実亜さんのリクで、レンとリンデレラの続きを書かせて戴きます！


＊


家出(というより駆け落ち)から一ヶ月が経つ。

本当にレンや菜美さんは良くしてくれて、おかげで私は毎日笑ってすごせた。

お母さんが一度挨拶に来たけど、そこにお父さんは居なかった。
「娘を宜しくお願いします」
それだけ言ってお母さんともお父さんともご無沙汰。

多分家では夫婦での激しいバトルが繰り広げられていると思うと、つくづく自分はなんて迷惑な人間なんだろうと思う。

でも・・・・・・・

「レンっもう９時！寝すぎ！！」

「んだよ・・・今日休みじゃねーか・・・いいじゃん別に」

「菜美さん仕事行っちゃったよ！もぅ・・・！」

諦めた。私は潔い方だと自負している。
それが長所か短所かは別として。

何でか分かんないけどレンは私の人差し指を引っ張った。

あーあ。これされると指太くなっちゃうの知らないかなぁ。

「なに？」

「今日の分」

レンは起き上がって私にキスをした。
新婚の夫婦か、とか言うんじゃない。

「んぁ・・・」

何回しても慣れない。
どうしても声が漏れる。

子供っぽいから嫌だし、声がエスカレートさせていくのも知ってるし。
いい加減報われてもいいと思うんだけど。切実に。

私はあの頃と全く変わらず、苦いものはまだ嫌い。

レンがニヤっと嫌な笑いをする。

「きょきょ今日は諸事情により無理ですっ！」

だいたい、居候させてもらってから3回は・・・まぁ、その。ひとつになりまして。

「諸事情って？」

「まずレンは羞恥心ってものをもってないし第一毎日キスするのとかも中学生ごときがしていいものじゃないわけでそのえっとえっとつまり私は健全な交際を求めているのであってえっと・・・」

なんやかや言って別に嫌じゃない。認めたくないけど。

正直、どうしようもなくレンがスキだし、嬉しいって言ったら嬉しいけどやっぱり恥ずかしい。

それに・・・回数を重ねるたびに行為が軽くなってる気がするから。

私はそれが怖かった。

「・・・じゃあ、してほしいのは？何？」

「ぅ・・・新手に出たね」

「リンの〝もっと〟以来？リンも結構欲張りだよな」

「ちょっそれ言わないでよぅ」

うーん・・・ここはほとんどの人が深いのって言うかもしれないけど。

やっぱり素直に・・・



「じゃ、じゃあ・・・」



レンに抱きつく。


レンは強い力で抱きしめてくれる。


私はこれですごく安心するし、幸せだなって思える。


ピ～ンポ～ン♪


チャイムの糞野郎め。
空気読めよとか思ったけど仕方ない。間が悪いだけ。


「はい・・・え、あ、はい。お待ちください」


「誰だったの？」




「リンの・・・・お父さん」




＊



ドアを開けるや否や、深々と頭を下げるお父さんが居た。


「レン君もリンも・・・本当にすまなかった」


レンは必死で「俺が悪いです」って言ってる。


「結局・・・私欲でリンを縛り付けて自己満足していた。本当に・・・すまなかった」

お母さんも一緒に頭を下げた。


「お父さん・・・いいの、もう。私だってワガママなところあったし・・・本当に私こそ、ごめんなさい」


お父さんは私を撫でてくれた。


もう昔の優しいお父さんだった。


また改めて謝罪に来る、とだけ言い残して、お父さんは少し遅い出勤。


「いってらっしゃい！」


心からの笑顔を久しぶりにお父さんに向けた気がした。



＊


私とレンが付き合ってもいいってちゃんと認められるとやっぱり嬉しい。


指にはレンがくれた指輪がある。


レンの指には少し前に私があげた指輪が光る。


私は少しレンを見つめてから、



「じゃあ・・・いいよ」



レンは服のボタンに手をかけ始めた。