らららこっぺぱん。
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しばらくして、俺は黙ってランプを消した。
ミクは依然として俺の隣に座っている。
何も言わずにミクにタオルケットをかけてやると、ミクは嬉しそうな顔をして俺の肩に身体を預けた。
「マスター、覚えてますか?」
「……………何をだ」
「昔、マスターが今日みたいにすごく取り乱したことがありましたよね」
「……...ブラック★ロックシューター【下】
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「はい」
彼女は、頷いた。
溢れる涙を拭おうともせずに。
「やっと、会えました」
顔をくしゃくしゃにして泣きながら。
それでも、たしかに笑いながら。
彼女は言葉を紡いだ。
いつの間にか、手に装備していた馬鹿デカイガトリング砲も消えている。
「………なんていうか、久しぶり」
「本当に、お久しぶりです」...ブラック★ロックシューター【中】
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「フィールド展開します。展開完了しました。探索を開始します。探索を完了しました。結果を報告します。生き残った人間はゼロです」
瓦礫と廃墟しかない街の中心。
恐らく、昔は立派な噴水があったであろう場所で発動した『siguma.ver2』の報告を受けて、俺は深い溜息を吐いた。
人が皆殺しにされた街は、俺...ブラック★ロックシューター【上】
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『怒った顔も、笑った顔も、大好きでした』
歌詞より
カン、カン、カン、カン、カン。
登る時、その古ぼけた階段はそんな音を響かせる。僕はその音を聞くのが、なかなかどうして好きだ。ちょっとだけリズミカルで、なんか悪くない。
肩に食い込むリュックの肩掛けが小さく弾むのを感じながら、僕...君の知らない物語。
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「まあ普通に気付いてただろうけど、俺も当然彼女のことが好きだった」
卒業式の後のパーティーの二次会で、二人でゆっくり話せそうなタイミングになった瞬間、オカは切り出してきた。
「だから、まあ結構彼女のことを見てたわけだ。すると、何故か目が合う回数は意外と多かった」
オカはジュースーー…に偽装した酒を呑...人生で一番の奇跡【下】
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その子に出会えたのはきっと、俺の人生で一番の奇跡だった。
そんな大袈裟なことを臆面もなく考えたのは中学一年生の時。
その女の子は、クラスで間違いなく一番可愛い女の子だった。きっと、クラスにいる時は男子の誰もが彼女のことを意識していたはずだ。
彼女がクラスのどこに座るのか席替えの度に意識したはずだ。
...人生で一番の奇跡【上】
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じゅ~、じゅ~と肉や野菜が焼ける音がリン家の庭から聞こえる。
どうやら親父殿達はまだ食べるつもりらしい。肉が焼ける音に混じって時折リン家の親父の豪快な笑い声が聞こえてくる。
早々にリタイアした俺とリンはいつもの流れでそのまま二階のリンの部屋のベランダへ。
ここで夏の夜風を浴びながらそれぞれ話をしたり...【自分解釈】君の知らない物語【下】
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「ねえ」
「何だ?」
「クーラーつけていい?」
「それは、ダメだな」
「何故」
「地球温暖化が深刻だからに決まってんだろ?」
「何それ。つけるよ」
「あー、ダメだって。あーあーあーあー」
俺の声を無視して、リンはクーラーをあっさりつけた。
ちくしょう。...【自分解釈】君の知らない物語【上】
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次の日、昨日の失敗を少し心に引きずりながら、二学期最初の教育相談を僕は受けていた。
「鏡音は成績は全く問題なしだな。一年の二つ目のテストからずっと学年主席、と。この調子なら東京の名門……八盟館大学附属高校も十分に狙えるだろう」
「ありがとうございます」
少しぼーっとした頭で答える。昨日あの後、一睡も...双子相愛【下】
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その女の子を初めて見た男の子は、僕だった。
その女の子は病院の狭いベッドの中で、生きることを忘れたように眠っていた。
そして僕はその瞬間に思ったんだ。
この子を守らなくちゃ、って。
「リン」
教室が喧騒に包まれているなか、僕は友達と数人で話している女の子に声をかけた。
「………なに?レン」
友達との...双子相愛【上】