【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#12】

投稿日:2009/09/24 21:17:24 | 文字数:4,661文字 | 閲覧数:254 | カテゴリ:小説

ライセンス:

ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、巾着さんとなかよくなるの巻。

スーパー例のあの人タイム、吹いたじゃないか!(笑(詳しくは青犬編#12の投コメで
作中の女中さん(巾着さん)のターンが長いのは愛ゆえです。誰得といわれたら、
多分一番うはうはしているのはぷけさんだと思います。うん(笑

この辺りのメールログ読み返したら、軒並みここで話せない内容ばっかでした。
やれ次の展開の話だの、やれ作品の構想だの、やれ18禁だの……。
なんか不健全な単語が混じった気がするけど気にしない。

青犬編では、ある意味つんばるが公開処刑されているようなので、こちらも是非!
……実はあのラブレター、俺が全裸で書いたんだぜ(嘘が混じってます

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かいと視点の【青犬編】はぷけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#12】



 家に帰るのは気が進まない。今日はとくになんの用事もないし、寄り道くらいゆるされるだろうか。そう言うと、女中は意外にも「大丈夫だと思いますよ」と同意の意を示してきた。これには正直、すくなからず驚いた。女中や使用人たちは、父母に雇われている身だ。身の回りの世話を焼くのも、私の外出に付き合うのも、全部私の父母から言いつけられているから仕方なくなのだと思っていたのだ。昔から「お嬢さま」として、使用人たちからはすこし距離を置かれていた(尤も、私からすれば、両親より使用人たちの方が気易かったので、一方的に好いてはいたが)。彼らからの余剰の奉仕は、私にはないものだと思っていたのだ。
 正直にそう申し出ると、女中の女の子は笑って言った。
「主人の意向は尊重しますけれど、完全に従いたくて従っている者など少数ですよ」
「そうなの?」
「そうですとも。今回のお嬢様の措置には、反発する者が多かったのですよ」
 あまりに細い路地や、暗い道、人通りの少ない場所には入らないように、けれど確実に遠回りになる道を選んで、私と彼女は歩いていく。
「ただ、あまり大きく騒ぐと奥様から暇を告げられてしまうので……あ、すみません、こんな、陰口みたいな」
「いいのよ。私も、母にはあまり良い感情をもっていないの」
 自分の母親に、あまり良い感情をもっていないなんて、ずいぶん冷たい人間みたいよね、と自嘲しても、女中はなにも言わなかった(彼女はおおむね私に共感的だとわかってきたが、こういうところで分をわきまえている、と思う。それがとても好ましい)。
「あなた、奉公人なのよね」
「はい」
「……えらいわ」
「はい?」
「同じ歳くらいなのでしょう? もうきちんと仕事をしているのだもの、立派だと思うわ。雇っている側の私が言うのもおかしいけれど」
 一瞬きょとんとした彼女にそう付け足すと、とんでもないです、とぶんぶん首と手を振るわれた。いきおい、その腕にかかっていた巾着が滑り落ちた。私の足元に転がったそれを拾うと、使用人が持つには、やけに布地と仕立てのいいのに気がついた。糸色の数ほど少ないが、模様もきれいに縫われている。あああすみませんと慌てる彼女が年相応に可愛くて、焦りすぎよと笑いながら、巾着を返した。
「その巾着、良い布を使っているのね」
「ああ、これ、妹が織ったんです。機織りの勉強をしているのですが、成績がよくて、先生からも良い糸で織らせて貰っているみたいです。織りが強いので、水にも強くてたすかります」
「すごいわね、仕立ても妹さんが?」
「はい、いきなりなにか送ってきたと思ったら、この巾着で。刺繍は私がしましたけれど」
 自信作なんですよ、と笑う彼女は、やはり年相応に可愛かったけれど、どこか私にはない大人っぽさがあった。
「うらやましいわ」
 手に職があるというのは、羨ましいことだ。
「私には、そういった技術がなにもないもの」
「あら、めいこお嬢様はお茶もお花も、お琴も習っているじゃないですか、私はめいこお嬢様がうらやましいです!」
 語気を強めて言った彼女は、はたと気づいてまた赤面した。
「す、すみません、でしゃばったこと言って……!」
「いいのよ、気にしないで」
 同年代の友達がいたら、きっとこんな感じなのでしょうね、と、自然にこぼれる笑みを隠さずに思う。必要な勉学は、家庭教師を呼んでいたので、学校というところに行ったことがない。それに、繕い物を習っていても、ほとんど使用人たちがやってくれるので、実践の機会などほとんどないのだから、技術はないに等しい。お茶にしろ、お花にしろ、お琴にしろ、今の今まで続けているものもあるが、それは一種の英才教育というか、「上流階級のお嬢さんなら習っていてしかるべき」という類のものであって、直接職に結びつくものではない。
 だからといって、両親は経済学や貿易学を学ばせてはくれないのだ。私に家を継がせる気がないわけではないのだろうが、おおかた「女の子だから婿を取って継がせよう」という魂胆だったのだろう――咲音の家が、神威の家に食われかけている現状を見るに、ほんとうは勉強しておいた方が良かった気もするのだけれど。
「私も、あなたたちみたいに働きたいわ」
「働かなくていいなら、その方がいいって思うかもしれないですよ?」
「実際働いたらそう思うのかもしれないわね。でも、毎日屋敷に閉じ込められているのも退屈よ?」
「……たまにお友達のところに行ったら、お留守だとかで?」
「そうそう」
 ふたりで顔を見合わせて、ふたりでぷっと吹き出した。
 こんな風に自然に笑うのも、ずいぶん久しぶりな気がする。
「――なにもできないのは、悔しいわ」
 今まで家に来た家庭教師たちから、いろいろなことを学んだはずだ。食事のお作法、着付けの仕方、躾と呼ばれる類のそれは、完璧にこなしてきた自信がある。けれど、私には、どうしても「仕事」をしている自分というのが想像できない。
「あなたも、あなたの妹さんも……私の知り合いの男のひとも、みんなきちんとお仕事をしているのに、私はなにをしたくてもできないもの」
 まるで、行き先を決められている汽車のようだ。今の私には、どう頑張っても神威の家に嫁いで、毎日をゆるゆると消費していく以外の未来が見えない。
 隣で、ふっと笑う気配がした。
「私も、妹が器用なもので、なにもできないからと思って、こうして奉公に来ましたが、じっさい、なにかやってみるとなんとかなるものですよ」
 ちなみに刺繍は独学ですよ、お嬢様もやります? と、彼女は悪戯っぽい笑みを零していた。

「あの、これは訊いていいことなのか、わからないのですけれども」
 河原の近くまで来て、茶屋で休憩している時、彼女はこちらを窺うようにそう呟いた。
「知り合いの男のひと、というのは、例の手紙の殿方ですか?」
 例の紙焼きの一件で、おおよその事情は使用人たちにも伝わっているはずだから、これを口に出すのは、彼女も勇気が要ったことだろう。決して責める口調ではないけれど、その声色に好奇の感情は読み取れない。
「……その通りよ。なにか気になることでもあるの?」
「いえ、お話になりたくないのなら、それでもいいのですけれど……」
「いいわよ、妙な噂が流れてもこまるし」
 使用人たちの間でなにか噂にでもなっているのなら、噂がどんな風に流布してされているのか、きいてみたいところだ。彼に不名誉な、いわれのない中傷なんかが横行していなければいいけれど。
「……あの……どんな方、だったんですか?」
「え?」
 これは意表を突く質問だった。てっきり、もっと下卑た内容のことを訊かれるのかと身構えていた私は、思わず目を丸くした。あくまで真摯な態度で、彼女は私に向かって話を続けた。
「私には、旦那様や奥様が言うように、その方がめいこお嬢様をたぶらかしただとか、そんな風には思えないのです」
「なぜ、そう思うの?」
「か、勘です、けど!」
 妙に真面目な顔で言われて、思わず噴き出す。そうか、勘か。
「だいたい、お嬢様がそこまで見る目のない方だとは思えません」
「そうね、あなたの勘も、なかなか鋭いと思うわ。彼はとんでもなく善良よ」
 若干むきになっている風の彼女をなだめながら、彼を思った。焼かれた手紙を思うと、心が沈む。彼を思い出すと、胸が痛む。けれどそれは、彼がきれいな思い出や、すてきな言葉をくれたからなのだと、思うようになった。
 記憶の中の彼にも、手紙の中の彼にも、曇りはなかった。だからこそ、私の周りにはびこる暗い眼に焼かれてしまったのだし、それがとても悲しいことなのだと感じるのだ。
「あなた、咲音の家に来てどのくらいになる?」
「3年と少々でしょうか」
「それじゃあ、引っ越す前のことは知らないわね」
 屋敷の中には、引っ越し前からいる使用人も少なくなった。引越しの時に暇を乞うてきた者もいれば、こちらまでついてきても水が合わずに元の土地に帰って行った者もいる。使用人の中に、かいとのことを覚えている者も、少なくなっていることだろう。
「咲音の家は、一度引っ越しているのよ。10年ほど前に」
 地名は言わずともわかるだろう。私が家出して、結局見つかった場所だといえば、使用人たちにもわかる。
「彼は、引っ越し前から仲良くしてくれているひと。とても優しくて、きれいで繊細な感覚をもっていて、何かにつけて器用だったわ」
「……幼馴染みたいなものでしょうか?」
「……そうね。そう言えるかもしれないわね」
 でも、幼いながらも、お互いがお互いにとって、とくべつだったのよ――なんて、こっぱずかしくて、声に出すのもはばかられるから、言わないけれど。
「顔立ちは女の子みたいな子だったわ。だから、近所の男の子からからかわれていたりして。でも、きっと顔立ちが整っていただけなのよね。笑い方も、すごくふんわりしていてきれいだったの」
 冷めた茶を膝に置いて、興味深げに聞いてくれる彼女に安心しながら、私は、おもいつきで提案してみる。
「ねえ、少し河原に寄って行ってはだめかしら」

 土手を下りて、河原に立つと、草履の下でじゃりりと乾いた音がした。夏の河原の風は涼しくて、けれど、空が曇っているせいか、水面にはいつものきらきらとした輝きはない。上流の方で子どもたちが遊んでいるのを横目に見ながら、私は手近な小石を拾った。
「川に小石を投げて遊んだりしなかった? 跳ねた回数を競ったりして」
「懐かしいですね、妹とよくやりました」
「かいともね――ああ、その男のひとの名前だけれど、かいとも上手だったのよ。何回もぴんぴんと跳ねていた」
 私もかいとほどではなかったが、じょうずな方だったのだけれど。そう思って試しに投げてみた平たい小石は、石の大きさに似つかわしい、ぽちょんという音を立てて川底に沈んだ。
「かいとは、とっても器用だったのよ。それに、水面を見る観察眼もあった」
 川にあまり波があると、石も飛ばずにすぐ沈んでしまうのだ。そのはずなのに、風のつよい日ほど、かいとの石はよく飛んだ。どうして器用で見る目のあるひとだろうと思ったものだ。
「……こういう遊び、屋敷では教えてくれないものよね」
 かいとから教わったことは、たくさんある。じょうずな石の飛ばし方、木登りのコツ、蜜をもっている花の見分け方と、蜜の吸い方、明日の天気を予測する方法。どれもこれも、屋敷の家庭教師たちは絶対に教えてくれない内容だ。
 もらったものがこんなに多いのに、すこしも返せていないのに、返すあてもなくなってしまった。
「大好きなんですね、そのひとのことが」
 後ろに控えた彼女の、独り言にも似た呟きに、とくに是非は返さなかった。
 かいとのことはだいすきだけれど、このきもちは、「だいすき」なんて言葉では足りないくらいなのだから。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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