Q・メイコさんとカイトさんついてどう思いますか?
A・【初音ミクの場合】
ルカちゃーん、聞きたいことってなぁに?
え?おにいちゃんとおねえちゃん?
二人とも大好きだよ!おねえちゃんは強くてかっこいいし、おにいちゃんは優しいし。
私は二人とも大好き!
…え?二人の関係について?それは恋人としてってことだよね?
お似合いだと思うよ、二人が仲良くしてると嬉しくなるもん。
おねえちゃんは恥ずかしがりやさんだから、おにいちゃんくらい積極的な人がぴったりじゃないかなー。
A・【鏡音リンの場合】
どうしたのルカ姉、なんでこんな暗い部屋に呼び出すの?
え?めぇ姉とカイ兄について?いきなりどしたの?
もちろんめぇ姉は頼りになるし大人だし、尊敬してる!
カイ兄…は…キモいしウザいしヘタレだけど…何があってもあたしたちを絶対に守ってくれるから、き、嫌いじゃない…よ…。
ちょ、これ絶対カイ兄に言わないでよね!すぐ調子乗るんだから!
え?二人について?なにそれどんな質問?
うーん、カイ兄が一方的にめぇ姉にラブラブって感じもするけど。でもめぇ姉も口で言うほど嫌じゃなさそうなんだよね。
A・【鏡音レンの場合】
…ルカ姉、目が怖い。どうしたの?
え?メイコ姉とカイト兄?どう思うかって?突然だなオイ。
…いや、普通だよ。うん、普通に家族。
メイコ姉は姉御肌で優しいし。カイト兄は…多少難アリだけど…あれはあれでいいんじゃない?
え?うるさいなそれだけだよ。別に好きとか嫌いとか家族なんだから別にないよ。ほんとだよ。何だよその顔。
え?二人を見て?それはカイト兄がメイコ姉に過剰な愛情表現をしている件について?
うーん、俺たちがこの家に来たときにはもう既にあんな感じだったしなぁ。
度が過ぎるとメイコ姉が鉄拳制裁してるし、リンもルカ姉もそれに加わってるじゃん。だから別にいんじゃね?
「……」
「……」
「…あの…ルカ?」
「なんですか、カイトさん」
「なんでそんなに熱い視線で俺を見つめるの?」
「ずいぶんポジティブな解釈ですね」
「ごめんなさい嘘ですどっちかって言うと絶対零度の視線です」
「分かっていただけて光栄です」
眉を下げ、困ったように背中を丸めるカイトさん。
その表情からは、長兄の威厳とか迫力みたいなものはまったくない。
どうしてこんな人がお姉様の恋人なのかしら。
「…あの…ルカさん?」
「なんですか、カイトさん」
「思ってることが駄々漏れで心が折れそうなんですけど」
「知ってます」
「…知ってますか…そうですか…」
「…ルカ姉、相変わらずカイト兄に厳しいな」
「ルカ姉は男全般に厳しいよ、この間がっくんが茄子みたいな顔色になってたもん」
リビングのソファで雑誌を読んでいたレンさんと、その膝で爪のお手入れをしているリンさんがひそひそと呟いているのが聞こえる。
「なに言ったの、ルカ姉」
「『茄子以外のアイデンティティはないんですか?』って」
「…うわぁ、なんという言葉のナイフ。…でも俺には優しいぞ?」
「それはレンがまだショタ向けだからじゃない?」
「誰がショタ向けだこのやろ」
「きゃはは!やめて、脇はやめてぇ」
―― 初めてこの家に来た時、私はとても驚いた。
先にインストールされていたボーカロイド達が仲良く暮らしていたから。
私達は、『マスターの作った曲を歌う存在』。だから、マスターに選ばれた人が主役になる。
同業のボーカロイドはライバル同士で、滅多なことがない限り口も聞かないものだとなんとなく思っていた。
きっと私は歓迎されていないだろう。新しいボーカロイドなんて、いる分だけきっと競争率が上がるんだから。
そう思っていたのに。
「あなたがルカね?はじめまして、私の3人目の妹!」
スタジオで初めて会ったお姉様にそう言われた時は面食らった。そして、どうしてだか涙が出そうになった。
『妹』。
知識だけはあったその単語。それはやたらあったかいものだった。
さらに家に行くと、そこにはさらに4人の先輩が待っていた。
リビングには『歓迎!ようこそルカ!!』と大きな横断幕が吊るされ、色とりどりの装飾。鳴らされるクラッカー。
「いらっしゃい、ルカ!」
「はじめましてー!わぁ、すっごく美人さん!」
「よろしく、ルカ姉」
「年下だけど、あたしのほうが先輩だし何でも頼ってね!」
ああ、私。
生まれてきてよかったんだ。
心からそう思えた。
しばらくして、「どうして初めて会った時、私のことを『妹』と呼んだんですか?」とお姉様に聞いてみたことがある。
「え?」ときょとんとした顔を見せてから、お姉様は当たり前のように答える。
「だって、家族じゃないの」と。
次のボーカロイドであるカイトさんが作られるまでの1年3ヶ月。
前例も、お手本もルールもない状態の中、たった一人ボーカロイドの道を作ってきたお姉様。
その強さと、初対面の私を「妹」と呼んで抱きしめてくれた優しさに、私は一生敵わないだろうと思った。
―― そのお姉様の恋人が、この人。
仲のよい双子を視界の端に捉えながら、私はテーブルの真正面からカイトさんを見つめる。
私の視線に居心地が悪そうにアイスをつつくその姿はなんとなく惨めさすら感じさせる。
お姉様の次に作られた、初めての男性ボーカロイド。確かに柔らかなテナーで、良い声だとは思うけれど。
日頃はめーちゃんめーちゃんと呼びまわってはお姉様にへばりつき、叱られ。
妹弟たちから邪険にされても挫けず追い掛け回し、叱られ。
長兄の信頼感はまるでない。お姉様みたいな強さもない。
ただただそこにいて、へらへら笑っているだけの存在にしか見えない。
ミクさん達に2人のことを聞いてみたけれど、結局分からずじまいだった。
―― 一体この人のどこがよくて、お姉様は恋人をやっているのだろう。
「ただいまー」
「たっだいまー」
玄関からお姉様とミクさんの声がした。買い物帰りの二人が、大きな紙袋を抱えて姿を現す。
「おかえりなさい、…随分大荷物ですね?」
「うん、ちょっと買いすぎちゃったんだ、ね、おねえちゃん」
「そうなの。今日はご馳走だもんね、ミク」
くすくす、と笑いあう二人。とても楽しそうに、嬉しそうに。
…どうしてこんなにご機嫌なんだろう?
「何か嬉しいことがあったんですか?」
「レンー、ルカ姉やっぱり分かってないみたいだよ」
「まぁそうだろうな。ここまで情報封鎖してれば」
ソファからぴょんと飛び起きたリンさんも雑誌から目を離さないレンさんも、声が心なしか踊っている。
なに?一体なんだっていうの?
ふと、皆の視線の先に気がつく。
皆、私の後ろを見ている。楽しそうに、何かを心待ちにしている顔で。
振り返ると、カイトさんは笑っていた。
先ほどの困ったような表情のまま、笑っていた。そして――
「せーのっ」
「「「「誕生日、おめでとう!!」」」」
彼の号令と共に、鳴り響く声とクラッカー。
頭上ではひらひら紙吹雪が舞っている。
目の前の事象を処理することが精一杯で、私はその言葉の意味をきちんと把握しかねていた。
「ルカ?大丈夫?びっくりしてる?」
「目がぱちくりしてるよー」
「あー、もしかしてまだ分かってない?」
「カイ兄、アレ出しちゃえば?」
「オッケー。じゃあ、ミュージックスタート!」
ぱちん、とカイトさんが指を鳴らすと、電気が消えた。
薄明かりの中、聞こえてきたのは『ハッピーバースデー・トゥー・ユー』。
これは、お姉様の声だ。2フレーズ目はミクさんの声。3フレーズ目はリンさんとレンさんの声。
4フレーズ目は、―― カイトさんの声。
ラストの『トゥー・ユー』には、他の4人のハモリがついて、鳥肌が立つほど綺麗なハーモニーだった。
テーブルの上に出されたのは、ケーキだった。
真ん中には大きな『Happy Birthday LUKA』という文字が書かれていて、そのすぐ側には1本のろうそくが立てられている。
―― ようやくわかった。
今日は、私の誕生日。
皆と『家族』になれて、ちょうど1年の。
「びっくりした?」
「…お姉様」
「驚かせてごめんね、言いだしっぺはカイトなの。『ルカを喜ばせたい』って」
「…え?」
「いつもなら誕生日はもっと派手に飾り付けるのに、カイト兄がどうしてもサプライズがいいって言うからさ」
「レン!俺のせいにする気か!?お前だってノリノリだったろ!」
「えーでも地味になっちゃうよって反対はしたもん。押し切ったのカイ兄じゃん」
「ぐぬぬ…おまえら…」
「でも、私は楽しかったよ!ルカちゃんもきっと嬉しいよね?」
ミクさんの視線を受け、私はちらりとカイトさんを見る。
すると彼はなぜか目に見えて焦りだし、に手をばたつかせた。
「あ、アイスケーキ嫌い?おいしいよ?」
その仕草がとても年上には見えなくて、私はくすっと笑った。
…変な人。
でも、優しい人。
仕方ない。特別です。
―― 一緒にお姉様を愛でることを許してあげる。
家族が側にいてくれる。
その幸せな空気を大きく吸い込んで、私は勢いよくろうそくの炎を消した。
【カイメイ】許してあげる
カイメイ前提の、ルカ視点家族小説。
ちょっと今までのとは趣が違うかも。
勝手なルカ設定として、
・百合
・敬語
・ドS
っていうのがあったので、キャラ付けの意味も込めて書いてみたかった。
彼女がめーちゃんを激愛してる理由を勝手に捏造。
これでさらに百合キャラとして暴走してくれるだろうw
なかなかデレてくれなかったので、禁じ手とは思いつつ誕生日ネタにしてしまいました。
裏設定として、新人を迎えに行くのは必ずめーちゃんの役目です。
ミクの時の話とか双子の時の話もいつか書きたいなぁ。
コメント2
関連動画0
ブクマつながり
もっと見る『はい、お疲れさん。二人とも良かったよ』
ヘッドフォン越しにマスターからの労いの言葉がかかる。緊張から解き放たれた俺は、大きく息をついた。
俺の初めてのレコーディングは、彼女とのデュエットだった。初仕事が彼女と一緒だったことは、俺にとって幸せなことだった。
だって、俺は彼女の声で育ったのだ。彼...【カイメイ】俺(達)の歌姫 後編
キョン子
――俺の最初の記憶は『歌』だ。
自分の声じゃない。透明で伸びのある、生命力に溢れた、誰かの歌声。
俺はマスターの元へたどり着く前から、この声に包まれて生まれるのを待っていた。
泣きたくなるほど愛しい子守唄。それが誰の声であるかは、目覚めた時にすぐにわかった。
「…こんにちは。気分はどう?」 ...【カイメイ】俺(達)の歌姫 前編
キョン子
「おねえちゃん、髪の毛やってぇー」
「めぇ姉めぇ姉、この服にはどっちのスカートがいいかなぁ?」
「お姉様、お、お口にグロス塗ってもよろしいですか?」
――つまらない。
せっかくの休日だというのに、俺は腐っていた。
理由はたったひとつ。
『彼女を妹たちに占領されているから』。
「はいはい、ちょっと待っ...【カイメイ】おねえちゃんは、誰のもの?
キョン子
思わず「いたっ」と声が出た。ドアを閉めるタイミングが悪く指を挟んでしまったのだ。
挟んでしまった指を確認してみると、爪の先のマニキュアが禿げてしまっていた。
次第に熱を持っていく指先に息を吹きかけて冷ましながら考える。
今日はとにかく何をするにもタイミングが悪い。
夕飯の買い物に向かう途中...メイコの不幸な一日
ナッコ*
Q・あなたのことを、おしえてください
「自己紹介?」
「みたいだね。カイトです。好きなものは歌とアイスとめーちゃんです」
「…メイコです。好きなものは…歌とマスターとお酒と家族です。…なによその顔」
Q・恋が生まれたきっかけは、なんでしょう。
「俺は一目惚れだけど、そういえばめーちゃんは?」
「…言...【カイメイ】恋するふたりに質問です
キョン子
「はーい、ありがとうございましたー」
ボイスレコーダーをオフにする。
すると、テーブルの向こうでめぇ姉が戸惑ったような表情を浮かべた。
「…ね、ねぇリン、今の本当にマスターに提出するの?」
「するよー?だってマスターからの直々の依頼だもん」
「…それにしたって、今のインタビューは…」
「いいじゃない...【カイメイ】続・恋するふたりに質問です
キョン子
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
アリサ
ご意見・ご感想
初めまして
アリサと申します!
読ませていただきました!
何か,良いですね~
和みましたぁ
ってか,カイトかぁいい!!!
可愛すぎ!!
がくぽも,一瞬だったけど,かぁいかったです!!
ルカも,ルカで色々と可愛くて……
すいません
取り乱しました……
気に入りましたので,ブクマさせていただきます
それでは,失礼しました!
2011/03/27 22:58:11
キョン子
>アリサ様
お返事遅くなりました、メッセージありがとうございます!
ルカは一番キャラが定まっていない子だったので、どう書こうかすごく悩んだ覚えがあります。
めーちゃん好きな敬語キャラ、と決めた途端突っ走ってくれたルカが愛しくてww
こんな子ですがちゃんとお兄さんのこともすきなんだよ、というお話になりました。
がくぽとルカのお話もおいおい書きたいので、また是非読んでやってくださいませ☆
2011/04/06 00:33:44
ゆるい神様
ご意見・ご感想
ホンマの話はと思ってよんじゃったー
2011/03/08 20:12:42
キョン子
>@♯現実様
メッセージありがとうございます!
えっと、またお時間ある時にでも読んでやってください!
2011/03/14 04:05:27