今日は日曜日。
だから目覚ましだって黙り込んでいるし、
朝日だって、無視しても怒りはしない。
いつまでも寝ていられる♪
最高だね!
…って、はずなのに。
…………めちゃくちゃ寝苦しい。
私は重いまぶたをゆっくりと開いた。
「んぅ~…」
ぼやけた視界。
見慣れた真っ白の天井が目に飛び込んでくる。
窓から差し込む光が、天井に線を引いていた。
(今、何時だろう…)
体を横にすれば、目覚まし時計があるはず。
私は寝返りを打とうと、体を動かした。
ぐっ。
でも、全然体が動かない…。なんで??
よくよく考えたら、体が重い。というか、布団が重い。
……こんなに布団ってごつごつしてたっけ。
なんか、こう、なんていえばいいんだろ。
筋肉質……?
私はハッとした。
やっと、私は私自身が置かれている状況を把握する。
「…ま、す、たー♪」
「た、た、帯人……?」
「おはようございます」
隣には帯人がいた。
目の前で満面の笑みを浮かべている。
私は彼の胸の中にすっぽりと収まっていて。
彼は上半身裸で。
なに、この状況……?
「離れてッ!」
「…嫌です」
「ハァッ!?冗談言ってないで。離れてって。
っていうか、帯人はソファで寝る約束でしょ!?」
「…寂しいから」
「だからって、ベッドに潜り込まない!抱きつかないッ!」
「なにもしてませんよ…」
「してるからッ!十分してるから!」
「……恥ずかしいんですか」
まじまじと顔をのぞき込む帯人。
私は反射的に目をそらした。
すると、帯人はどこか満足そうな笑顔を見せる。
「…可愛いです」
「う、うるさいッ!とにかく離れてー!」
帯人の両腕のなかでばたばたもがくけれど、離してくれる気配は
いっこうになくて、私は半ば諦めながらも抵抗はしていた。
そのとき、
ピーンポーン。
タイミング悪すぎだろぉお!!
「帯人、離しなさい」
「僕を…一人にしないでください…」
ぎゅっとよりいっそう、くっついてくる帯人。
近い近い近い近い近いッ!!!
「とにかく離れてぇええ!」
「無理です…」
帯人はにやりと微笑む。こいつ…ッ。
ガチャ。
部屋の扉が開いて、そして聞き慣れた声が聞こえた。
「鍵が開いてたから、勝手に入ってきちゃっt」
次の瞬間、言葉に詰まる彼女。
帯人を無理矢理引き離し、上半身を起こした。
目の前には、目が点になっているメイコ姉さん…。
(あはは、どうしたもんかなー)
私が弁解を述べる前に、メイコ姉さんの悲鳴がとどろいた。
拝啓。
お父さん。お母さん。
傍らに半裸帯人。
目の前にメイコ姉さん。
私は今日も、元気です。
「あぅー、違うんですよー(泣」
「…マスター、おもしろい」
「あんたのせいだぁあああああ!!!!(号泣」
優しい傷跡 第07話「おはようございます」
【登場人物】
増田 雪子(ますだ ゆきこ)
女子高生。天真爛漫で楽天的な子。
帯人(たいと)
雪子に拾われた傷だらけのボーカロイド。
咲音 メイコ(さきね めいこ)
通称、メイコ姉さん。刑事をしていた親戚のおじさんの相棒らしい。
おじさんが亡くなった後も、雪子のことを気にかけてくれる。
両親が海外に行っていることを知っていて、ちょくちょく雪子の様子を
見に来てくれる。頼りがいのあるお姉さん。
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もっと見る「危ないッ!」
帯人はとっさに私をコートで包み込む。
そのおかげで私は降り注ぐガラス片で怪我をすることはなかった。
でも、コートの隙間からたたずむ少女の姿がしっかりと見えた。
「なんで?なんでよ」
彼女自身、ガラス片によって腕を切っていた。
不凍液がまるで血のように腕を伝っている。
「ありえないでし...優しい傷跡 第13話「わたしの決意」
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ひとりぼっちで残されて。
すごく寂しくて。
昨日、抱きしめた温もりが忘れられなくて。
人肌ってあんなに優しいんだと、やっと気づいた。
ねえ、マスター。
僕は、僕は、僕は、僕は。
あなたがここにいないと、息ができなくなりそうなんだ。
今にも泣いてしまいそうで、
苦しくて傷が疼いて。
僕は何度何度も、傷...優しい傷跡 第05話「赤い少女」
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私はコンビニによってアイスを買った。
なにが好きなのか、わからなかった。
だから、ちょっと高めのバニラアイスを買ってみた。
喜んでくれるかな…。
その日、私はいつもより歩幅を広げて歩いた。
でも、それだけじゃあ足りない気がした。
もっと早く帰りたい。
もっと、もっと、もーっと早く。
だから、私はルー...優しい傷跡 第06話「アイスクリーム」
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この状況を説明するのに小一時間。
帯人を別室に押し込んで、メイコ姉さんにこれまでのことを話した。
傷だらけで倒れていたこと。
それを拾ったこと。
帯人のマスターになったこと。
そしたら、ものすごく懐かれてしまったこと。
すべてを話し終えると、メイコ姉さんは頭を抱えているようだ。
「つまり、雪子はあっ...優しい傷跡 第08話「エラー、崩れ出す音」
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ベランダから飛び降りた帯人と雪子を見届けて、メイコはゆっくりと
立ち上がった。
キクはベランダを見つめたまま、じっとしている。
その口だけは動き続けていて、まるでなにかを唱えているようだった。
「残念だったわね。……あんたの相手でもしてあげる」
そう言うと、ぼんやりとした瞳をこちらにむけるキク。
「...優しい傷跡 第15話「本音が知りたいから」
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その後、数分メイコ姉さんと話した後、彼女は呼び出されて行ってしまった。
彼女は「元気な顔が見れて安心したわ」って言ってこの場を後にした。
私は彼女の後ろ姿を見送った後、
別室に押し込んでいた帯人のもとへむかおうとした。
そのはずだった。
別室への扉のドアノブを握ったとき、すごく不安な気持ちになった。...優しい傷跡 第09話「壊れ出す」
アイクル
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アイクル
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ちっしゅをどーぞ(・ω・)つ□
我が家の帯人は
帯人と書いてエロスと読むんですよ
(心の目でご覧ください)
2008/11/18 19:22:16