日々妄想を文章にしています。 妄想・・・いえ、想像たくましいです。 甘やかされるよりは甘やかしたい人(だと自分では思っている) (追記) 約一年ぶりに活動再会という名の復活を果たしました。 以前のような更新ペースは守れないかもしれませんが、見捨てないで下さると嬉しいです。 無言で消えて、申し訳ありませんでした。
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「女王陛下からの招待状っス。確かに渡したっスよ。」
ひらひら、と『庭師』はパールに向かって何も持っていない手を振ってみせる。
「そろそろ仕事に戻らにゃならんっス・・・鋏を取ってもいいっスか?」
言いながら、答えを聞く前に『庭師』は鋏を手にしている。
このマイペースぶりがパールの気に触るのだろうか?青...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 25 『Dolore』
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悲鳴のように飛び交う剣戟。
打ち鳴らされる、剣と戦斧と仕込み杖。
決して崩れぬ世界の一部となったかに見えたそれは、徐々に乱れを見せ始めていた。
マーチが、押され始めたのだ。
ダイナの的確な援護にも拘らず、その身には無数の傷が刻み込まれ、インディオ風の衣装のあちらこちらに緋色を滲ませていた。
ダイナ、...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 24 『Cavaliere&Giardiniere』
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ノエルは、一度森の向こうで待機している面子を迎えに木々の間に消えていった。
なんでも、ノエルはこの『物忘れの森』の領主であるそうで、森の入り口から出口まで彼女と同行すれば記憶を失うことはないのだという。
この森の厄介なところは、一度入り口を潜ってしまうとランダムにかなり深いところまで転送されてしまう...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 23 『Paura』
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「んー・・・・・・。」
「どうした?」
頭の上の帽子に、指先で触れる。
『帽子屋』の『欠片』を収納した、『虚帽子』に。
「いや、僕も帽子の中に取り込まれるかと思ったけど、そんなことはなかったからさ。」
ふぅ、とパールの隣を歩いていたメアリ・アンがため息をついた。
なにやら、こちらを月曜の次の曜日が判...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 22 『Cerbiatto』
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あの後、バンダースナッチが僕の尻尾にまとわりついて離れないわ、メアリ・アンがバンダースナッチに銃を向けようとするわ、それに怯えたバンダースナッチが尻尾を思いっきり握りしめるわ、ようやっと追いついたパールがそれを見て思いっきりバンダースナッチを睨みつけるわ、アマルがそれを見てくすくす笑っているわで、結...
欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 21 『Teaparty arrabbiato』
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ちりん
外で、鈴を鳴らすような音がした。
「どうやら、客人のようだな少年。『欠片』ならば重畳。敵ならばこちらから撃って出る、またとないチャンス。」
にやり、と笑うダイナ。
その極悪人の笑みが凛歌の面影を多分に残していてひどく懐かしかった。
「帯人、預ける。」
ぽん、とダイナが僕に向かって、何かを放り...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 20 『Bandersnatch』
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「見えたか?少年。」
気がつくとダイナが、真正面から僕の顔を覗き込んでいた。
僕の掌の中には、変わらず黒緑色の卵がある。
しかし、その卵は僅かの間に存在感を増したような気がしていた。
「アレが、当面の敵だ。月隠 凛歌にとっては、非常に分の悪い相手となる。・・・・・・少年よ、アマルはどうやって、お前の...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 19 『Base』
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「人間が、嫌いかい?」
やけに色の濃い桜の中から現れたそいつは、そう、言った。
「誰だ、お前。」
「ふむ、自分より遥かに大きな大人に対しても物怖じしないその態度・・・まずは、合格だ。」
「誰だ、と聞いている。」
苛立ちを抑えて、もう一度問う。
新入中学生だからって、舐めるな。
「これはすまなかっ...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章・間章 『Maestro』
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あの後、その場で『人柱アリス』についての予測が始まりそうになったが、結局のところ、起こるまで分からないし、それよりは凛歌の欠片を探していった方が建設的だという結論に落ち着いた。
さくさくと、砂を踏みしめる。
青い海、白い砂浜と言えば夏の定番だが、海は暗々しく蒼く、白い砂浜は妙に硝子質で無機質。
おま...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 18 『Uovo』
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「・・・・・・しかし、来てしまったものは仕方ない。頼んだぞ帯人。『チェシャー・キャット』。」
ほふ、とため息をつくパール。
もしかしたら、苦労人なのかもしれない。
しかし、今、妙なことを言わなかったか?
「チェシャ猫・・・・・・って、誰のこと?」
まさかアマルが・・・いや、しかし、パールに耳がある以...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 17 『Gatto Cheshire』
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ひとしきり叫んだ誰かは、ほふっ、とため息をつく。
仰々しい演出が、自分で馬鹿らしくなったのかもしれない。
「本当につれてきたのか、アマル。」
こつん、と白いブーツが一歩、近づく。
首を捻って見上げると、白いワンピースの裾と、腰部にベルトで吊り下げられた玩具のように小さな二丁拳銃、淡いピンクのカーディ...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 16 『Conigilio bianco』
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冷たい。
無限にある極小の針が、全身に突き刺さり、侵入してくるような冷たさ。
そして、耳の痛くなるような、静寂。
こぽこぽと口元から気泡が漏れる音以外、なんの音も無い。
あの後、部屋を出るとすぐ前に降りの螺旋階段があった。
アマルが言うには、『初歩的な魔術の行使法を覚えた結果、無意識に意識の最下層へ...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 15 『Paese delle meraviglie』
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今回の話は残酷表現を含むので、ワンクッション置きます。
OKだよ!
大丈夫だよ!
違反通報しないよ!
・・・・・・な方のみ、先にお進みくださいませ。
欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 14 『Successione』
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「勿論、そこにいる『凛歌』は実体じゃない。そこにいる『凛歌』も、この部屋も、全て僕の記憶を『夢』という形で再現しているにすぎない。」
ひどく冷静な声が背後から聞こえる。
『僕』だ。
僕の隣に並び立ち、愛おしげに『凛歌』の髪を撫でる。
「僕が愛した『凛歌』は故郷の土に還った。今の三重県だね。彼女の一族...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 13 『Augurio』
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『チェシャ猫、チェシャ猫、アリスを探せ
国境(くにざかい)の門が開いた
ここはお前のための国
読者がお前に付き添いゆこう
白兎をに導かれ
記憶の卵を割り砕け
怯えるバンダースナッチを捕まえろ
諦念の帽子屋が茶会を開く
誇り高き三月兎を懐柔せよ
現実無くした眠りネズミを揺り起こせ...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 12 『Se stesso』
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クロックと打ち合わせののち、『工房』でスタンバイしていると、壊しそうな勢いでドアが開く。
青ざめた顔の、帯人だ。
酷い格好だった。
何があったのか眼帯は外れ、カッターシャツの背中は無数に引き裂けて血が滲んでいる。
「おじ、さん・・・。」
ふらふらと覚束ない足取りの帯人の肩を、クロックが支えてソファー...欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 11 『Porta』