優しい傷跡 第13話「わたしの決意」

投稿日:2008/11/29 16:27:22 | 文字数:1,951文字 | 閲覧数:930 | カテゴリ:小説

ライセンス:

【登場人物】
増田雪子
帯人
呪音キク

【コメ】
文章を書くとき、「優しい両手」とか「優しくキミは微笑んでいた」とか
「Liar's_Smile」とか聞きます。
知っている人は知っている~♪よね?^^
あの歌詞は泣けるほどいい。
帯人を想って聞いてみると、なお泣ける!
めちゃくちゃオススメです。

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TEXT
 

「危ないッ!」

帯人はとっさに私をコートで包み込む。
そのおかげで私は降り注ぐガラス片で怪我をすることはなかった。
でも、コートの隙間からたたずむ少女の姿がしっかりと見えた。

「なんで?なんでよ」

彼女自身、ガラス片によって腕を切っていた。
不凍液がまるで血のように腕を伝っている。

「ありえないでしょ!どうして?なんで家族だなんて言えるの!」

帯人はコートからアイスピックを取り出し構える。
その目は鋭かった。

「家族?なにそれ。馬鹿じゃないの。
 目の前にいるそいつはボーカロイドなんだよ?
 人間じゃないんだよ。血だって流れないんだよ。心臓なんてないんだよ。
 生きてないんだよ?《心》だってないんだよ?」

その言葉に、無性に腹が立った。
なんでだろう。いつもならこんな勇気ないのに。
帯人のことをひどく言うから、かな。すごく許せなかった。

雪子は立ち上がり、大声で彼女に叫んだ。

「だから、なに!ボーカロイドだから?だからなに?」

「…ッ」

少女が目を見開き、こちらをぎっとにらみつける。

「ボーカロイドにだってね、《心》がちゃんとあるんだよ。
 大好きだって言えるんだよ。涙だって流せるんだよ。
 楽しかったら笑うし、悲しかったら泣くよ。
 ちゃんと!ちゃんと!ちゃんと!《心》があるんだよ!」

「………馬鹿じゃん。あり得ない。
 《心》はないよ。だから愛情だって与えられないし、受け取れない。
 大好きだって言うのは、全部嘘うそ嘘うそ嘘…」

雪子が言い返そうとしたとき、帯人がそれを制止した。

「帯人…ッ」

帯人は大声で叫んだ。

「嘘なんかじゃ、ない…ッ!!」

その言葉に少女は大声で笑う。

「あはははっ。やっぱ馬鹿だわ!なに言ってるの?
 その人間のことがダイスキって?……よく言うよ…。
 …そこの人間、一ついいこと教えてあげる♪」

少女は斧を帯人に突きつけて、言う。

「こいつ、人殺しだよ?」

雪子は息をのんだ。……目を伏せる帯人。
否定することもなく、ただ黙っている帯人を見て少女は笑う。

「こいつねぇ、あんたが拾う前にマスターを一人殺してるの。
 そのアイスピックでグサリってね。一撃だよ♪
 えぐいよね。グロいよね。気持ち悪いよね。最低だよね。
 そのマスターがさぁ、彼に暴力を振っていたのが原因でね、
 彼、壊れちゃったの。殺しちゃったの。大好きなマスターを。
 …………それでもさあ、彼のこと、かばえるわけ?
 自信をもってさ、「家族」だなんて言えるわけ?」

帯人はただ目を伏したまま、動かない。
手に持っているアイスピックを握りしめて、唇を噛んでいた。

私はなんとなく気づいていた。
彼が…なにかを隠していることを。

(人を殺してしまった彼を、かばうことは悪いことかもしれない。
 でも……。
 だからって、私は……)

「見捨てるわけないよ」

「…ッ!」
「はぁ!?なに言ってるの?」

「人を殺してしまったのは、許されないことだと思う。
 けれど、だからって、私は帯人を見捨てない。
 ……決めたから」

私は息を吸い込み、大声で言った。
部屋中に聞こえるくらい大きな声で、胸にあふれる思いをはき出した。

「悲しいことも、苦しいことも、
 一人で抱え込まないように、一緒に持ってあげようって!
 その代わり、楽しいことも、嬉しいことも、
 全部一緒に共有しようって!」


だから…ッ

だから……わたしは帯人を受け入れる。帯人のすべてを受け止めるッ!


「私は帯人のマスターだから!」

私の言葉に、少女はしばらく呆然としていた。
帯人は少女のほうをじっと見つめるばかりで、
顔を見ることはできなかったけれど、微笑んでいたように思えた。

少女は片手で目を覆いながら、高らかに笑った。

「あははははあああははははっは!
 ……貴女みたいな人、初めて。…そっか。そうか。そうなんだ。
 ふふっふっふっっふふ…。嬉しい。すっごく嬉しい」

少女は目を覆う指の隙間から、雪子をじっと見つめる。
まるで泣いているみたいに、その目は潤んでいた。

「私の名前は呪音キク。貴女の名前は?」

「ますだ、ゆきこ…」

「雪子ちゃんか。そっか。うん。可愛い名前。それじゃあ―」

シュン。
空を切る音がして、目の前にいる帯人のコートがスッと切れた。
帯人は突然のことにたじろぐ。

「死んでもらおっかな」

呪音キクは斧を振り上げて、一瞬にして雪子に近づいた。
帯人が雪子をかばうよりも速く、キクの斧は雪子にむかって振り下ろされる。


そのとき、一発の銃声が響いた。
硝煙の匂いとともに、見慣れた彼女がそこに立っていた。

【お休み中】

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「優しい傷跡」は三部作ですが、三部の途中で書けなくなりました。
続きは書けませんが、そこまでのお話は残しておくつもりです。
二次創作やら派生やらは、一言いただければ基本okです。
これからは何となく書いた歌詞を載っけていくつもりです。
よろしくお願いします。

帯人・がくぽ・ミクオ・欲音ルコが大好きです。

下から飛べますよ♪

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優しい傷跡
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優しい傷跡 番外編
http://piapro.jp/content/prenayotf2qetyrj

優しい傷跡-魔法の音楽時計-
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優しい傷跡-君のために僕がいる- (中断)
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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    ありがとうございます!!≧ワ≦
    あの曲を知ってる人がいたなんて、感激ッ!
    いいですよねー♪名曲だと思います。
    実はなんの曲か、いまいち知らないンですよね…^^;
    今度、ニコニコで検索してみよう♪

    続編うpしたので、また気が向いたときでいいので、読んで頂けたら光栄です^^

    2008/11/29 17:40:36 From  アイクル

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