タグ:ロミオとシンデレラ
349件
義母が普段は教室に使っているという広い部屋には、テーブルが並べられ、その上に様々な料理が並んでいた。
「……これ全部、お義母さんが?」
「ハクも手伝ってくれましたよ。それに、メイコさんとマイコさんが持ってきてくれた分もあります」
ミカを椅子に座らせ、料理を取り分けながら義母が答える。ミカは美味し...ロミオとシンデレラ 外伝その三十九【家族の定義】その三
目白皐月
「あれ、先輩? どうしたんですか急に」
「アカイ!?」
家の奥からでてきた相手を、俺は驚いて見つめた。大学時代の後輩のアカイだ。学部は違うがサークルが一緒で、仲も良かった。卒業してから、めっきり会ってなかったが……。
「客ってお前だったのか!?」
頷くアカイ。どうしてアカイがここにいるんだ。はっ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十九【家族の定義】その二
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ガクト視点で、【こわれゆくもの】からの続きです。なお、【ただひたすらに】からの流れもくんでいますので、両者にまつわる外伝を全部読んでから、読むことを推奨します。
【家族の定義】
何かがおかしい。
俺がそう思うようになったのは、ミカ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十九【家族の定義】その一
目白皐月
そうして、何日が経過しただろうか。よく憶えていない。ミカを生んでからは、時間の経過が自分でもよくわからなくなっている。ミカに煩わされるだけで、一日が過ぎていくからだ。
ミカは学習能力があまりないようで、相変わらず私を困らせてばかりいる。いつになったらいい子になることを学ぶのだろう。いつもお行儀よ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十八【こわれゆくもの】後編
目白皐月
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ルカ視点で、【知らなくてもいいこと】から続いています。
従って、それまでの話を読んでから、読むことを推奨します。
【こわれゆくもの】
今日もミカが泣いている。ものすごくうるさい。赤ん坊というのは泣くようにできているらしい。
私は頭痛を感じな...ロミオとシンデレラ 外伝その三十八【こわれゆくもの】前編
目白皐月
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ハク視点で『あの子の真実』の後の話となっています。
それまでの話を読んでから、読むことを推奨します。
【ただひたすらに】
お父さんとカエさんが離婚する時、あたしはカエさんと一緒に家を出た。カエさんには血の繋がってないあたしを引き取る――しかも...ロミオとシンデレラ 外伝その三十七【ただひたすらに】
目白皐月
その日の夜、俺は電話で兄と話をした。内容は当然、今日のことである。
「やれやれ……それは、気が滅入るな。自分より年下の義母か。そんなドラマみたいなことが起きるとは」
電話口の向こうで、兄は呆れを含んだ声をあげている。
「滅入るなんてもんじゃない。お義父さんは、一体何を考えているんだか」
「あれだ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十六【知らなくてもいいこと】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ガクト視点で、外伝その三十四【誰が為の嘘】から続いています。
したがって、それまでの話を読んでから、お読みください。
【知らなくてもいいこと】
義両親が離婚した翌年、ルカは初めての子供を出産した。女の子だった。俺は娘にミカという名...ロミオとシンデレラ 外伝その三十六【知らなくてもいいこと】前編
目白皐月
向こうに行く準備が整うまでの間、俺とリンは、俺の家で過ごすことになった。すぐにでも発ちたかったけど、やらなければならないことがある。姉貴も交えてどうしたらいいかを話し合い、次の日から行動を開始した。
俺と一緒に向こうで生活するとなると、当然、今の学校は辞めなくてはならない。相談の結果、リンは向こ...アナザー:ロミオとシンデレラ 最終話【この瞬間よ永遠なれ】
目白皐月
レン君と一緒に家を出たわたしは、しばらくレン君の家に泊めてもらうことになった。その日の夜、レン君やお姉さんを交えて今後のことを相談した結果、わたしはレン君と一緒にニューヨークに行くことにした。レン君は最初からそのつもりだったし、わたしも異論はなかった。ただ、すぐにとは行かない。大学のことがあるし。...
ロミオとシンデレラ 最終話【笑顔と涙とわたしの人生】
目白皐月
「ねえ……このペンダントトップ、もしかして、靴の形をしていなかった?」
巡音さんが遠慮がちに割り込んだ。靴? どうだったかな……。
「壊れる前のは見てないから、わからない」
俺の答えを聞いた巡音さんは、黙ってしまった。
「リン、思い当たるところがあるんなら言ってやれよ」
「う、うん……あのね、こ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十五【君に捧げるガラスの靴】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
クオ視点で、本編七十八話【クオの想い】アナザー七十話【ミクの願い】より、数ヵ月後のクオとミクを書いたものです。
よって、本編とアナザーをそこまで読んでから、読むことを推奨します。
【君に捧げるガラスの靴】
レンと巡音さんがアメリカ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十五【君に捧げるガラスの靴】前編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
アカイ視点で、外伝三十二【そして終わりの幕を引こう】の後の話となっています。
したがって、それまでの話を読んでから、お読みください。
【あの子の真実】
駅での偶然の邂逅の後、弱音とはそれなりに仲良くできている。少なくとも、俺がマイ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十四【あの子の真実】
目白皐月
「もしもし、さっきの……」
言いかけたところで、また電話を切られてしまった。もう一度リダイヤルボタンを押す。こうなったら意地だ。出たのは、やはり同じ女性だった。
「しつこいわね! この泥棒猫の身内が!」
大声で怒鳴られ、俺はまた唖然とすることになった。この人は、一体何なんだ?
「何なんですか、い...ロミオとシンデレラ 外伝その三十三【誰が為の嘘】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
外伝三十二【そして終わりの幕を引こう】のガクトを書いたものです。
よって、外伝三十二までの、巡音家関連の外伝全てに目を通してから、読むことを推奨します。
【誰が為の嘘】
待ち合わせに向こうが指定してきた、都内の洒落たバー。俺はそこ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十三【誰が為の嘘】前編
目白皐月
この事件があった後、リンは部屋に閉じこもるようになってしまった。部屋といっても、今までの部屋ではない。襲われた時の恐怖から、リンは自分の部屋で過ごせなくなってしまったのだ。私はリンに向かいの部屋に移るように言い、私物も全部移させた。それから業者さんを呼んで、内鍵もつけてもらった。二度とこんなことが...
ロミオとシンデレラ 外伝その三十二【そして終わりの幕を引こう】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの継母、カエさんの視点で、本編第七十七話【水晶の心が砕ける時】、及び外伝三十【一歩踏み出す時】のサイドエピソードとなります。
従って、それまでの話を読んでから、お読みください。
【そして終わりの幕を引こう】
高校生の時、リンは...ロミオとシンデレラ 外伝その三十二【そして終わりの幕を引こう】前編
目白皐月
リンちゃんの様子がおかしくなったのは、大学二年の終わり頃だった。「体調を崩したからしばらく休む」とのメールが届いて、それきり。わたしはお見舞いに行くとメールしたのだけれど、リンちゃんから「ごめんなさい、今、人に会える状態じゃないの」と断られてしまった。
何が起きたの? また閉じ込められてるとか?...アナザー:ロミオとシンデレラ 第七十話【ミクの願い】
目白皐月
大学二年の春休み。レンから、突然連絡が来た。いや、連絡自体はもともと取っている。連絡というか、いきなり電話がかかってきたんだ。しかも、今日本にいるという。
「お前、いつ日本に戻ってきたんだ?」
「……二、三日前」
電話の向こうで、レンが答える。何があったんだ。巡音さんを迎えに来れるようになるまで...ロミオとシンデレラ 第七十八話【クオの想い】
目白皐月
「うわ……俺だったら撃てねえ」
ああ、クオは射撃、やってるもんね。クオが進学を決めた大学は射撃部があるので、大学に入ったら部活はそれにするって言っている。もっとも、まだ動かない的しか撃ったことがないから、あの状況じゃ撃てないだろう。
トラヴィスが銃を撃つと、二匹は倒れた。まさか……と思ったけど、...ロミオとシンデレラ 外伝その三十一【愛すべきわめき屋へ】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ミク視点で、ミクとクオが大学に入る直前の話です。
それが頭に入っていれば、読めると思います。
【愛すべきわめき屋へ】
高校を卒業した、春休みのある日。特に予定も入っていなかったので、わたしは自宅でのんびりと過ごしていた。クオも今日...ロミオとシンデレラ 外伝その三十一【愛すべきわめき屋へ】前編
目白皐月
その日の夜。夕飯が終わった後も、あたしは食堂に残っていた。リンが殴られてから、引きこもるのはやめたのだ。だから、食事はリンやカエさんと一緒に、食堂でとっている。お父さんがいない時限定だけど。
「ハク、どうかしたの?」
リンはもう自分の部屋に引き上げてしまったので、食堂にいるのはあたしとカエさんだ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十【一歩踏み出す時】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの姉、ハクの視点で、本編七十六話【泣かせてください】と七十七話【水晶の心が砕ける時】の間の時期までの話となります。
よって、本編をそこまでと、外伝二十九話【その心の中に】までのハク関連の外伝を読んでから、読むことを推奨します。
...ロミオとシンデレラ 外伝その三十【一歩踏み出す時】前編
目白皐月
もうリンをあっちに置いておけない。そう考えた俺は、姉貴にそう伝え、リンには、「心配している」という内容の手紙を書いて送った。ことは簡単に運ばないのはわかっていたが、何もせずにはいられなかったんだ。けど、リンからの返事は来なかった。手紙を書くこともできないほど、辛いらしい。
じりじりするうちに時間...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十九話【最悪の日々は終わりを告げて】
目白皐月
わたしはどうして、生きているんだろう。
たまに、そう思ってしまう時がある。そういう風に考えるのはよくないのだろうけど、自分が生きているのが不思議に思えることがあるのだ。
部屋に閉じこもって、ミミを膝に抱いて撫でながら、ぼんやりとする。ソウイチさんに殴られてからというもの、わたしはそんな風にして...ロミオとシンデレラ 第七十七話【水晶の心が砕ける時】
目白皐月
それから、どれだけが経過しただろうか。食事が終わった後も飲むのをやめる気になれず、俺たちは居酒屋に移動して飲み始めた。結果として……。
「あたしはどうしようもないダメ人間なんです……」
弱音はグラスを傾けながらぼろぼろ泣いていた。酔っ払うと涙もろくなるタイプらしい。
「だ~か~ら~、決めつけるな...ロミオとシンデレラ 外伝その二十九【その心の中に】後編
目白皐月
弱音が乗り換えに使っているという大きめの駅まで一緒に行って――マイコ姉の最寄り駅の近辺、ろくな店がないんだ――手ごろなイタリアンの店に入る。ピザとパスタ、もう夜だしということでワインも頼んだ。
「弱音は飲めるの?」
「ええ、まあ。マイコ先生につきあって、飲みに行ったことありますし」
マイコ姉はか...ロミオとシンデレラ 外伝その二十九【その心の中に】中編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
カイトの従兄、アカイの視点で、外伝二十八【荒療治】の続きになります。
従って、それまでの話を読んでから、読むことを推奨します。
【その心の中に】
「で、相変わらずミス・ガーディアンは揺るがないわけ?」
俺は手にした携帯に向かってそ...ロミオとシンデレラ 外伝その二十九【その心の中に】前編
目白皐月
両親と喧嘩でもしたんだろうか。実を言うと、僕にも憶えがある。ユキぐらいの年齢の頃、両親と大喧嘩をして家を飛び出した。やっぱりユキみたいに公園で、一人でブランコに座って「もう二度と家には帰らないんだ」なんて、悲痛な決意を固めていたっけ。……もっとも僕は根性が無かったので、空腹になったら帰ってしまった...
ロミオとシンデレラ 外伝その二十八【やまない泣き声】後編
目白皐月
それからというもの、ユキは度々僕の家に遊びに来るようになった。遊びに来るというか、最初のうちは母さんが連れて来ちゃってたんだけど。「一人でぽつんとしてたから~」とか言って。問題じゃないかと思ったけど、言って止まる人ではないので、僕は黙っていた。
そのうちに、ユキは自発的に来るようになったけど、母...ロミオとシンデレラ 外伝その二十八【やまない泣き声】中編
目白皐月