とうの。さん

とうの。さん

hureira_chronicle

基本的に物書きでございます
短い歌詞や小説を中心にちまちま創作しながら、色々な方の作品を楽しみたいと思ってます

この素敵アイコンはなつめ亜佐様に描いて頂きました!

twitterやってますのでよろしかったら
https://twitter.com/littlered0215

もっと見る

ピアプロバッジ

フォロー(17)

  • まるま
  • api
  • 由杞
  • 木村和月
  • kanpyo
  • 口天RIRI
  • 雪りんご*イン率低下
  • ことは
  • 碧井 廃音 作業消化中
  • hazre
  • まい
  • Turndog~ターンドッグ~

フォロワー(8)

  • kanpyo
  • まるま
  • 木村和月
  • 碧井 廃音 作業消化中
  • まい
  • 澤木淳枝
  • Turndog~ターンドッグ~
  • しるる

作品に付けられたタグ

イチオシ作品

【小説】Guild!!! 1-8

その部屋は、暗かった。 光の射さない暗い部屋。湿った石床。壁には深く鉄の輪が打ち込まれ、何本もの鎖がそこから伸びている。 一様に無骨な鎖は、部屋の中央の「それ」に繋がっていた。否、繋がっているなどと生易しい状況ではすでにない。 軽く10本を超える鎖は、部屋の真ん中にある「それ」を…1人の少女を、縛り上げて絞め殺そうとしているかのようだった。 石床に力なく転がった肢体は華奢な少女のそれ。元は美しかったのであろう、絹やレースをふんだんに使った豪華なドレスは見る影もなく破れ、千切れ、残骸があちこちに散らばっている。大輪の花のような金髪が、乱れもせず滑らかに輝いているのが逆に不自然…と言うよりも。 手を、足を、首を、胴体を。余すところなく鎖で縛りあげられ、まとった衣服は既にボロボロだと言うのに、それでも尚、体に傷一つなく髪の毛も美しいままである、という事実は…不自然を通り越して異常だった。不気味ですらある。 まるで、少女の体だけは見えない何かに包まれているかのごとく。 さながら、少女をたかだか10本程度の鎖で拘束すること自体が愚かだと哂うかのように。 異様な少女は、床に頬を押しつけた姿勢のまま、ゆっくりと口を動かす。 喉が潰れたカナリアのような声で紡ぐのは、ただ1つの名前。 彼女が心の底から願う、ただ1人の名前だった。 「…レ…ン…」 ******************** すうすうと静かな寝息が聞こえてくるのを捉えながら、私は浅く潜水と覚醒を繰り返すまどろみの中にいた。 レンくんは私が眠ってしまったと思いこんでいたようだけれど(実際、話をするのも少し気まずい空気だったから寝たふりを決め込んだのだけれど)、私は仕事中は必要最低限の睡眠しか取ることはない。 そもそも、眠い、という感情とほとんど無縁の体をしているからだ。…比喩ではなく、私は、睡眠欲と言うものを滅多に感じない。 だからこれも、無駄に起きてエネルギーを消費するよりは少しでも体を休めようという、その程度の休息でしかない。 それ故に。 私は、静かな暗闇が静かに破られる感覚に、ゆっくりと目を開けた。 闇の更に奥、近づかないようにしていた森の中から、確かに視線を感じる。 10や20ではきかない…恐らくは何らかの大群。しかも大型の獣の、だ。 ブラック・ウルフ。真っ先にその名前が思い浮かぶ。青の山脈の近辺に生息する、このあたりでは食物連鎖の頂点に立つ獣の名前だった。 この時期はまだ高地で生活しているはずなのだが…計算が甘かったらしい。 杖を掴むと同時、素早く身を起こす。東西南北に配した結界石がちゃんと機能していることを目で確認すると、私は迷うことなく杖を頭上高く掲げた。 「フィア!」 短い詠唱は、ごく単純な光を生む魔法。杖の先から生み出された光球が空高く打ち上げられ、真昼の太陽のように辺り一帯を照らし出す。 その光にびくりと起き上がったレンくんを横目で確認した瞬間、気配を感じていた森の中から、雪崩のようにブラック・ウルフが飛び出してきた! 「ミクさん、何して…て、うわぁ!!?」 「そこから動かないで!」 ぴしゃりと言い切ると、私は掲げていた杖の先を、軽く地面に打ち付けた。 同時に鳴り響く、薄氷を砕くような澄んだ音色。 「黒 白 琥珀の音色 氷の響きに車輪が踊る」 黒い狼達が迫りくる。その血に飢えた目をひたと見据えて言葉を綴る。 大地を叩いた震動は音に変わり、増幅され、結界石の外の地面を津波のように巻き上げる! 「狂奏曲第12楽章 『デュランダル』!」 唱え終わった瞬間、膨れ上がった魔力が大地の内側から爆発した。 吹き飛ぶ大地に巻き込まれる狼達。その様子を注意深く見守りながらも、私は、尚杖の先を数回地面に打ち付ける。 繰り返し、繰り返し、吹き飛ぶ大地。びりびりと、結界石で守られたこちら側にも震動が伝わってくる。 爆発が収まる頃には、平坦だった大地は隆起し、岩が転がり、獣の体が転がる荒廃した風景に変わっていた。 「…ミクさん、あの…」 「…ブラック・ウルフの群れが襲ってきたの。普段だったらもっと高い所にいるんだけど、下に降りてきてたみたい」 「ブラック・ウルフ?」 「モンスターじゃなくて、普通の獣。でも、人間と同等かそれ以上の知性を持つって言われてるの」 運が良かった、と、内心胸を撫で下ろす。これが昼間で、移動中だったりしたら…どうなっていたか。 まだ油断せずに、転がる狼達と森の奥を見つめていると、やがてゆっくりと、森の中から更に一頭の狼が姿を現した。 その体は他の狼達よりも一回り小柄だったが、体全体から放出されている殺気はどの狼よりも強い。 「あれがこの群れのリーダーね…」 杖を構え直す。すると、狼は20m程離れた所で立ち止まって、一声鋭く鳴いた。 空を裂く遠吠え。長く、長く続いたそれの残響が消えると同時、狼の体の輪郭がぼやける。慌てて目をこらすが、矢張り狼の体は奇妙にぼやけ、薄れ…その姿に、人の輪郭が重なった。 まるで、獣から人に変化しようとしているかのように。 そんなことを思い、背中に氷を突っ込まれたような悪寒が走る。 狼と人。両方の姿を取る、モンスターでも獣でもない、異質な存在… 「ま、さか…」 呟く。その呟きが聞こえているかのように、狼はまた一歩を踏み出した。 否。その姿は、既に狼ではない。 しなやかな足が大地を踏みしめる。腰まで流れる髪の毛は金色。瞳の色も同じく金。レンくんと同じ色だが、「彼女」の方がわずかにその色は濃いようだった。 そう、「彼女」。 人の姿をした、狼と人の間を行きつ戻りつする「彼女」の正体は… 「…人狼…?」 「ジンロウ?」 「狼人間のことだよ。でも、まさか、実在したなんて…!」 目を見張る私に、皮肉っぽく口角を吊り上げて、彼女は結界から10m程離れた所で立ち止まった。鋭く尖った犬歯を覗かせながら、声を張るでもなく言葉を発する。 「なかなか強いじゃん。あんた、魔術師だったんだな」 「…どういたしまして。あなたは…人狼なの?」 「無粋な呼び方すんなよ。あたしはウルフ・クロノスのリリィ…一応、今はこいつらの頭みてぇなことをやってる」 リリィはこいつら、と、狼達を顎でしゃくる。その飄々とした言葉とは裏腹に、殺気は少しも衰えることはなかった。当たり前だが、敵認識は変わらないようだった。 人狼…彼女の言葉を借りるなら、ウルフ・クロノス。彼等は人と狼の間を自由に行き来し、人よりも何倍も長命で、その思考能力は全生物の中でもトップクラスだと言われている。神話にも登場している、文字通りの神と同等の存在だ。 今は結界石によってリリィはこちらに入って来れない。でも、このままここで彼女が諦めるのを待って籠城する訳にはいかないのだ。 忘れてはいけない。ここは、荒野の真っただ中。朝日が昇るまでに彼女を何とかしなければ、あの灼熱の太陽で私達は半強制的にやられてしまう。 つまり、私は今ここで、彼女を何とか撃退しなければならない… ぐ、と体に力を込める。リリィから目を離さないまま、体を巡る魔力を練り上げ始める。 どこまで魔術が通用するかは分からない。でも、彼女があくまでも「実体」を持つ生物だと言うのなら、幾らでも手の打ちようはある。 こちらが攻撃してくる気配に気付いたのか、リリィも表情をかき消して僅かに姿勢を変える。 風が凪ぐ。淀む空気をかき回すように、私の体から漏れ出した魔力が僅かに風を起こす。 私が呪文を紡ごうと口を開いた、その瞬間。 「あの!」 震えながらもはっきりと響いた声に、私とリリィは同時にそちらを見た。 レンくんを見た。 レンくんは、体を小さく震わせ、青ざめた顔をしながらも、まっすぐにリリィを見つめていた。 <NEXT>

リリィ登場!
投稿日時 : 2012/07/19 10:58

最近の投稿作品 (20)

まだ誰からも使われていません

何もありません

何もありません

▲TOP