タグ:インタネ一家
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庭の植物たちは素直にすくすくと上へと育っていく。その伸びて行く先に何か障害があったとしても、柔軟に避けて、そしてまた上へと伸びて行く。自分は何で植物のように行かないのだろう。愚鈍なまでに真っ直ぐに、言わなくても良い事まで行ってしまうほどにまっすぐにしか、進めないのか。
そして失敗したと、間違えた...今日の夕ごはん・6
sunny_m
理解不能だというようにリリィは首を振って、何で笑ってるのお姉ちゃんと怒りの声をあげた。
「そんな、笑う様な事じゃないでしょ?彼氏と別れたって、そりゃあ私たちと年齢だと大したことじゃないかもしれないけど。でも笑って話す事でもないよ。なんで、そんな風に笑ってるの?」
怒りのままに言葉を連ねたリリィに、...今日の夕ごはん・5
sunny_m
いつもよりも早く家に帰ると、誰も姿もそこには無かった。きっとグミはがちゃ坊を連れて買い物にでも行っているのだろう。今日の夕飯はグミの当番だ。そして自分は洗濯物を取り込んだりしないといけない。けれど、気分がのらない。
テレビをつけてむっつりとそれを眺めていると、ほどなくしてグミとがちゃ坊が帰ってき...今日の夕ごはん・4
sunny_m
自分でも気が強い方だと、リリィは分かっていた。間違いをまちがいのままにできない、頑固さがあると、自分でもよく分かっていた。だからこういう役回りを押しつけられてしまうのも、うんざりはするけれど、仕方が無いことだと思っていた。
それは他愛のない諍い。合唱コンクールの学校代表に選ばれたリリィのクラスは...今日の夕ごはん・3
sunny_m
レンコンのきんぴら、茹でた枝豆、味噌味の肉野菜炒め、ぬか漬けのきゅうりと茄子、白いご飯、そしてイワシのつみれ汁。いただきます。と兄妹4人そろって手を合わせ、そしてめいめいおかずに箸を伸ばす。
火が通って甘くなった玉ねぎというのは美味しいと思う。それに少し漬かり過ぎた感じのあるぬか漬けきゅうりも。...今日の夕ごはん・2
sunny_m
―絶対なもの。
だし巻き卵。遠く高い澄んだ青空。ふわふわのシフォンケーキにホイップクリーム、それにお砂糖一つ分のコーヒー。水撒きした庭からやってくる湿った風。
絶対なもの。
お兄ちゃん、お姉ちゃん、がちゃ坊。
ごりごりごり、とがちゃ坊がひたすらにすりこぎですり鉢の中身をすりつぶしていた。ごり...今日の夕ごはん・1
sunny_m
顔を地面に強打したがちゃ坊がそのままの恰好で、うううと唸っていると、ガチャ坊、どうしたの?とよく知っている声が響いた。
「こんな時間にひとりでどうしたのよ。」
釣り目気味の瞳をぱちくりと瞬かせて次姉のリリィがそこに立っていた。学校帰りなのだろう、まだ制服姿で大きな鞄をその肩にかけている。
もうこ...母の日のぼうけん・6
sunny_m
「ありがとう。」
がちゃ坊が差し出したカードを笑顔で受け取って、だけどそうしたらあともう一つ必要なのね。と女の子は再び考えるようにうつむいた。と、次の瞬間。何かを思いついた様子で女の子はぱっと顔をあげた。
「あ、それじゃあ庭のお花はどうかな?」
明るい表情でそう言って、女の子は窓の外へと視線を向けた...母の日のぼうけん・5
sunny_m
気がつくと歌声が重なっていた。
自分と違う女の子の声だった。小さな歌声と共に、こつこつという石畳の上を歩く靴の音も響いていた。その歌声をもっとよく聴こうと、がちゃ坊は歌うのをやめて、真っ白い靄の中に視線を向けた。
と、相手の歌声も止んでしまった。不意にがちゃ坊が歌うのをやめたせいで相手もがちゃ...母の日のぼうけん・4
sunny_m
誰かに家に帰る道を訊きたいけれど、だれも通らないんじゃあどうしようもないや。とがちゃ坊は半ば開き直った気分でその場に座り込んだ。ずっと歩き回っていたせいで、少し疲れていたのだ。それにおやつを食べ忘れたせいでお腹もすいている。
ぽっけに何か入れていなかったかな。とカーネーションを入れていたのと逆の...母の日のぼうけん・3
sunny_m
「ひゃくえん」
百円と言ったら、小学1年生には大金だ。というか、がちゃ坊のお小遣いは毎週七十円である。この間もらったばかりだけど、とそっとお財布の中身を覗いてみたがやっぱり七十円しか入っていない。
百円、ないとカーネーションは買えないのだろうか。どうしよう。おろおろと泣きだしそうな様子で眉をハの字...母の日のぼうけん・2
sunny_m
「明日は母の日ですから、おかあさんに母の日に毎日の感謝の気持ちを送りましょうね」
授業が終わったあとのホームルームの時間。担任の先生が連絡事項の最後にそう言った。
その言葉に、児童たちが、はーい、と元気よく返事をする。周囲のクラスメイト達の元気な返事に、少し首をかしげながらも、はーい、とがちゃ坊も...母の日のぼうけん・1
sunny_m
我が家の朝は、おみそ汁の匂いで始まる。
その小さな子供は、もふもふと暖かな布団にくるまりながら階下の台所から漂ってくるおみそ汁の良い匂いを嗅いでいた。夢と現実の境目を行ったり来たりする、心地よい瞬間。今日のおみそ汁の具は何だろうな。とそんな幸せな疑問を思い浮かべつつ、あともうすこし、とお布団の中...ある日の朝
sunny_m