白雪姫、という話を皆さんはご存知ですか?

誰もが知っている有名な話です。

…え?いえいえ。某夢の国のほうの白雪姫ではありませんよ?

ええ。そう、童話のほうですよ。僕が言ってるのはそれなんですよ。




きっと皆さんご存知だとは思いますが、白雪姫はグリム童話のお話なんですね。

それで、本当に最初の話はちょっと子供には見せられないようにグ……な話だったそうですね。

さすがにそれはちょっと…みたいな感じでどんどん改訂され、現在のような話になったんですね。

ほら、あの可愛らしい赤ずきんだって、最初は結構「うわぁ……」みたいな感じだったんですよ?

僕調べましたから。えぇ、あのWik○pediaです。便利な世の中ですね。



どうしてまたこんな話を、ですって?

そうですよね。普通はこんな話、皆さんに聞くものでもないのですから。

でもほら、たまに「あの本読み返したいな」って思うとき、ありませんか?

あんな感じです。そうそう、それです、それ。



それでですね、先日僕が聞いた話なのですが。

これがまた通常の白雪姫とは違うのですよ。

どんなふうに違うのか?それはこれから、僕がお話しますよ。

あ、そこの座布団でよろしければどうぞ、座ってください。







<<ボカロで童話やってみた【白雪姫】>>







はー、やっぱり淹れたてのお茶は美味しいですねー、和みます…

…あれ?もしかして、もう始まってる感じですか?
すみません。ちょっとこれ飲み干してからでいいですかね?
淹れたては確かに美味しいですが僕猫舌なので、ちょっと時間がかかるといいますか…
……すみません!わかりました!僕が悪かったので話しますから怒るのだけはやめてください!



…こほん。
えー、昔か今か未来かよくわかりませんが、ある国にとある王女がいたんですよ。
緑のツインテールで歌が上手い王女だったみたいで。


「世界で一番お姫様、そういう扱い 心得て…」


あ、ほら。今も歌ってらっしゃいますね。


「……よね?」


くるくる優雅に回りながら、最後は上目遣いでこちらを見てきます。
超可愛いです。あざといですね。

ええ。世界で一番お姫様(自称)、だけど本当にお姫様だからしょうがない。
そんな歌姫、ミクさんです。

現在彼女は12歳。かわいいですね。



さて、この王宮にはもちろん、女王様もいます。
実は本当の女王様…ミクさんの実のお母様なんですが、ミクさんを産んですぐに、崖から何者かにより転落させられまして…ご遺体が見つからないまま、亡くなったということになっているんですよ。
犯人捕まってないんですよね。

で、新しい女王様、来ますよね。
その方がすごくわがままでして。でも美しいんですよね。
しかもアレですよ。


「気安く呼ぶな、下劣な豚め…お前など、この私に跪くのがお似合いよ!!」


女王様ですね。
あ、いえ。事実そうなんですけど、ほら、ルカさんってSで高飛車でツンデレなイメージもあるじゃないですか。
そういう意味で言ったんですよ。
でも、こんなルカさんが、僕は大好きです(真顔)。

あ、ルカさんの話しましたけど、この方メイコさんです。
メイコさんにこんなイメージはないので珍しい光景ですよね。

でも、アレなんですよね。
うちのメイコさん、普段からちょっとおかしいですけど、こういう役初めてなんですよね。
ちょっと心配なんですが。


「フフ、崇めなさい。褒めなさい。世界で一番の美貌を持つのは、この私なんだから」


あ、意外とノリノリです。
大丈夫そうですね。


で。
皆さん既にわかっていると思いますが、メイコさんは魔法の鏡(仮)を持ってるんですね。
で、毎晩一人になると、魔法の鏡(仮)に尋ねるんです。


「鏡よ鏡。この世で一番美しいのは誰だい?」


なんてことを聞くんでしょう(棒読み)。
魔法の鏡(仮)は、いつもこう答えるのです。


『え、何?あー…それは女王様、貴方です』
「やっぱり?やっぱりそう思う?」
『どっちかってっとアレですね。シミできてますよ』
「一言余計じゃコラアアアアアアアアア!!!」


自分が好きなんですね、女王様。いいことです。
たまに鏡を叩き割るんですけど、鏡の中の少年は、すぐに別の鏡に移るんです。
そう、この黄色い髪の少年は、死なないんですね。



月日が流れて。
ミクさんが13歳になったとき、彼女はどんどん美しくなり、癒されるオーラと笑顔を城中に振りまきました。
ま、かわいいから、仕方ないですね。

デ、女王様ことメイコ様は、やっぱり魔法の鏡(仮)に「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは(ry」って聞くんです。
すると魔法の鏡(仮)はこう答えました。


『それは貴方ですよ。もう何回答えさせる気なんですか?疲れました』
「は?この私に逆らうと言うの?生意気ねえ。鞭でお仕置きしてあげましょうか?」
『いや…僕、鏡ですし。意味ないですよ』
「……(暗黒微笑)」


だんだん面倒になってきたんですね、わかります。
よく一年も同じこと言ってましたね。
メイコさんもやつれないんでしょうか。
あ、自分大好きだからやつれるわけありませんね(ニッコリ)。


『あ、だけど…最近は白雪姫が美しくなってきてます。白雪姫、でしたっけ?』
「は?あいつが?」
『えぇ。やがて彼女は、貴方の何倍も美しくなるでしょう。その美しさはそれはもう世界を魅了することでしょう』
「美味しいスイーツの紹介をするテレビリポーターみたいに言うんじゃないわよ!』
『貴方ですが、大変お安くなっております』
「一言余計じゃ(ry」


ま、あれですね。
メイコさんはミクさんにいやがらせをします。

それこそ、秒速27mで走ったり、勉強中に居眠りしたらチョークを投げたり、部屋に南京錠をつけて入れなくしたり、部屋に血痕を残したり。明らかに一個おかしいし地味ですししょうもないですけど。
ただ、ミクさんはチョークを寸前でキャッチしたり、南京錠をピッキングで開けたりして乗り越えてました。
なんでミクさんはそんな芸当ができるんでしょう。それは一国の王女がしていいことではないと思うのですが。

血痕については「これは…鉄臭くねえ。血じゃねえな…絵の具か、脅かしやがって」とか言って、キレイにお掃除してました。
台詞が男っぽいんですけど。


で、結局、魔法の鏡(仮)も、『世界で一番かわ…美しいのは、白雪姫とかいうツインテールの子です』と答えるようになりました。
んで、とうとうメイコさんはある日、家来の狩人を呼ぶんですね。


「何か御用でしょうか?眠いんですけど」
「あらあら、ば神威、別に断ってもいいのよ?アナタの首を切ればいい話だもの」
「いえ、もちろん断る気などありませんが…」
「よろしい。では、あの忌々しき白雪姫を…ミクを森に連れて行き、殺してきなさい」


なんかだんだん、ルカさんが某悪ノ娘みたいになってきたんですけど、いいんでしょうか。
そして衝撃を受けた狩人が言います。


「……。よろしいのですか?血は繋がっていなくても、貴方の娘ですよ?」
「かまわないわ。なんなら森の奥に住むちっちゃいおじさんの帽子を奪ってくる、でもいいのよ?」
「おっしゃる意味が解りませんが」


なぜちっちゃいおじさんなのでしょうか。
そして神威と呼ばれた狩人は、明らかに狩人の格好をしていません。
これはいわゆる、警察という格好をしています。
拳銃も持ってます。ポリスです。
でも狩人と言い切った方が勝ちなので、ルカさんの勝ちですね。


「あーもー、とにかく行ってきなさい!アナタの部屋の冷蔵庫にあるエクレア、私が食べちゃうわよ?」
「あんたは子供ですか?」
「私が女王よ…家来の分際で、この私に逆おうとするとは…、それなりの罰を受ける覚悟があって言っているのよねえ?」



いろいろあって、なんだかんだで、神威さんはミクさんを連れて森に行きます。そして拳銃の銃口をミクさんに向けます。
メイコさんの命令でミクさんを殺さなければいけない神威さんですが、一向に引き金を引こうとしません。
いや、確かに引き金に指は添えられてはいますが。


「お母様、私を殺せって言ってたんでしょう?さっさと殺せばいいじゃないですか」
「まだ何も話していないのによく解りましたね。まぁ、ご命令に従って、貴方をここで殺しても良かったのですが」


神威さんは表情を変えないまま、拳銃を下ろします。


「気が変わりました。俺は女王の命令に従いません。どこかへ逃げてください」
「…いいんですか?」
「はい。俺がこんなことをしても、何のメリットもない。というわけで、はいコレ」


神威さんは持っていた拳銃をミクさんに手渡します。
思っていたより重いそれを、ミクさんはマジマジ見つめます。


「これ、なんですか?」
「拳銃です。護身用にどうぞ」
「いや、どうぞって…あなたの分は」
「ご心配なく。もう一丁あるので」


どこからか、もう一丁の拳銃を取り出す神威さん。
拳銃を二丁も携帯している警察官っていませんよね。
この人、おかしいんじゃないですか?


「……。死ぬか?」


すみませんスミマセン僕が悪かったのでその銃シマッテクダサイ。

結局、神威さんはどこかへ去っていきました。
数分後、どこからか発砲音が鳴り響きました。
彼は一体何を撃ったんでしょう。怖くて聞けませんね。



で。
ミクさんは森の奥へ奥へ進み、一軒の小さなボロい家を見つけました。
コンコンと扉を叩き、「誰か…誰か、いませんか?」と言います。
すると扉が開き、中からはボロボロの服を着た緑髪の少女が出てきました。


「…あれ、何の用、ですか?」
「すみません。実はこう、かくかくしかじかで」


ミクさんが訳を話すと、緑髪の少女はうんうんと頷きました。


「…なるほど。それであなたは、わたし達の家に、来たんですね」
「はい」
「…そうですか。じゃあ、どうぞ、お入りください。お茶を入れますね」


緑髪の少女は、ミクさんを招き入れました。
彼女はグミと名乗りました。

部屋の中心のテーブルには、二人の女性が腰掛けていました。


「あれ、グミ。その少女はいったい誰かな?」
「可愛らしい少女ね」
「…かくかく、しかじか、です。困っている、みたいなんです」


グミとミクさんが説明をすると、二人の女性は理解してくれました。


「そうかい…大変だったろう。思い出すなあ、ボクも狼に追いかけられて、必死の鬼ごっこをしたもんさ」
「あんた絶対おかしいと思う。でも気の毒ね。ま、行くところがないのなら、うちに居ればいいわよ」
「…そうね。でも、それなりの、条件は、出すよね?」
「「もちろん」」


二人の女性のうち、金髪の少女が条件を指定してきました。
彼女は赤い頭巾を頭に被り、変わった口調で喋ります。


「ミク。もしもキミが、ボク達の家の仕事を手伝ってくれるのならば、ここでずっと暮らしてもいい」
「え?本当ですか!」
「あ、あと」


もう一人、桃色の髪でどこか近寄りがたい雰囲気を持つ女性が、付け足しました。


「仕事っていうか、家の掃除とか洗濯とか選択とか食事の用意とかトランプとか、その辺だから安心していいよ」
「はい!…てか、選択?トランプ?」
「…あぁ、ルカの言うことだし、あんまり、気にしないほうが、きっと幸せ」
「ちょ、グミ!」
「あっはははは」



こうして、白雪姫ことミクさんは、どこか不思議な彼女達の家に暮らすことになりました。
金髪の「赤ずきん」はリン、桃色の「人魚姫」はルカと名乗りました。
ルカは元が人魚姫ですが、訳あってここで人間として暮らしているのだそうです。


「なんでルカさんはここにいるんですか?」
「そういや前聞いたねえ。確か、『乙姫を捕まえたしやることないし適当に来た』だったか?」
「うふふ、そうね」
「乙姫、ですか…?」
「…知らなくても、いいことが、世の中には、ある」
「そういうグミだってワケありなんだろう?話しちゃえよ」
「…リン、お前を、このマッチで、ステキな感じに、するよ」
「怖いんだぜグミちゃんよ」
「お前に、赤いアカイ頭巾を、着せる、ぞー」
「残念でしたっ、ボクはもう着てるからな♪」


グミは近くにあったかごを引き寄せ、マッチの箱を一つ手に取ります。
中にたくさんのマッチが入っているところを見ると、このグミと呼ばれる少女は「マッチ売りの少女」でしょうか。
なんだか童話の人だらけだな、とミクさんは思ったのでした。




ちょうどその頃、城に戻った神威さんは、メイコさんに会いに行きました。


「無事に戻ってきたみたいだけど、どうなのかしら…」
「さぁ、どうでしょうか?」


神威さんにはところどころ赤い何かがついています。
拳銃と、それを握っている手はしっかり赤で濡れています。
彼は本当に森で何をしたんでしょうかね。
返り血らしきものを浴びている上に無表情なので、超怖いです。


「どうやらミクは…やったみたいね。これで一番美しいのはこの私だ」
「本当にそう思いますか?」
「あら?じゃあ、他に誰がいるというのかしら?」
「それはどうでしょう、俺は正直に言えばどうでもいいので」


あぁでも、と何かを思いついたように、神威さんは僅かに笑いました。


「少なくとも、貴方は一番ではなくなると思いますよ?」


そして、どこか違和感のある僅かな笑みを表情に残したまま、彼は――手に持ったままの拳銃を、メイコさんに向けるのでした。


「はあ、こんな所にいたくないわよ、私は部屋に戻るわ…ねえ、私っていつ死亡フラグ立てた?」
『お答えします。フラグを立てた犯人は貴方です、女王様』

「…遺言はそれだけですか?」


魔法の鏡(仮)の言葉も見事にスルー。
まるで何の感情もないかのように、彼は引き金を引いた。

そして―――警備がゼロのその場所に、乾いた銃声が響き渡った。








                                    【To Be Continued…?】

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ボカロで童話やってみた 前編【白雪姫】

シリアスしかない気がします。
202号室のゆるりーですけど、最近朝になるとカーテンがシャーされて「目がああああぁ!」になるんですが、何が原因なんですかね?

とりあえずぱぱっと書いたら容量がえらいことになったので、一旦ここで投稿しました。
ところどころ過去のネタを散りばめてあります。
わかる方は「あったねー」と思うかと思います。
ただ、完璧に過去の設定を引き継いでいるわけでもありません。

カイト「あれ?ちょっと待って、僕は!?」
ゆるりー「次回以降じゃね?」

そういえば最近、「カイトの扱いに定評のある(ry」タグがつかないんですが←

閲覧数:498

投稿日:2013/07/04 21:43:02

文字数:5,864文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • しるる

    しるる

    その他

    赤ずきんとか、人魚姫とか、マッチ売りとか、わかる人にはわかる仕様w
    やっぱり、そういうのいいですよねww

    幼ミクちゃん、かわいいですw

    2013/07/06 22:35:55

    • ゆるりー

      ゆるりー

      キャラ付けに迷って、あえて関連性を持たせることにしましたw
      なんか、いいですよねw

      いつもの16歳ではないですが、ちょっと幼いミクちゃんも好きなんですw

      2013/07/06 23:57:36

  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    まさかのグリム童話が元ですかwwwwww
    私もグリム童話の中では一番白雪姫が好きですよwww
    特に王子が【自主規制】な人だったというシーンと、白雪姫とお父様が【自主規制】の関係だったことと、白雪姫が小人たちに【自主規制】するところと、お妃様が生き返った白雪姫に処刑で【自主規制】されるシーンが好きです(ぇ

    ゆるの童話シリーズの子たちが登場してるwww
    というか人魚姫と乙姫wwwお前ら因縁の対決やらなんやらはもういいの?www
    「カイトの扱いにry」のタグつけてあげるから、ぜひ次は兄さんを出してあげて!

    あれ? 確かグリム童話の女王様は白雪姫の実母のハズでは……?
    「実母が実娘を殺すのは教育上よくない」という理由で、幼児向け白雪姫は「女王様は白雪姫の継母」に変えられたんですよ。
    白雪姫は確か7歳だったハズ……?

    よーし、そろそろ私もカイメイ童話書かなきゃなー
    というか白雪姫ずっと放置してたまんまだっt(((燃える鉄の靴

    2013/07/04 22:43:09

    • ゆるりー

      ゆるりー

      グリム童話のほうがいじりやすいんですww
      私は何が一番好きか、決めてませんww←
      意外なシーンが好きなんですね。【自主規制】ですか(なぜわかった

      なんとなく出してみたw
      「捕まえたから決着ついた」by ルカさん
      多分出ると思います(出してやれ

      そうですよ?
      知ってますよ。
      七歳だと鏡がロリコンになってしまうと思って←
      書きやすいように、今の白雪姫の設定をいろいろ変更したんですよ。

      そういえばそうだったw

      2013/07/05 15:46:09

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