＃３６「食事とテト」



前回のあらすじ

電子レンジがおかしくなった

それでも料理の準備をして、ちょっと遅めの夕食





「いただきまーす！！」


挨拶が終わるか否かのタイミングでリンさんが、勢いよく大皿に手を伸ばす


「もぐもぐ……ん、おいしー」


にへらーと、しまりのない顔でとろけているリンさん


「はい、ミク様！私があーんしてあげますね！」


グミさんは、そういうと自分の箸でご飯をつかみ、ミクさんの口の前にもっていく


「い、いいよ、は、恥ずかしいから！」


ミクさんの顔が真っ赤だった


「あん、もう！グミ、私にはー？」


その隣で、リリィさんが口を開けて待っていた


「は？リリィは、自分で食べなよ？」


冷たい視線と、冷たい言葉を放ったグミさん


「いやいや、冗談抜きで、私、手足が縛られてて自分じゃ無理なの！」


リリィさんが必死に縛りから逃れようとするが、そんな軟な縛り方じゃない……


「ふーん。でも、私、ミク様以外にはあーんしないから」


グミさんはぷいっとそっぽを向く


「ねぇー、リンちゃーん。私にあーんしてー」


リリィさんが、下心見え見えの笑顔で笑う


「ごめんなさい！今、自分のを食べるのが忙しいので！」


リンさんは、休む暇なくもぐもぐしている


「むぅ……じゃ、レンくーん」

「え！？い、いや、いくらなんでも、男がそれは……恥ずかしいので……」


レンさんが顔を真っ赤にして断った


「わかったでござる、拙者が……」

「あ、がくぽさんはいいです。……しょうがないなぁ、じゃぁ、テトさん、お願いできますか？」


がくぽさんが、ばっさりと切られた

しかし、なんだろう……「しょうがない」と言われると、やってあげたくないな……


「わ、わかりました……じゃ、はい、あーん」


なんか釈然としない私が差し出した食べ物を、ぱくっと美味しそうにかわいく食べるリリィさん

しかも、なんか、恥ずかしいんだけど……


「わぁ、テトさんとリリィちゃん、仲いいのねー。たのしそー」


ルカさんが、嬉しそうに笑っていた

いや……好きでこんなことをしているわけでは……





「まったく……みんな、もうちょっと礼儀よくたべれないの！」


この状況をみて、メイコさんが呆れていた


「あ、ねぇねぇ、これって、めーちゃんが作ってたやつだよね！また腕あげたね！美味しいよ！」


カイトさんが、無邪気に笑ってメイコさんのつくったものを食べていた

メイコさんは、下を向いて小さな声でぶつぶついっているけど、何を言っているのか聞こえない

けれど、耳まで真っ赤なのはわかった


「やるね、カイトさん」


それを見て、ネルさん、ハクさんが楽しそうに笑っていた