鏡音ーズ大好きです。超大好きです。 どっちのが好きかって言われたら僅差でリンちゃんです。
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暗い夜空に小鳥を放すと、瑠璃の小鳥は空に向かって一直線に飛び立って、暗い空の中に溶けて行った。りんはひととき、その姿を目で追って、空を見上げて立っていた。
そして、戻ろうときびすを返したところで、それを見つけた。見つけてすぐに、顔色を変えて走り出した。
息せき切って、人ごみをかいくぐり、時にぶ...狭い小鳥の籠の中にて 最終話
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(どうして、こんなに周到に準備ができているのだろう)
上手く考えられない頭で、りんは部屋に並べられた白い粉を見つめていた。酒に溶かす眠り薬だというそれを、みくはどこで手に入れたのだろう? いつの間に手に入れたのだろう?
薄っすらとはそういう疑問は頭に浮かんだけれど、よく考えられない、何も難しい...狭い小鳥の籠の中にて 第九話
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みくが歩きたいというので、何も考えずついて来た。何も考えず、というよりも、何も考えられず、と言った方が正解かもしれない。りんはまだ、廉の死亡の報の衝撃から立ち直っていなかったし、物事を上手く考えられなかった。ただそこに、一つだけ「敵討ち」という言葉だけがあって、それだけを頼りに、なんとか生を保って...
狭い小鳥の籠の中にて 第八話
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「綺麗」
小鳥の籠の水を替えながら、りんがしみじみとそう呟いたので、みくは苦笑した。りんは随分かいがいしく、小鳥の世話をしているようだった。
「気に入って、良かった。きっと殿も喜ぶよ」
「殿って、この前の?」
「そう。このお店の一番の上客。私のお客さん」
「ふうん。お似合いでしたものね」...狭い小鳥の籠の中にて 第七話
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日は既にもう、かなり落ちていた。りんは小走りに、人の行きかう道中を廓に向けて進んでいた。薄暗い夜の始まりに、道行く人の中にもまばらに提灯の明かりをつける人もいて、そこだけ浮かび上がるように明るく見える。足元の暗いのに注意を払いながらも、小柄なりんは、人々の間をすり抜けるようにして、込み合う道でも割...
狭い小鳥の籠の中にて 第六話
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りんの様子に覇気がないと、みくも気がついたしはくも心配そうにしていた。それは、先日の手紙の一件があったからだと、原因は知れていたけれど。
廓に来てからこれまで、りんは自分でも心の底で薄々悟っていたことを必死に打ち消して、自分はここから抜け出して廉のもとに絶対戻るのだと自身に言い聞かせて、敢えて強...狭い小鳥の籠の中にて 第五話
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「今日はみく姐さん宛になにか来てますか?」
はくが声を掛けると、取次ぎの男は苦笑して頷いた。
「たくさんあるよ。流石初音太夫。……あと、新しい『妹』の子にも一通来ているねえ。ついでに持って行って貰えるかい?」
「はい」
みく宛の、大量の手紙を手渡されて、はくは毎度の量の多さに感心しながらそ...狭い小鳥の籠の中にて 第四話
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「あたし宛の手紙は?」
りんが廓の入り口にいる取次番の男に声を掛けると、男は思い出そうとするかのように、まじまじとりんの顔を見た。
「ええと、すまん。誰だっけか」
「おりん」
「ああ、新入りのじゃじゃ馬だ。最近騒ぎを起こす事もなくなったなあ。みくさんに良く仕込まれたんだろ」
そんな男の軽...狭い小鳥の籠の中にて 第三話
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華やいだ楽が奏でる音と、金糸や銀糸を多分に用いた刺繍で縫い取られた煌びやかな衣装、眩い金の屏風に、趣向を凝らした装飾に、贅を尽くした食事の数々。座敷を彩るそれら全てが、どこか作り物めいて、嘘くさく感じるけれど、そこは人々に浮世で或る唯一の極楽と呼ばれる。みくにはもう慣れ親しんだ場所。
部屋中に立...狭い小鳥の籠の中にて 第二話
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目が覚めたのが、辰の刻を回ったところだった。布団から重たげに身を起こし、のったりと頭を動かして、自分が目を覚ました原因を探った。外に面した窓の障子を通して白い日差しが布団の上に斜めに差し込んでいるけれども、それはいつもの事だから、それが原因ではない。眠るのが明け方近くだから、いつも昼前までは床の中...
狭い小鳥の籠の中にて 第一話
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注意書
・素敵曲ココロの雰囲気を壊されても許せる!
・キャラ崩れしても大丈夫。
・設定かなり捏造しててもいい。
上記OKな方だけどうぞ。
(怒られそうだからワンクッション入れました。大丈夫な方だけ「前のバージョン」にて)
ココロ設定、アレな小話。
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「あれ? なんだろ?」
小さく独り言を言ってしまったのはいつものクセ。
いつも隣にレンがいるから、たまに一人で行動する時もつい、隣にいるように話しかけちゃう。
ま、それはいいとして。
あたしがなんだろ? と呟いたのは、妙なモノを見つけたから。
道の真ん中でもぞもぞとうごくそれは、遠目に大雑把に見れば...リンが猫になる話
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昨日から、変だなって思ってた。
歌ってる時になんとなく、空咳をくりかえしたり、喉の辺りを触って首をかしげたりしてたし。そういえば声の伸びもあんまり良くなかった気がするし。
今朝になってそれは明白になった。
顔を真っ赤にして、苦しそうに咳き込みながら寝込んでいるリン。真夜中に発熱して、今日はてんやわん...リンが風邪をひいた日
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はっきりとその姿が見えるワケじゃなかった。
ただ、時々。
人ごみの中でショーウィンドウに自分の姿が映ったのを見た時、とか。
洗面所で顔を洗っていて、顔を上げた一瞬、とか。
ガラガラの電車の中で居眠りしてて、起きた瞬間の夕焼けに染まった向かいの窓、とか。
そういう一瞬に、一瞬だけ、姿が見え...あの子はだあれ?