いつも思い出さなかった
カギは無くしたままで
どこか水底に沈んでいる
記憶さえかすれて読めない

ふとした拍子に転がり落ちて
さびついた鍵穴が音を立てた
蹴りつける気にもなれないまま
箱の中身はあの頃を根こそぎ

あなたの指が小さく踊っていたね
わたしの指先でほんとに小さくさ
ためらいもわだかまりも一緒に
生意気な駆け引きはすぐにばれた


今は思い出さなかった
「次」を消し去ったままで
どこか焼却炉で焦げている
微熱さえ忘れて消えない

思わぬ好意に崩れて落ちて
見え透いた風穴に息が灯った
ふさぎこむ気にもなれないまま
箱の外にはあの時のカタマリ

あなたの熱が豊かに笑っていたね
わたしの星空でほんとに憂いなく
さまよいも見損ないも一緒に
ため息を隠してもすぐにばれた


拾い上げることもできなくて
見捨てることもできなくて
眺めたままで立ち尽くして
自分を責める甘さに酔って

歩みを止めても心を止めても
終わるわけじゃないの知ってる
救い求めても言葉求めても
始まりが来ないの知ってる


あの時まとわりついていた指も熱も
時間が来れば終わるオルゴールじゃない
良い子のフリなんてするんじゃなかった
全力で殴ってたら笑えてたのかな

通りかかる車の下敷きになるのを
誰かが散らす砂に埋もれてくのを
姑息な眼で眺めていたいだけなの
誰も踊らなくなった冷たい指先


ためらいもわだかまりも一緒に
生意気な駆け引きはすぐにばれた

さまよいも見損ないも一緒に
ため息を隠してもすぐにばれた


重たく湿った気持ちの先で涙が伝う前に
カビが蝕んで呼吸ができなくなる前に

伝えればよかったんだよって今も
驚くほど下らない恥の上塗りだ

まだ熱にうなされていたいなんて

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

dancing saloon

閲覧数:62

投稿日:2022/11/27 20:56:28

文字数:738文字

カテゴリ:歌詞

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