「はいはい、並んでね。あ、通路にはみ出しちゃダメよ」
会場のブースには、男の子たちの長い列が出来ている。
雑誌をメガホンのように丸めて、それを仕切っているのは、霧雨さんだ。
雑貨とキャラクター雑貨のショー「雑貨&コミックフェア」の会場。
その一角で、時ならぬ“ミニミニ撮影会”が起こっていた。
ちょっと迷惑そうに、でも頬を上気させて立つ少女。それはリンちゃんだった。
男の子たちが、おとなしく並んで順番に、彼女をデジカメや携帯で撮影している。
撮り終わって、握手を求める子もいる。
リンちゃんの片手には、おしゃべり人形の「はっちゅーね」が抱かれていた。
ブースから少し離れたところで、それを呆れ顔で眺めているのは、テトさんだ。
さっき、「会場で撮影会みたいなものをやっている」と聞いて、ふと心配になったのだ。
そこで、自分のブースをコヨミ君に任せて、やってきてみると…。
案の定、それは霧雨さんと駿河ちゃんのブースだったのだ。
「はいはいはい、通路に出ないでね。係りの人に怒られちゃうからね。並んでくださいね」
てきぱきと仕切る霧雨さんの姿を、テトさんは思わず口を開いて眺めてしまった。
●不思議なお店、上海屋で…
その頃。
ゆくりさんのお店「ゆっくり」から、一台のバイクがゆっくりと走り出した。
運転は、アルバイトのレン君。さきほどまでお店にいた、りりィさんを後ろに乗せている。
「ゴメンなさいね、乗っけてもらって」
りりィさんは後ろから、レン君に言う。
「いいえ、いいんですよ。ちょうど、お宅のお店に届ける品物もありますから」
レン君はハンドルを握りながら、言った。
やがて、2人はりりィさんのお店、「星を売る店・上海屋」に着いた。
ちょっと雑然とした、不思議なお店。
異国の不思議な雑貨や、アンティーク、そして最近の色とりどりの雑貨。
いつ来ても、どこか“違う空間”に迷い込んでしまうような…「上海屋」はちょっと怖いような、でも楽しいお店だ。
「あ、おかえりなさーい」
2人が店のドアを開けて入ると、店の奥のカウンターから声がした。この店のアルバイトの、ルコ坊だ。
りりィさんが不在の時は、ルコ坊とフランドールちゃんが、交代でアルバイトの店番をしている。
いつもは、フランドールちゃんの時が多いが、きょうはルコ坊がいた。
レン君は、バイクの後ろに縛ってきた荷物から、サンプルの商品を出して、カウンターに置く。
「これ、お願いします」
「どうも有難う。ちょっと、一息入れていかない?ルコちゃん、コーヒー入れてあげてくれる?」
りりィさんはそう言った。
「はぁい」
ルコ坊が、店の奥に入っていった。
●変わった奴がいるヨ…
レン君は、「お気を使わずに」と断ろうと思ったが、ルコ坊がコーヒーを入れると聞いて…
「じゃ、ちょっとご馳走になります」
と頭をかいた。
すごく美味しいコーヒーだと、界隈では有名なのだ。
店内はいろんなものが置かれてはいるが、それなりに広い。
カウンターの隅にあるスツール椅子に座ると、不思議にゆったりとした気分になる。
ちょっと薄暗いのが、また、ここち良い。どこか、異国の部屋にいるようだ。
「もう、ゆくりさんのところのバイト、すっかり板についたみたいね」
微笑みながら、カウンターの奥に入った、りりィさんが言う。
「ええ、なんとか。でも、雑貨って楽しいですね。仕事は大変だけど」
レン君は笑って答えた。
すると、彼のポケットのスマホが着信音を上げる。
「あれ?」
彼がメールを開くと、それは妹のリンちゃんからだった。
『レン、まいったよ。S・O・Sダヨー…』
そう始まっているメールを読み、レン君は目を見開いた。
「なになに?撮影会させられて、それで、…変わった奴がいて困ってる、って??」(・_・;)
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
こんにちは、ご無沙汰してました。ついったーの方、お読みいただき、ありがとうございます。一段落しましたので、バックナンバーから拝読させて頂きました。
今回は、リンちゃんの撮影会から始まって、1つのイベントが起こる前半ですね。ビックリしたのが、レン君がバイク(おそらく原付だと思いますが)を運転していたことです。実は、頭の中で、レン君=公式設定の14歳…だとバイトできないからその付近だと思っていたので、凄く新鮮でした。バイクを駆るレン君、うん、これは格好いい!
でもって、なにやら最後に、”イベント”が発生したようですね。さてはて、”変わった奴”とはどういう方なのでしょう? これから続きを拝読させて頂きます!
P.S ビブリアの漫画の件ですが、絵柄と構図が少し違うので、”カラクリ”以外を、別作品として読もうと思います。人によって、あの二人の絵柄設定がちょっと違うのも面白いなぁと思いました。勿論、ドラマの役者さんもかなり違うんだなぁとも思いました。ではでは。
2013/03/14 15:03:37
tamaonion
enarinさん、メッセージありがとうございます!
>ビックリしたのが、レン君がバイク(おそらく原付だと思いますが)を運転していたことです。
たしかに、バイク姿のレンは見ませんね。
この話を書き始めたのは約2年くらい前で、私の中では、その時から時と共に登場人物は年を重ねているんですヨ。
ちょうど、「あずまんが大王」のようにです。
なので、レン君は今、高校生のはずなんです。
サザエさんのように、永久に同じ、というのもひとつの手ですし、同じあずまんがの作者の「よつばと!」のように、時の流れが「極めて遅い」というアイデアもありますよね。
どれもそれぞれ、面白い設定になりますネ。
>P.S ビブリアの漫画の件ですが、絵柄と構図が少し違うので、”カラクリ”以外を、別作品として読もうと思います。人によって、あの二人の絵柄設定がちょっと違うのも面白いなぁと思いました。勿論、ドラマの役者さんもかなり違うんだなぁとも思いました。ではでは。
ですね、微妙に違うのが、また面白いですね。
買われたのは「ナカノ」さんの方、それとも交田稜さん... 全く違う作風で、違う話のようですよね。
ちょっと紛らわしいですよネ!買う時は。
やっと春めいてきましたが、ご健康に留意してください。
それでは、また。
2013/03/16 02:05:10
オレアリア
ご意見・ご感想
tamaonionさん、今晩は!
遅くなりましたが、前回からの続きを拝読させていただきました。
リンちゃん、会場の撮影会で人気みたいですね。迷惑そうにしつつも、取り巻く人たちへのサービス精神を忘れない。さすがです!
実際のコミケでも売り買いや交流だけではなく、コスプレイヤーさんの存在や撮影会も欠かせないものになってますよね。
ところが、ここで困った人がいるとは。コミケという場に限りませんが、マナー・エチケットの守れない人はダメですよね。誰かを不快な思いにさせないようにするための知識配慮は、一番大切ですし。
より悪質なものになる前に、解決するといいのですが…
ブクマさせていただきました!
余談ですが、ルコ坊のコーヒーは界隈で評判みたいですね。自分はコーヒーが好きなので、ちょっと味が気になるところです(笑)
次回も楽しみに待ってます!
2013/03/06 22:25:59
tamaonion
オセロットさん、コメントありがとうございます!
>実際のコミケでも売り買いや交流だけではなく、コスプレイヤーさんの存在や撮影会も欠かせないものになってますよね
そうですね!でも近頃はアマなのか半プロなのか、よくわからないケースもありますね。会場ですれ違うと、一瞬日常を忘れるくらいの「インパクト」はありますネ。
>誰かを不快な思いにさせないようにするための知識配慮は、一番大切ですし。
そう、それを守ってこそ趣味が楽しめますよね。
意外と、ほんとにコミケやサブカルが好きな人は、マナーを知ってる人が多いようですネ。半分冷やかしで来る人とか、業者に、配慮にかける人がいるみたいですよ。経験上、そんなことを思います。
>ブクマさせていただきました!
>余談ですが、ルコ坊のコーヒーは界隈で評判みたいですね。自分はコーヒーが好きなので、ちょっと味が気になるところです(笑)
ありがとうございます!ルコのコーヒーは公式設定で「納豆コーヒー」が得意、というのを発展させてます(笑)。納豆コーヒー…については、詳しくないですけれど。
コーヒーはリラックスできていいですね。私も好きで1日1回は飲みますネ。
またぜひ、感想を聞かせてくださいね
それではまた。
2013/03/09 23:46:36