えば雨が上がったり
虹のかかった歌が苦手で
だけどたまには たまには
聴いてみても いいかな
生きることに理由なんかなくて
それは美しいことではないし
でも醜いことでもない
本当に何でもないことなんだ
生きたくて死にたいのが健康な人間だ
風吹く晴れたこんな日は...そらを歩く
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あなたのうたは好きだけど
あなたのことはどうでもいいし
言葉に価値があるけれど
あなたに価値はあるのかな
私に価値はあるのかな
期待するなと戒めたのに
気づいたらまた期待していて
勝手に傷ついて
できるだけ嘘は言わないように
自分に嘘はつかないように...寂しくない。
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今日も一日何もしなかった 布団の上
眠ると明日が来てしまうから 寝てはいけない
考えたくない 何も考えたくない
将来も家族も責任も 自分のことも全部全部
何も考えたくない 考えたくない 消えたい
埋めろ 埋めろ埋めろ埋めろ埋めろ埋めろ 埋めろ埋めろ埋めろ埋めろ埋めろ
考えない時間で埋めろ
消えろ...ぬるま湯
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明るいうたを書きたいな
そう呟いて始まるこのうた
ある日 世界が生まれました
ひとつの世界が生まれました
日は昇って 雨は上がって
愛され恵まれ 暖かさを知りました
いつか僕もと そう思えました
守りたいものが 増えていきました
何かを積み重ねている そんな気でいました
ある日 絶望を知りました...そらのかたち
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あまりにも長い 意味のない旅路
何事かを成したとかいう自欺
線に乗って 空を泳いで ただ歌が咲いていて
他人とかいう背景 別世界
自分とかいう極限 特異点
どうでもよくて
触れているのは歌と空
歌と空だけがあるんだよ
外に出かける 音のない世界
顔にかかる夜風は透明で...夜風
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寒い寒い真夜中に
誰かが歌を歌っている
そこに理由なんてない
ただ美しい 美しい何か
整形されて 直線的で 四角くて 規則正しく 順番通りで しあわせな 愛を愛して 感謝を尊び やさしさ溢れる 未来があって 死を悼んで あたたかい
そんな歪んだ世界に咲いている
理由のない美しい何か
寒い寒い真夜中に...まよなかのうた
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どうでもいいの 昼下がりは苦しくて
どうでもいいの 静かな夜は許されて
吐き気の続く気持ち悪さ どうでもいいの
消えることない罪悪感 どうでもいいの
広く暗く 音のいない 安らぐ時間
生まれた時から課された責任 どうでもいいの
宇宙が 音が 重力が 気になるの 心踊るの
ありもしない未来の準備...木の葉
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この世界に拉致されて
何も知らないまま生かされて
勝手に幸せを押し付けられて
今度はお前の番だとは
なんだかなぁ なんだかなぁって
今日も苦しい昼下がり
怒ってもいいですか
君よりも大変な人はたくさんいるよ
怒ってもいいですか
誰のおかげで生きてると思ってるの...怒り
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夏 朝 君は手、離して言った
世界に本当(ほんと)はあるのかなと
すぐそこに終わりがあるよね 美しいよね
歩く君は雲を撫でて
そう君は笑った
考えないで心を言葉を将来を理由を
音に乗せてと
そう君は歌った
何でもない世界に娯楽を悲しみを救いを
意味を涼風(すずかぜ)に乗せて...夏の涼風
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雲を裂く鳥、言葉を知って
明日を知らずに永遠を生きて
山の端に落ちても、明るい空で
ただ夕暮れを待つためだけの退屈な時間に
どれだけも伝えられなくて
伝えたいものがあるかも 分からないまま
無音の部屋一人で
考えている
雲を裂く鳥、言葉を知って
詩をつづって、神様を探して...山の端、言の葉
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ふと雨の匂いがしたんだ
今日いなくなるんだと、分かったんだ
空は淡く 雲は薄く 雨が踊る
外に出よう この時空の向こう側に
旅をしよう いつ始めてもいい旅を
戻らない旅を
窓を開けるとつながった
あの灯台まで行こうか、行けるかな
空は淡く 雲は薄く 雨が踊る
あの鯉は どこへ向かっているんだろう...五月の鯉登り
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日暮れ時、木があった
緑色の苔茂る、小さな神社の中、その木はあった
木のそばに人がいた 白髪の老人だった
人は祠の脇に腰を下ろしていた
何をしているのだろうか
何も、していないのだろうか
何を思っているのだろうか
話しかける勇気はなかった
遠巻きに眺め、考えていた
薄暮の中、猫がいた...日暮れ、宵
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財布を裂いてさ、靴を脱いでさ
あの歩道橋に行こうよ 理由はもういいよ
ベッドから棺へそして壺へ
突然だった 突然君はいなくなったんだ
昨日の何もかもがそのままだよ ひとつを除いて
自分は忘れていないんだって、
自分だけは忘れていないんだって驕っていたけれど
それでもさ、鳥肌が立ったんだ
泣かずにはい...美しい世界
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ラテ
甘く ほろ苦い後味と
空が明け 頭に残る疼痛は
世界が回っているからか
確かに告げる さえずりと
雲の向こうの 想像の朝焼けは
世界が動いているからか
何処へ行くのか
何処から来たのか
それならさ 僕は溶けていたい...ラテ