タグ「白ノ娘」のついた投稿作品一覧(84)
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ミクとハク
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メイコの右腕 アレク 『ハルジオン』挿絵第三弾
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赤い騎士メイコ 『ハルジオン』挿絵第二弾
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ハルジオン 【小説版悪ノ娘・白ノ娘】 挿絵①(39話該当)
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エピローグ
「ハク、ブリオッシュが焼けたよ!」
ルータオ修道院の一室、食堂の奥にある厨房で、楽しげなリンの声が響いた。あれからリンの料理の腕前はめきめきと向上し、今はいっぱしのブリオッシュを一人で焼ける様にまで成長していたのである。熱いトレイの上に載せられたブリオッシュを見て、思わず目元を緩めた...ハルジオン81 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】 最終話
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最終章 白ノ娘 パート8
あの後、どのようにして自分の私室に戻って来たのか。記憶すら曖昧な状態のままで私室へと戻ったハクは、背中越しに部屋の扉を閉めると重い吐息を漏らした。そのまま扉にもたれかかる様にして背中を押しつけたハクは、呻くような声を漏らしながらゆっくりと床へと腰を落として行った。頭は灼熱...ハルジオン80 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート7
ハク、一体どうしたのだろう。
その日の夜、リンはそう考えながら、ベッドの上、周囲を見渡すことも困難な漆黒に染め上げられた部屋の中で、一つ寝返りを打った。ハルジオンを摘むのに夢中で気が付かなかったが、途中からハクがとても気分が悪そうに、顔が青ざめ始めたのである。暑気にやら...ハルジオン79 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート6
「どう、かな?」
恐る恐る、と言う様子でマリーがハクに向かってそう訊ねた。場所はルータオ修道院の厨房、今ハクの目の前に置かれているものは本来ならブリオッシュと名付けられるべき食べ物である。だが、お世辞にも美味しそうとは言えない見栄えではあった。ブリオッシュの端は黒く焦げ...ハルジオン78 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート5
ロックバードの言葉につられる様にセリスは腰を上げ、自身の身長の二倍はあるようなロックバードの背中について歩いてゆくことにした。こうして誰かの後を追いかけるのはセリスにとっては初めての経験である。なぜか心が躍る様な感覚を覚えながら歩くこと数分、南大通沿いにある他の家屋の三倍...ハルジオン77 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート4
後の再会をガクポと誓い合ったロックバードは、そのままの足で自宅へと戻ることにした。ロックバードの自宅は南大通沿いにある、ゴールデンシティが創立された当時からある旧家である。黄の国の崩壊の直前は浮浪者で満ちていた南大通に、現在は流民の姿は見えない。ミルドガルド帝国の施策によ...ハルジオン76 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート3
さて、もう何か月が過ぎたのか。
ゴールデンシティ、かつては黄の国の牢獄として囚人たちが収監されていた、王宮から見て南側に設置されている牢獄塔の最上階で、薄く差した温かな光を眺めながらロックバードはふと、その様なことを考えた。戦に敗れた時は冬の初めの頃であったが、どうやら...ハルジオン75 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート2
カイト王がアクと青騎士団隊長であるオズイン将軍を引き連れて青の国の王宮へと帰還したのはそれから二週間ほどが経過したころであった。もう雪はすっかりと消え去り、温かな風が新緑に包まれた大地を覆い尽くしている。草原は色とりどりの花に覆い尽くされ、ほんの少し前まで白木が覆い尽くし...ハルジオン74 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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最終章 白ノ娘 パート1
「いつまでここにいる?」
厳しい雪が終わりを迎え、雪解けが進んでいる野山の様子を旧黄の国の王宮の最上階、かつてリン女王がその生活を営んでいた私室の窓から眺めていたカイト王に向かって、アクが苛立ったように声をかけた。本来の予定では年明けには青の国の王宮へと戻り、帰国次...ハルジオン73 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート9
そういえば、ルータオの街へと出かけるのはこれが初めてだな。ハクとウェッジの二人と一緒に歩きながら、リンはその様なことを考えた。先日から降り続けているパウダースノーを踏みしめる感触が何とも心地が良い。外気に晒されている頬が寒さの為に痺れる様な痛みを訴えている...ハルジオン72 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート8
普段より何倍も豪華な昼食を終えると、リンはハクと一緒に食器の後片付けを行うことになった。数十名いる修道女の食器を片づけるのはそれだけでも結構な重労働ではあったが、リンは文句ひとつ言わずにそれを片付けてゆく。流石に一週間も同じことをやっていると体が覚えてくる...ハルジオン71 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート7
さて、どうするか。
リンがハクに生誕祭への参加を約束してから三日程経過したのち、普段自身に課している起床時間通りに身体を起こしたルカは、起きざまにその様なことを考えた。リンの体調はもう十分に回復している。では、この後どうするか。目的のルータオには到達し...ハルジオン70 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート6
夜になると、それまで看病していたルカと入れ替わる様にハクがリンの私室に現れた。まだ熱が下がりきってはいないが、それでも身体は随分と楽になっている。昼間に飲んだルカの薬湯が効力を発揮しているのかも知れないし、それ以上に久しぶりにゆったりと休んだからかも知れな...ハルジオン69 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート5
はあ。
ルータオ修道院の三角屋根を眺めながら、思わずと言った様子で溜息をついた人物がいる。ウェッジであった。昨日に引き続き、今日も出勤の前にルータオ修道院まで出向いた、まではいい。しかし、果たしてどのようにして二週間後に迫った生誕祭にハクを誘えばいいの...ハルジオン68 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート4
額に感じる、ひんやりとした感覚が心地いい。リンはそう考えながら、差し込む朝日に気が付いて瞳を開いた。まず初めに視界に映ったものは白い壁紙に覆われた天井。ここはどこだろう、と考えて、リンは昨晩発熱して修道院へと駆けこんだことを思い出した。余りにベッドが心地よ...ハルジオン67 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート3
修道院の一角、修道院で暮らす女性達の為にある宿舎の扉を叩く荒々しいノックの音が響いたのは、ハクがそろそろ就寝しようとした時であった。その音に反応して、就寝前の会話を楽しんでいた、ハクと同じように身寄りのない女性達が一体何事だろうと顔を見合わせる。礼拝堂では...ハルジオン66 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート2
悪ノ娘が処刑された。その噂がルータオに届いたのはリン女王の処刑から一週間ほどが経過した頃であった。初雪が降る、寒い一日だった。その知らせをもたらしたのは緑の国を脱出した時から常に傍にいるウェッジである。
「この手で仇を討てずに、残念です。」
ウェッジの...ハルジオン65 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十一章 リグレットメッセージ パート1
リン女王の処刑が終わると、群衆は興奮の中で大喝采の声を上げ始めた。悪ノ娘は滅びた。悪ノ娘に対する鬱憤を発散させた民衆達は、次々とカイト王とメイコを称える声を上げ始めたのである。その声に応える様に立ち上がったカイト王は右手を大きく掲げた。その仕草に、群衆達が...ハルジオン64 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート11
「時間だ。」
迎えに訪れたのは屈強な兵士だった。その兵装からして青の国の兵士だろう、と判断したレンが素直に立ち上がると、兵士がレンの両腕を拘束した。そして、兵士達に押し出される様にレンは牢獄から歩み出した。脚が、僅かに震えていることを自覚する。恐れているのか、と...ハルジオン63 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート10
カイト皇帝。
近い将来にそう呼ばれることになるカイト王の功績を、後の歴史学者達は歴史上初めてのミルドガルド大陸の統一を成し遂げた人物として好意的に評価する傾向があった。だが、その為に流れた血の多さを歴史学者達はどうしても軽視する傾向にある。その最後の血を求めてカ...ハルジオン62 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート9
寒いな。
吐き出す息が白くなっていることに気がついたレンは、思わずその様に考え、あてがわれた古い毛布を身体に巻きつける様に抱きしめた。ここは牢獄。黄の国の王宮の前面にそびえ立つ囚人用の牢獄塔であった。リン女王として捕えられてから、どれくらいの日数が経過したのか。景...ハルジオン61 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート8
初めに意識を取り戻したのはアレクだった。自らがまだ生きていることに不信感を覚えながら立ち上がったアレクは、近い距離で気を失っているメイコに駆け寄るとすぐにメイコを抱き起こし、少し焦る様な声でメイコに向かってこう声をかけた。
「メイコ隊長。」
まさか、もうこと切れ...ハルジオン60 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート7
戦の音が止んだわ。
私室の窓から戦闘の様子を眺めていたリンは、唐突に静まった周囲の空気を確かめるように耳をそばだてた。先程、メイコらしい赤髪の剣士が王宮玄関へと侵入して行く姿が見えたが、もうすぐここにも反乱軍がやってくるのだろうか、と考える。どうしてこんなことに...ハルジオン59 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート6
メイコの反乱が勃発した時、守備に残っていた人物がレンで無ければどうなっていたか。歴史にもしも、はあり得ないが、もしも、を想像して考察することが未来の人類に共通する癖として存在する様子である。この時、レンはロックバード伯爵が言い残した言葉を忠実に実行していた。即ち、メ...ハルジオン58 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート5
黄の国王立軍が青の国の軍の迎撃の為に王宮を出立してから、四日ほどが経過した。
その頃、反乱の準備を完成させ、後は蜂起するタイミングを待つばかりであったメイコは黄の国城下町の一角、南西地区にある地下倉庫を仮の拠点として最終の確認をアレクと共に行っていたのである。その...ハルジオン57 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】
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第十章 悪ノ娘ト召使 パート4
カルロビッツの戦い。
ミルドガルド中世史における最大規模の戦いの一つと呼ばれることになったその戦いは、ミルドガルド中世史における最後の覇権戦争であったと後の世に評価されることが多い。その戦いの火ぶたがが開かれる直前、ロックバード伯爵はガクポと共に最後の軍議を行うこ...ハルジオン56 【小説版 悪ノ娘・白ノ娘】