天から降りし哀しみは五月雨 誰かの悲しみはにわか雨
あなたと 私の涙とで 驟雨

夕涼み露に濡れる鈴蘭は鈴の音
幾線もの雫に流される紫陽花は蝶の羽

夜闇に瞬く天(テン)の川 天女と男星は出会わぬ運命(サダメ)
叶わぬ願い 短冊に託し 洒涙雨(サイルイウ)が流れ落ちる


霊漂う盆の暮れ 夕闇に飛ぶ蝙蝠(コウモリ)は使者
墓標に手向ける 深紅の彼岸花

涼風包む未明に咲くは朝顔の旋律
灼熱吹く昼下がりに揺れるは向日葵の奏

霊魂燈す蒼き鬼灯(ホオズキ) あなたの魂宿らせる
届かぬ声 風に流して 今日も探す


あなたの見えぬ海辺 神隠しの噂言
夜空に咲く花を頼りに 待ち続ける

稲妻に燃えし我が身体(ミ)を 止め続ける
時は流れても私は止まる
炎に揺らめく 無数の霊魂
黒く変わり行く 白き菖蒲(アヤメ)の浴衣
片手には青白く光り揺れる鬼灯
片手には薄紫に色付き咲く竜胆
髪には遠き思い出を語る金の簪(カンザシ)
子狐の幻が 「早くおいで」と私を呼ぶ
炎は狐火に変わり 青く青く私を包む

水面に浮かぶ蓮の葉 映る菖蒲(ショウブ)の花姿
泡と戯れる金魚達 泳ぎ踊る目高の群れ
金魚鉢に映る曲がった私の顔 綺麗な瞳のビー玉
優しく揺れる風鈴の音色 風に惑わされる風車
薄黒い雲が包む天上 鴉が怪しき声で騒ぎ出す
黒い影を伸ばしやって来る死神 零れるは偽りの戯事
私を奪う不確かな蜃気楼 幾万かの魂は飛び回る
青空を閉じ込める水溜まり 儚き命の蝉の声
空蝉虚しき心は私 抜け落ちた身体に私はいない

どこかであなたの呼ぶ声が聞こえる 行かなくちゃ
消え行く身体(カラダ) 恐怖など無い


「もしもし?
 次はあなたの番ですよ」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

季楼風詩

2008.06.30.
テーマ:夏の和風ホラー
題名読み:「きろうふうか」
     季節の「季」
     蜃気楼の「楼」
     風物詩の「風」
     詩集の「詩」

夏の今の時期に合わせて書いた詩です。
この作品、実は一度書いた物が消えてしまい、記憶を頼りに書き直した物になります。
書き終わった後に、そんなにホラーでもないなーと(笑

主旋律をミクで、コーラス等をリン・レンでどうでしょうか?

閲覧数:120

投稿日:2008/07/09 23:14:42

文字数:716文字

カテゴリ:歌詞

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