ゆくりさんのお店に、お客としてやってきた駿河ちゃん。
りりィさんたちに訪ねられて、“人形”の秘密を少し、話し始めた。

「あたしと姐さんで、デフォ子さんに、特注のはっちゅーね人形を作ってくれるよう、頼んだんです」

そう聞かされて、ゆくりさんは興味津々の様子で聞いた。
「あらー、そうなのー。でも、特注って、どんな感じなのかしらー?」

「ええ、あの、最近はデフォ子さんも、忙しくてそういう注文は受けないみたいですけど」
駿河ちゃんは前置きして話し始めた。
「人形の中にある、おしゃべり機能。これに工夫をして、外からメール送信で、好きな言葉を喋らせられるんですよね」

「あらー、やっぱり、そうなのー?」
ゆくりさんはニヤニヤとうなずいた。

「りりィさんが、予想してた通りねえー」


●仕掛けちゃいましょう!

その頃、テトさんの「カフェ・つんでれ」では、霧雨さんがテトさんに熱心に話しかけていた。

「ねえ、テトさん。新しい商品も、いろいろ面白い“仕掛け”をつけたら、どうですか?」

テトさんは、ちょっと困った顔になった。
「“仕掛け”?たとえば?」

霧雨さんは、腕を組んで考え始めた。
「そうですねー。この間の人形みたいに、“裏から、喋らせる”のは、もうつまらないし...」
彼女は、珍しく真剣な顔で考えている。
「うーん。あんまり小細工を使わずに、でも、不思議な雰囲気が出せたら、いいんですけどねえ」

それを聞いて、テトさんは笑って言った。
「不思議なことが、好きみたいですね」
霧雨さんは、それに答えて言った。
「ええ、不思議・大好きです!。でも、いまは世の中みんなが、そういうのが好きみたいなんですよ」


●自然派にしようと思うんだけど…

すると、テトさんは、自分のバッグからサンプルの“テト・ドール”を出した。
そして、霧雨さんの“はっちゅーね”のとなりに置いて、言った。

「でも、不思議もいいけど。新しいテト・ドールは、テーマが“ナチュラル”なんですヨ」
テトさんは、自分の人形の頭をちょんとつついて、続けた。
「あんまり小ワザや、ギミック(仕掛け)を使うよりも、自然派のキャラクターにしようかな、とも思うし」

2人のやりとりを、グラスを磨きながら聞いていた、マスターが、そこで口を挟んだ。
「あれ?でも、テトさん。その人形、仕掛けがあるんでしょ」
テト・ドールを見て言う、マスター。
テトさんは「え?」という顔をした。
「仕掛け?...って何が?」

マスターは、テト・ドールを覗き込んでいう。
「いま、お目目がキョロッと動いたですよ、これ」∑(・o・;)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(210) 新しいドール

「不思議・大好き」、かつて、そんなコピーがありましたネ(笑)。

閲覧数:100

投稿日:2013/09/23 16:48:22

文字数:1,095文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    今晩は! 本編の方はまだ読んでいなかった所から始めようと思います。

    いろいろ仕掛けをしようと、会議中ですね~。こういう内容でのディスカッションって楽しいですよね~♪ アイデアのつぶし合いは面白くないですけどね。

    テト・ドールさん、なんか、製作者もしらないギミックがあるのかも! 怖いけど興味津々!

    ではでは~♪

    2013/10/16 22:32:07

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、コメントを有難うございます!


      >こういう内容でのディスカッションって楽しいですよね?♪ アイデアのつぶし合いは面白くないですけどね。

      ですよね。会議にも2通りありますよね。
      トップダウンの会議は結構退屈ですけど、みんなで自由に話し合える「ブレーンストーミング」みたいのは、やりがいがありますね。

      政治家さんがテレビで話す会議は、収拾つかなくなりがちですけど(笑)

      また、感想を聞かせてください!
      それでは、また。

      2013/10/17 21:50:17

オススメ作品

クリップボードにコピーしました