アリス・ブラウ
ピアプロID: awyvern
日々妄想を文章にしています。
妄想・・・いえ、想像たくましいです。
甘やかされるよりは甘やかしたい人(だと自分では思っている)
(追記)
約一年ぶりに活動再会という名の復活を果たしました。
以前のような更新ペースは守れないかもしれませんが、見捨てないで下さると嬉しいです。
無言で消えて、申し訳ありませんでした。
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最近の投稿作品 (56)
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 25 『Dolore』
「女王陛下からの招待状っス。確かに渡したっスよ。」
ひらひら、と『庭師』はパールに向かって何も持っていない手を振ってみせる。
「そろそろ仕事に戻らにゃならんっス・・・鋏を取ってもいいっスか?」
言いながら、答えを聞く前に『庭師』は鋏を手にしている。
このマイペースぶりがパールの気に触るのだろうか?青筋が増えている。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 24 『Cavaliere&Giardiniere』
悲鳴のように飛び交う剣戟。
打ち鳴らされる、剣と戦斧と仕込み杖。
決して崩れぬ世界の一部となったかに見えたそれは、徐々に乱れを見せ始めていた。
マーチが、押され始めたのだ。
ダイナの的確な援護にも拘らず、その身には無数の傷が刻み込まれ、インディオ風の衣装のあちらこちらに緋色を滲ませていた。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 23 『Paura』
ノエルは、一度森の向こうで待機している面子を迎えに木々の間に消えていった。
なんでも、ノエルはこの『物忘れの森』の領主であるそうで、森の入り口から出口まで彼女と同行すれば記憶を失うことはないのだという。
この森の厄介なところは、一度入り口を潜ってしまうとランダムにかなり深いところまで転送されてしまうそうで、それもノエルと一緒なら起こらないのだとか。
『ラビット・フット』でここまで来たパールと、やや暫くして合流したアマル・・・アマルは、例外的にこの世界のあらゆるマイナスの影響を受けないのだとか・・・が、わきゃわきゃじゃれ合っている。
やれミニハットのリボンが解けただの、やれ耳にテントウムシが止まっただの・・・要するに、ヒマなんだろう。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 22 『Cerbiatto』
「んー・・・・・・。」
「どうした?」
頭の上の帽子に、指先で触れる。
『帽子屋』の『欠片』を収納した、『虚帽子』に。
「いや、僕も帽子の中に取り込まれるかと思ったけど、そんなことはなかったからさ。」
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 21 『Teaparty arrabbiato』
あの後、バンダースナッチが僕の尻尾にまとわりついて離れないわ、メアリ・アンがバンダースナッチに銃を向けようとするわ、それに怯えたバンダースナッチが尻尾を思いっきり握りしめるわ、ようやっと追いついたパールがそれを見て思いっきりバンダースナッチを睨みつけるわ、アマルがそれを見てくすくす笑っているわで、結構な時間が経過したことだけは記録しておく。
明らかに機嫌の悪いパールのナビで迷路庭園に足を踏み入れ、一時間ほど歩いた場所。
迷路が切れて、少し開けた小さな広場に、彼女等はいた。
まず、目に入るのは大きなテーブル。
そして、大量のティーセット。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 20 『Bandersnatch』
ちりん
外で、鈴を鳴らすような音がした。
「どうやら、客人のようだな少年。『欠片』ならば重畳。敵ならばこちらから撃って出る、またとないチャンス。」
にやり、と笑うダイナ。
その極悪人の笑みが凛歌の面影を多分に残していてひどく懐かしかった。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 19 『Base』
「見えたか?少年。」
気がつくとダイナが、真正面から僕の顔を覗き込んでいた。
僕の掌の中には、変わらず黒緑色の卵がある。
しかし、その卵は僅かの間に存在感を増したような気がしていた。
「アレが、当面の敵だ。月隠 凛歌にとっては、非常に分の悪い相手となる。・・・・・・少年よ、アマルはどうやって、お前の精神を見つけたと思う?」
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章・間章 『Maestro』
「人間が、嫌いかい?」
やけに色の濃い桜の中から現れたそいつは、そう、言った。
「誰だ、お前。」
「ふむ、自分より遥かに大きな大人に対しても物怖じしないその態度・・・まずは、合格だ。」
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 18 『Uovo』
あの後、その場で『人柱アリス』についての予測が始まりそうになったが、結局のところ、起こるまで分からないし、それよりは凛歌の欠片を探していった方が建設的だという結論に落ち着いた。
さくさくと、砂を踏みしめる。
青い海、白い砂浜と言えば夏の定番だが、海は暗々しく蒼く、白い砂浜は妙に硝子質で無機質。
おまけに、酷く寒かった。
パールが、懐を探って小瓶を取り出す。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 17 『Gatto Cheshire』
「・・・・・・しかし、来てしまったものは仕方ない。頼んだぞ帯人。『チェシャー・キャット』。」
ほふ、とため息をつくパール。
もしかしたら、苦労人なのかもしれない。
しかし、今、妙なことを言わなかったか?
「チェシャ猫・・・・・・って、誰のこと?」
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 16 『Conigilio bianco』
ひとしきり叫んだ誰かは、ほふっ、とため息をつく。
仰々しい演出が、自分で馬鹿らしくなったのかもしれない。
「本当につれてきたのか、アマル。」
こつん、と白いブーツが一歩、近づく。
首を捻って見上げると、白いワンピースの裾と、腰部にベルトで吊り下げられた玩具のように小さな二丁拳銃、淡いピンクのカーディガン、胸元にペンダントのように吊り下げられた懐中時計が眼に入る。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 15 『Paese delle meraviglie』
冷たい。
無限にある極小の針が、全身に突き刺さり、侵入してくるような冷たさ。
そして、耳の痛くなるような、静寂。
こぽこぽと口元から気泡が漏れる音以外、なんの音も無い。
あの後、部屋を出るとすぐ前に降りの螺旋階段があった。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 14 『Successione』
今回の話は残酷表現を含むので、ワンクッション置きます。
OKだよ!
大丈夫だよ!
違反通報しないよ!
・・・・・・な方のみ、先にお進みくださいませ。
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 13 『Augurio』
「勿論、そこにいる『凛歌』は実体じゃない。そこにいる『凛歌』も、この部屋も、全て僕の記憶を『夢』という形で再現しているにすぎない。」
ひどく冷静な声が背後から聞こえる。
『僕』だ。
僕の隣に並び立ち、愛おしげに『凛歌』の髪を撫でる。
「僕が愛した『凛歌』は故郷の土に還った。今の三重県だね。彼女の一族が祀っていた、月の神の神社がある場所。そこに、眠ってる。・・・・・・失われた、左腕以外はね。あれは、どこかに吹き飛ばされて見つけることが出来なかった。」
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 12 『Se stesso』
『チェシャ猫、チェシャ猫、アリスを探せ
国境(くにざかい)の門が開いた
ここはお前のための国
読者がお前に付き添いゆこう
白兎をに導かれ
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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 11 『Porta』
クロックと打ち合わせののち、『工房』でスタンバイしていると、壊しそうな勢いでドアが開く。
青ざめた顔の、帯人だ。
酷い格好だった。
何があったのか眼帯は外れ、カッターシャツの背中は無数に引き裂けて血が滲んでいる。
「おじ、さん・・・。」