【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#09】

投稿日:2009/09/11 02:19:15 | 文字数:3,531文字 | 閲覧数:254 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、しぐれを探して三千里の巻。

それにしてもこのめいこさんはがっくんがだいきらいですね!(ぁ
がっくんが可哀そうになるレベルで嫌ってますね。
でも、個人的に野良犬がっくんみたいなきもちの底の見えない人を食ったような
おとこのひとってあんま好きじゃないんですよねー。どこまで本気かわかんないやつは
話をしててイラッとするので。女の子相手なら腹の探り合いも楽しいんですが……。
おとこのひとはあるていど正直な方が好きです(あれ、いつからオトコの好みの話に?

そういえば、このあたりのメールで、ぷけさんがぷけさんちのオリキャラの夢を
見たとかで、ちょっと羨ましいなあと思ってました。というか、二次元キャラが
夢に出てきたことなんてないよ! 皆いいなあ、想像力ゆたか!

青犬編では、かいとくんが双子となかよくしているようなので、こちらも是非!

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かいと視点の【青犬編】はたすけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#09】



 午前中から重く垂れこめていた雲は、昼過ぎからこまかい雨を降らせた。勢いこそ弱いものの、途切れなく降り注ぐその雨は、薄いレースのカーテンのように、屋敷の内側と外側を隔てていた。
 嘆息して窓の外を見るくらいにして、私は屋敷の中の探索に戻る。本当なら、自分の部屋に引きこもっていたいわけなのだけれど、そうはいかない。
 手紙を出してきたあと、しぐれがいなくなっていた。
 私が部屋に入ると、いつも行儀よく座って(または、きれいに丸くなってうたたねしながら)待っていてくれるその小さな犬が、私の部屋からいなくなったことは、私にとっては大事件だった。
 行き合った者に手当たり次第話を聞いてみるが、誰もしぐれの行方を知らない。朝飯の時分に、使用人たちの部屋で見られているのを境に、しぐれの消息は見事に途絶えている。
(賢い子だからうちの中で迷子になっているとは考えにくいけれど)
 だが、万が一ということもある。私は、その重い扉をたたいた。
「めいこです」
 ひとこと断って客用に誂えられた部屋の扉をあけると、あまり広くなく、質素というにはすこし豪華な部屋の中、至極満足そうな笑顔に出迎えられた。腕に鳥肌がたつ。
「めいこの方から逢いに来てくれるなんて珍しいことだ。嬉しいよ」
「勘違いしないで頂戴。あなたに逢いたいなんて思ったことは一度もなくてよ」
 どうすればそんなに他人に嫌悪感を与えられるような笑みができるのかと問いたくなる。視線は相手に固定したまま、襲いくる吐き気と逃げ出したい衝動に駆られながら、しかし、それとは別の問いを口にした。
「……神威のおじさまはいないのね」
「ん? ああ、父は君のお父さんと商談中だよ。といっても、それほど固いものではないだろうけれどね。父に用が?」
「いえ」
 新聞を畳み、わざとらしく眼鏡をはずしてみせた男は、客とはいいながら、既にこの部屋に――この屋敷に馴染んでしまうほど、商談やなにやと理由をつけては、来訪と宿泊を繰り返している。使用人たちの目にも、異端分子ではなくなってしまったこの男を、未だに敵視しているのはこの屋敷で、きっと私だけなのだろう。
 ならば、敵の巣に長くいる必要もあるまい。早く用件をおわらせてしまおう。
「しぐれを見なかったかしら」
「しぐれとは、あの躾のなっていない犬のことかな」
「躾がなっていないのは、あなたの足癖の方ではなくて?」
 意外としつこい。しつこい男は嫌われるわよ――なんて、しつこくこの男を嫌っている私が言えるセリフではないけれど。
 先ほど、父母の部屋に行ってきた。いちおう父母にもしぐれの所在を聞いておこうと思ったのだ。父はいなかったが、そもそも父にかんしては、しぐれが家に来たことも知っているかあやしいので、もとより尋ねる気はほとんどない(彼は、本格的に私を商売道具としか見なくなっている)。しかし、部屋にいた母もしぐれの居場所を知らないと言った。それどころか、「まだあんな小汚い仔犬を家に上げていたの」ときたものだ。小言の聞こえてくる前に早々に退出してきて、今に至る。
 もう、きっと誰に訊いてもしぐれの居場所はわからないだろう。あんなにしぐれと仲の良かった使用人たちでも、居場所を知らないと言う。
 しぐれは賢い子だ。ひとの機微に理解があって、危険な人間なら回避する。そんじょそこらの仔犬より、足もしっかりしていて早い。そしてなにより、彼女はもともと野良犬だという。きっとこの屋敷から出ていたとしても、うまくやっていくだろう。
 しかし、この男が絡んでいたとすれば、話は別だ。彼女がいくら人情を汲むことに長けていて、危険には近づかない慎重な性格をしていたとしても、その俊足は他の追随をゆるさないものであったとしても、逃げ切れない場合というのはあるものだ。そう、たとえば、この男に噛みついたときのような、不可抗力が。
「もういちど訊くわ。しぐれを知らないかしら」
 たとえば、しぐれがこの男の手に落ちたのだとしたら――最悪の想像が、脳裏をかすめる。
 この男は、私がたいせつにしているものを、根こそぎ奪おうとしている男だ。なにをしても不自然じゃない。
 かいとの手紙のように、しぐれも私のもとから、届かない場所に連れて行かれてしまったのではないだろうか。
 握った手のひらに、爪が食い込む。
「さあ、知らないな」
 興味なさそうに言った男を睨み据えて、私は言葉を重ねた。
「ほんとうに」
「疑り深いね」
「私に隠れて、しぐれにいたずらでもしているのではないの」
「ずいぶん卑劣な男に見られているみたいだ」
「あなたはしぐれに噛まれたことを、根にもっているように見えたから」
「それは邪推というものだよ、めいこ」
 それとも怪我の心配してくれているのかな。そう、嬉しそうな声音で歌うように言った男は、席を立って、こちらに近づいてくる。
「そうね、しぐれの怪我は心配だわ。もう治ったとはいえ、また傷を増やされているのではないかと思うと」
「……やれやれ、めいこはどうしても私を虐待趣味の変態に仕立て上げたいらしい」
 そう言った男の表情からは、苦笑が漏れている。
「しかし、ほんとうに知らないのだよ。昨日廊下で唸られた以来、あの犬は見ていない」
 言葉面だけならば、ほんとうかどうか怪しいところだ。しかし、困ったような素振りはきっと心からのものだろうし、焦っているような動揺も見えない。これが全部演技だったら、いっそ尊敬するところだ、と、結論付けて、私は踵をかえした。
「そう。わかったわ。変態扱いしてごめんなさいね」
「おや、もう行くのかい」
「ええ、もう用は終わったもの」
 扉に手をかけると、後ろから腰を抱えられた。寒気と血の気が脳天まで駆け上がる感触に、どう反応したのもかと迷いが生じた。その一瞬の隙に、男は私を後ろから抱きすくめた。動けない。動きたくないわけじゃない。しかし、へたに動いて、この男にこれ以上触れたくないという欲求が勝る。
 たのむから、私の声よ、震えないでくれ。
「なんのつもり」
「なんのつもりとは、これまた手厳しいね。晴れて夫婦になる確約を得た仲なのに」
 そう言って、男は私を後ろから抱きすくめ、私の肩にその頬を近づける。おぞましい、と思うと同時に、総毛立ち、身体中に鳥肌が広がるのを感じた。それでも、伸ばした背はそのままに、前を向いた視線はそのままに、扉の取っ手にに置いた手はそのままに、私は、姿勢だけで「不服従」を彼に示した。
「なのに、君は私よりもその犬の方がたいせつみたいだ。嫉妬してしまうね」
「妄言はそれだけかしら」
「こんなに好きなのに」
「うわべだけの言葉なら聞きあきているのよ」
「君はどうしても私のものにはなってくれないのだね」
「――あなたは、どうあっても私をモノ扱いしたいようね」
 上等なことだわ、と吐き捨てたら、ただの比喩だよ、と返答が来る。
 人に貴賤なし、天は人の上に人をつくらじ、人類みな平等? この男の振る舞いは、私をモノ扱いしている以外の何物にも見えない。
 人を人扱いしないなんて、本当に学のあるものなのかしら。それとも、学があるから驕るのかしら。それとも、そうやってこの男を「驕っている」と判断し、驕れる彼を見下そうとしている私も私なのかしら?
 それなら、こんなに下等なものに成り下がった私は、ほんとうにもう、あのひとを想う資格すらないのだろう。
 口許に嘲笑が浮かぶ。私を抱きすくめるその男の手の甲に、そっと自分の手を重ねた。
「そうね、仮にあなたの言葉が嘘でなかったとして、どうしても私が欲しいなら、成り上がりの名家の名前ごと、咲音のおうちの財産ごとくれてやるわよ」
 ああ、ごめんなさい、かいと。
「でも、私の心まで手に入れたなんて思わないことね」
 がりっ、と、渾身の力で爪を立てると、男の身体は私から離れた。振り返ってみると、男の手の甲には血が滲んでいて、自分の手を見遣ると、その爪の間は男の血で赤黒く染まっていた。
 お前はもう後戻りできないほど汚れてしまったのだ、と、言われた気がした。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

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