東京テディベア【自己解釈】
投稿日:2011/12/24 13:29:39 | 文字数:1,343文字 | 閲覧数:41,651 | カテゴリ:小説
12/24 ひっそりと訂正。
「死亡届」をいい加減な理解のまま扱うのも
よろしくないので、変更を加えました。
私は何のために生きているんだろう?
父さんも母さんも私を愛してはくれない。
いつも兄さんや姉さんのことばっかり。私のことは邪魔者扱い。
きっと、二人目の娘になんか興味がないんだ。
私がもっと早く生まれてたら、姉さんみたいに愛してもらえたのかな。
そして、ある日…
「ねぇ、母さん… 何してるの…?」
「あなたを隠す準備よ。」
「…え?ど、どういう…意味?」
「さようなら。」
…人生なんて、椅子取りゲーム。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「父さん、母さん、生まれてきてごめんなさい。
兄さん、姉さん、それじゃあ、またね。」
私はそう呟き、兄さんや姉さんのものとは
比べ物にならないような、冴えない靴の踵を踏み潰した。
見栄張ったサイズで、型紙を取る。
どうせ、姉さんのお下がりだけどね。
何だっていいんだ、代わりにさえなれば。
「愛されたい…」
私は、うわ言のように呟いた。
手には、両親からの唯一のプレゼントであるテディベアを握りしめている。
でも、もういいんだ。こんな物、ズタズタにして捨ててやる。
…私みたいにね。
こんな私を救ってくれる、全知全能の言葉を、ほら、聞かせてよ。
その言葉が聞けるなら、もう、体なんかいらない。
ねぇ、私の何がいけないの?
私の心のつぎはぎの隙間を、埋めておくれ…
「皆さん、さようなら。先生、お元気で。」
一度言ってみたかった言葉だ。でも、私は学校になんか行けなかったから、
そんな別れも経験していない。
別れのときって、どんな気持ちになるんだろう。考えていたら、
胸が高鳴ってきた。高鳴った胸に、涎が垂れる。
…バカバカしい。
正直者は馬鹿を見るんだ。こんなふうに想像したって、
誰も私を助けてはくれないんだ。
…もういっそ、殺してよ。
こんな傷じゃまだ足りないよ。この人形もろとも、串刺しになって死んでやるんだ。
こんな私を納得させる、全知全能の言葉を、ほら、聞かせてよ。
その言葉が聞けるなら、もう、体なんかいらない。
ねぇ、私の何が気に入らないの?
私の心のつぎはぎの隙間を、埋めておくれ…
もう何も残ってないよ。存在も、理性も、全部引きはがされて。
この人形を引き裂いて、糸屑の海へと消えていきたいよ。
もう、私はどこにもいないことになってるんだ。
帰る場所すらどこにも無いんだよ!
「私の存在を証明してよ!」
私は叫ぶ。
この嘘だらけの体を、完成させたいよ。そのためなら、何でもしてやる。
さあ、どうしたらいいの? 今、回答を!
このままのたうち回って生きるの?
奴隷みたいに飼われたいの?
何もない、嘘の存在?
違う、そんなの私じゃない!
人形の縫い目とともに、私の心のつぎはぎも、ほどけて、引きちぎれた。
まるで布でも裁つかのように、
煮え立った日々で、この命を少しずつ削っていく。
どうせ私なんかどうだっていいんだ。
私なんかいなくたって、
誰だっていいのさ、代わりになれば。
作品へのコメント2
ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!
新規登録|ログイン-
【リンちゃんなう!】リンちゃんは誰にも渡さない!←【自己解釈】
俺はいつものように、自分の部屋でだらーっとしていた。
そんなときだった。
ガチャッと、ドアの開く音に俺は向くと、そこにはミク姉とルカ姉。
「どうしたの?」
俺は二人に訊く。
【リンちゃんなう!】リンちゃんは誰にも渡さない!←【自己解釈】
-
鏡音リン(大人リン)『鏡音建設・会長鏡音リン自伝『共鳴』』前編
会長を退任するに当たって、易経新聞社から自伝の依頼が来た。
依頼が来た当初は、アタシに自伝なんて大それたことをと思っていた。
しかし……アタシたちの会社――鏡音建設は半世紀を越えて、今世代交代を行おうとしている。世代交代に伴い、社内の改革も始まっている。
それに助言をしていた時に抱いたのは、理念を伝えることの難しさだった。
アタシは次期社長の亞北ネルちゃんや会長の重音テトちゃんに不安があるわけではない。
鏡音リン(大人リン)『鏡音建設・会長鏡音リン自伝『共鳴』』前編
-
【リクエスト】おでこに生えたビワの性格が悪い【自己解釈】
「ありえない」
人なら、誰でもそう思うことがあるだろう。
たとえば、たまたま住んだアパートの住人が変わった人ばかりだった時。
たとえば、家の裏でなぜかマンボウが死んでいた時。
たとえば、この星を作った神様が、地球を売った時。
【リクエスト】おでこに生えたビワの性格が悪い【自己解釈】
-
IA『召喚士イア』(後編)
夜になるのを待って、わたしたちは祭壇へ向かった。
その道中、さまざまな建物を通り抜けて行ったが、どこも静かなものだった。
いいえ、静かすぎた。
活気がある町は、夜も活気があるはず。
それなのにこの町は、人っ子一人もいない。
IA『召喚士イア』(後編)
-
結月ゆかり(死神)『因果を狩る者たち』
「キヒヒヒヒヒ」
テンションマックスになったゆかり先輩が、背丈を越える刃渡りを持つ鎌をぶん回していく。
風を切る音が周囲に響いた。
それと同時に、金属と金属がぶつかり合う音が響き渡った。
半狂乱になった罪人が銃を乱射しているのだった。
結月ゆかり(死神)『因果を狩る者たち』
-
GUMI『その手で触らないでよ!』
「すすむー! こっちに投げてみろよ」
「はいよー」
俺の名前は箕田すすむ。高校生だ。
今は放課後。友達と帰り道、暇つぶしにキャッチボールをしていた。
今日の肩は調子が良い。
GUMI『その手で触らないでよ!』
-
初音ミク その2
窓一枚隔てて、僕の世界はここで終わる。
六畳ほどの空間が、僕の世界。
毎日届けてくれるお母さんの料理が、僕の外界との接点だ。
……このままじゃいけないことは分かったいる。
でも、外が怖い。
初音ミク その2
-
雪ミク2018『恋する雪の少女』後編
目を開けると真っ白な天井と薬品の匂いがあった。
ここは病室。
「そうか、そういうことか」
しばらく休養して退院する。
逸る気持ちを抑えて、身体をしっかりと治す、
雪ミク2018『恋する雪の少女』後編
-
【悪食娘コンチータ】偉大なるバニカ様と超☆肉☆食☆系コック【原曲者に謝れ】
「さぁ、残さず食べなさい」
親から言われたこと。
『どんなものも残してはいけない。』
だから私はどんなものも食べた。
あら、もう“最後の晩餐会”の時間だわ。
【悪食娘コンチータ】偉大なるバニカ様と超☆肉☆食☆系コック【原曲者に謝れ】
-
嘘撲滅党の野望-37564-
一つ、何時如何なる場合も偽証を行ったものは10年以上20年以下の懲役とする
一つ、事実を記憶していない場合、またはあやふやな場合も前述による刑に処する
一つ、被疑者の身内による偽装工作、心情的事由による理由なき擁護は裁定に加味されないことはおろか、妨害行為として5年以上35年以下の懲役に処する
喝!
欺瞞や不正は社会から根絶すべし
嘘撲滅党の野望-37564-
(プロフィールはありません)