その後


ミク姉がアンインストールされてから三日が経とうとしていた。
仇をとるといっても、何をしていいか分からなかった。
ひそかにマスターに復讐しようと思いながら、平然を装ってルカ姉達に接していたつもりだったのだが。

「…リンちゃん、どうかしたの? あ、ミクちゃんのこと?」
「え、あ…。う、うん。寂しくてさ…」
「そうね…。仕方なかったとはいえ、別れの挨拶ぐらいしたかったわ」
 
適当なことを言ってはぐらかすつもりだったが、ルカ姉は泣き出してしまった。
寂しい気持ちもあるが、それよりも、マスターへの怒りの方が強い。
 
「本当にすまなかったと思っているよ。ルカ」
「あ、いえ、すみません、マスター。勝手に泣いてしまって。レッスン中ですのに」
「いや、いいんだ。ミクを守れなかったのは俺のせいだしな」
 
何が、『守れなかった』だ。
ミク姉を守る気なんか全くなかったくせに。
 
「そうだ。ミクの部屋をそろそろ片付けようと思うんだ」
「え?どうして?」
「新しく『がくっぽいど』を迎えようと思ってて、ミクの部屋をがくぽの部屋にしようかな…と考えててね。
それで、ミクの形見になるものそれぞれ一人一つずつとったら、全部削除しようと思うんだが」
「私はそれでいいですが、グミちゃんとリンちゃんとレンくんは…」
「私もいいですよ」
「私も」
「私も別に…」
「俺も」
「…リンたんは?」

正直、ミク姉の部屋がなくなってしまうとミク姉自身が忘れられてしまいそうで、いやだった。
なにより、マスターの意見であることが気に入らなかった。
でも。
 
「…いいですよ。一人につき一つずつミク姉の形見となるものをもらえるんですよね?
 あと、あたしのせいで皆に迷惑をかけちゃったら…」
「そんなのは気にしなくていい。リンたんの気持ちを聞きたいんだ」
「マスターの意見に賛成です」
「ありがとう。じゃあ、早速ミクの部屋のことを始めようか」
 


あたしたちは、ミク姉の部屋へ向かった。
 
 
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・
 
次回に続きます

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

家族の消失 ―初音ミク編③―

ミクさんがアンインストールされてからの話です。

結構長くなりそうです。

 

初音ミクの消失
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2937784

この小説の土台、および参考にさせていただいております。

閲覧数:390

投稿日:2012/04/02 12:13:50

文字数:902文字

カテゴリ:小説

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    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    このペテンマスター…!!

    がくぽの部屋ぐらい増築しろっつーの(おいそれでいいのか

    2012/07/15 20:19:56

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