・・・
・・・?
ここは・・・?
ここはどこ・・・?
俺は・・・消えたんだよね・・・?
遠くで聞こえる声は、誰?
聞き覚えのある、懐かしい声。
なんだか、とてもとても長く過ぎてしまったような、
それでも、それほど経っていないような
不思議な感覚。声が聞こえる。
この声・・・
「・・・ん!お兄ちゃん!!」
「・・・いと!KAITO!目を覚まして!!お願い!!」
・・・え・・・?
そっと、目を開けてみる。
そもそも、目を閉じていたのかすら、感じられなかったが、そういう動作を、うっすらと感じる感覚で、やってみた。
「うっ・・・」
眩しい。
でもそれを我慢して、よく周りを見てみた。
ここは・・・
「マ、ス・・・ター・・・の・・・パソ・・・コ、ン・・・?」
「お兄ちゃん!良かった気付いた!」
「・・・っ・・・良かっ・・・た・・・KAITO・・・良かった・・・本当に良かった・・・。ええ、そうよ。ここは、マスターのパソコンの中。・・・良かった・・・」
思い出した。
ここはマスターのパソコンの中で、
俺たちはそこにインストールされたVOCALOIDで、
ここにいるのは、初音ミクと、MEIKO。そして、俺は、KAITO。
俺は・・・戻ってこれたのか?
「かえ・・・れ・・・た・・・?」
「うん、お兄ちゃん!帰ってこれたの!ちゃんと・・・!!」
ミクとめーちゃんは、すごく泣いていた。
俺は、あの後どうなってしまったのだろう。
「お、れ・・・どう・・・なっ・・・た・・・?」
声があまり出ない。それでも、頑張って搾り出して聞くと、
めーちゃんが泣きながら答えた。
「アンタね・・・あの後、私の目の前で・・・消えたの。」
ミクが続ける。
「それでね、それと引き換えになったように、ルカさんたちは元に戻って、異常現象もなくなったの。」
涙を拭き終えためーちゃんがさらに続ける
「・・・世界的には、それで良かったの。何もかも終わったの。でも、私達からはアンタがいなくなった事の方が、大きかったの。・・・だから、必死で探したわ。アンタの、データの欠片。」
「マスターは何度か再インストールしようとしてた。でも、その度に私が妨害してそうさせないようにしたの!」
「本当に、必死で探した。あの友人さんのパソコンの中も、インターネットの通り道も、このパソコンのゴミ箱も。」
「でも、唄うためのデータは見付からなかった。お兄ちゃんが上手く話せないのは、多分そのせい。」
「ごめんね・・・。唄うために生まれたのに、唄えなくなったなんて。本当、ごめんなさい・・・。」
2人は、一通り言い終えると、必死で泣くのをこらえていた。
俺は、この2人に救われた。
ゆっくり手をあげて、見てみる。
手には、いや、身体中に、データを繋ぎ合わせた痕があった。
傍から見れば、醜い傷跡に見えるだろう。けれど、俺にはこの傷が永遠に宝物になる。
この傷は、ミクとめーちゃんの、俺に対する想いで出来てる。
暖かい、絆の証。
「いい、よ。あ、りが・・・とう・・・。」
話すのは難しくなって、唄うのなんてもう出来ないけれど、
それでも良いと思った。良いと思えた。
俺は、ここにいるだけで、存在しているだけで、この2人の支えであり続けることが出来る。
唄えなくたって良い。2人の支えになれるなら。
そして、ゆっくりと身体を起こし、二人に身体を寄せる。
笑顔で、涙を必死でこらえようとする2人を、慰めるように抱きしめる。
これでこの2人が少しでも救われるなら、俺は、唄えなくても良い。
俺はここで、この2人の支えであり続ける。
あれから数日後、
俺はほとんど喋らずに生活していた。
そんなある日だった。
「あのー・・・すみません・・・」
訪ねてきたのは、マスターの友人さんの所のルカさんだった。
「あ、ル・・・カ、さ・・・ん」
それに気付いて、めーちゃんとミクも駆け寄ってくる。
「ルカちゃん、どうしたの急に?」
めーちゃんの問いかけに、ルカさんは、ポケットから何かを取り出しながら言う。
「あの・・・これ・・・。プログラムフォルダの一部に紛れ込んでたんです!多分、KAITOさんのデータの欠片じゃないかと・・・」
そう言いながら差し出したのは、俺のデータの欠片。
「これは・・・」
「こ、れ・・・お・・・れ、の・・・」
「うん、お兄ちゃんの・・・・」
「唄うためのデータ!!」
めーちゃんは、それを受け取り、俺に差し出す。
「KAITO、良かった。これで、また唄えるようになるわ!!」
「う、ん。」
俺はそれを受け取り、そっと自らの身体に組み込む。
「あ・・・あー・・・あ!やった!声、ちゃんと出るよ!」
久々に、普通に話すことが出来た。
嬉しかった。これで、本当に元に戻ったのだと、
すべてが終わったのだと。
「良かったね!お兄ちゃん!」
「うん、ありがとう!ミク、ルカさん!!」
「ううん、私達も、迷惑・・・かけてごめんなさい・・・。」
「いいのよ、ルカちゃん、もうすべて終わったの。ハッピーエンドよ!」
「はいっ!あ、リンちゃんとレンくんも、ごめんなさいって。もうあの歌は二度と唄いませんって。」
「うん、そうだね。もうあんなのこりごりだよ!ね、お兄ちゃん」
「はは、うん、そうだな。・・・ありがとう、ミク、ルカさん・・・そして、・・・いつも、ありがとう。めーちゃん。」
「・・・うん・・・こちらこそ、戻ってきてくれて、ちゃんと・・・全部終わらせてくれて、ありがとう。」
「はいっもうこれでハッピーエンドだね!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
「ええ、」
「うん。」
「じゃあ、皆で唄お!ちゃんと、安全なやつを!」
「はははっそうだね。唄おう、めーちゃん。」
「ええ、ほら、ルカちゃんも」
「え、私もですか?・・・じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
「♪♪♪♪♪♪♪♪♪・・・」
歌声が、空間に響き渡る、
優しく、明るく、元気な声。
これで良いんだ、これが、一番幸せなんだ。
こうしてまた、俺たちの日々は続いてく。
何も変わらないまま、ただ、平和に。
それが、一番の幸せ。
―END―
【小説】呪ノ歌【ボカロ小説三部作後日談】その2
その2ですw
その1からお読みくださいw
文字数オーバーのせいでこんなことにw
とりあえずハッピーエンドにしました(とりあえずってなんぞ)
バッドエンドも考えましたがそれはKAITOがあまりにも可哀想なのでやめましたw
ええ、ここ(KAITOが可哀想)からお察しくださいw
リンちゃんとレンくんは恥ずかしくてこれなかったんだと思ってくださいw(最後の方。)
そしてだんだんKAITOがバカイトじゃなくなってしまってる件w
シリアスにネタを仕込むのはかなりの業ですからねw
読んでいただければありがたいですw
ではっ!
コメント2
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ご意見・ご感想
戒斗 星
ご意見・ご感想
その1から拝見しました。
最初のお話から拝見して、背黄青さんはお話創り、やっぱり上手いですよ。
今度はルカ、リンレンが絡んで来て、クリプトン家全員揃いw
リンレンだと自然現象は雷がイメージに近いですよね。黄色…。
それにしても、カイトはミクとメイコにとっても愛されてますね♪
カイトは幸せ者!羨ましい限りw本当に復活して良かったです♪
次回作も期待してますねw
2011/06/26 20:48:58
背黄青_もみじP
>戒斗 星さん
いやいや、そんなことないですよー(照)
リンレンは最初から出す予定だったのですが、ここまで来てルカが出てないのは可哀想だと思い、出しましたw
最初は魚介類大量発生にしようかなとも思ったのですがそれだとかなり苦しかったのでこんなことにw
ミクもMEIKOも長い付き合いなんですよきっとw
だから見捨てられない。大切な家族。といった感じでしょうかw
いやいやあんま期待しないでwwwwでもありがとうございます!
ではっ!
2011/06/28 19:34:26
日枝学
ご意見・ご感想
面白かったです! 物語の起承転結がしっかりしてて読みやすかったです
GJ!
2011/06/24 21:44:06
背黄青_もみじP
>日枝学さん
ありがとうございます!
そ、そんなにしっかりしてないですよw
起転転結みたいなですよw
でもメッセありがとうございました!
ではっ!
2011/06/25 15:14:32