りおんとか言う少女に身体の自由を奪われてからはや1ヵ月。
第一王女という身分の私とかなり違う生活をしてきた彼女にみっちりすりこ・・・じゃなくて教育をして何とか威厳は保っているはずよ。
今日は魔王討伐のために勇者一行がこの城に来るとお父様が言っていたから、身支度を・・・。
「痛い!なんでコルセットなんてつけなきゃいけないのよぉ・・・」
・・・この子には上品さというものがかなり欠けているのよね・・・。
王族たるもの、気品溢れるものでないといけないのに、私の身体の所有者はそんなことお構いなしに騒ぎ立てる。
ほらほら、こんな声をあげたらすぐいろはが寄ってきてしまうわ。
「姫様!大丈夫でございましょうか!?」
「え、あ・・・大丈夫、よ」
うんうん、私の指導なくとも王女としての受け答えが染み付いてきたわね。
それとも、この子は元の世界で読書をしていたというのもあるのかしら。
「良かったです・・・最近、姫様が子供っぽくなられたといいますか・・・別にバカになどしていないのですよ!」
「・・・」
あ、今とっさに目を逸らしたわね私。
まあ適当な言い訳でも言いなさいな、貴女なら出来るでしょう。
「国王殿、勇者一行が登城しました!」
「お初にお目にかかります、国王」
時刻は正午過ぎだろうか、勇者達がやっと城に到着したみたいね。
っと・・・そういえば私もルカが攫われた所を目撃してるから広間に行かないとだったわね。
『ねえ、これって私行かなきゃいけないんですか?』
この子も最初会ったときはどっちの会話も声を発していたのに、脳内で思いながら話せるなんて器用になったわね。
『当たり前でしょう?私は視てるのよ、ルカが攫われた所をね』
『めんどくさー・・・』
そう言いながら身支度を進め、勇者パーティや父が待つ大広間へと向かった。
「・・・メイコ、リリィよ、ルカが攫われたときの様子を話してくれないか」
「はい、お父様。あの時・・・」
なかなか私の刷り込みも上手くいったのか、淀みなく質問に応えれてるわね。
分からないところはリリィがフォローしてくれるし・・・出来る妹を持ったわね私も。
勇者パーティは全員で六人。
蒼い髪と蒼い目で、少し子供っぽい印象を受ける勇者カイト。
黒髪に眼鏡を掛けていて、手には分厚い魔道書を持っている術者キヨテル。
綺麗な金髪を肩上でばさっと切り、女豹の印象を受ける剣士リン。
長い水色の髪が白い修道服を際立たせ、清楚な修道女ミク。
紫の髪を二つで結い、勇者パーティの中で一番ラフな服装をしている盗賊ゆかり。
白とも銀とも取れる髪を腰まで垂らし、木の杖を持っている賢者イア。
年齢はいずれも成人に満たないぐらいか、随分若いわね。
『メイコさん・・・』
『何?貴女は父の質問にしっかり応えてて。怪しまれるわよ』
『いやそうじゃなくて・・・視線を感じません?蒼髪の子から』
・・・そんなこと言われたって、今この身体の感覚はぼんやりとしかないわけなの。分からないわよ。
まあ確かにカイトの眼には熱がこもってる気がするわね。
「・・・というわけじゃ。勇者殿、お願いできるかの?」
「はい。この聖剣に誓って姫様を魔王の手から救ってみせます」
そう言う勇者の顔は、自信に満ち溢れていた。あの剣が聖剣なのだろうか、大事そうに撫でている。
そうして間もなく、勇者一行は旅に出て行った。
「やーっと終わったーぁ!」
ぼふっと、どこか柔らかいところに倒れこんだ時にする音を聞いた。
『ちょっと、寝るなら着替えてからにしなさい。コルセットもキツイし、このドレスお気に入りなのよ!』
「はぁーい」
りおん・・・面倒くさがり、とは聞いていたけど、ここまでとはね・・・。
私の身体はドレスから拘束の緩いネグリジェに着替え、早々に眠りについてしまった。
そしてここから、ルカの無事をただ願う日々が何ヶ月も続くのだった。
【勇者魔王】第二章 勇者からの熱い視線
うおおおおおお!すぅですすんません。
胡坐かいてたら足がしびれた変人です((
久しぶりにこのシリーズ書いたなーっていうか気乗りしなかっただけなんですが((
あ、メイコ王女は23です。カイト君が15なので、8歳差なんですよね。
この2人はどこへ向かっていくのか・・・りおんがいるからなんとも言えないっす(
次回はー多分ルカ様でてきますよー!(姑息な読者集め乙
ではではー。
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