【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#16】

投稿日:2009/10/03 08:55:51 | 文字数:3,955文字 | 閲覧数:292 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、かいとくんとおはなしするの巻。

乙女なめいこさん、略してオトメイコのターンだよ!

書いてて恥ずかしかった、というかほんとに私じゃない誰かが乗り移ってた。
このあたりのメールのログを見返すと、軒並み件名が叫びでした。
「うわああああああ!」とか「あぁぁぁぁぁ!」とか「もぎょおおおおお!」とか。
そんで本文は「溶ける! 溶ける!」とか「恥ずかしくて全身かゆい!」とかね。
や、ちゃんとこの先の展開の打ち合わせとかも、してたよ?(笑

(ぷ´ω`)<どれだけいちゃついてるカイメイ不足だったかわかりますよね…(笑
(つ´∀`)<お互い飢えてたんだね、いちゃいちゃした感じのカイメイに(笑

青犬編でも、恥ずかしいカイメイをやらかしてるようなので、こちらも是非!

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かいと視点の【青犬編】はぷけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#16】



 くすぐったいような沈黙が、あたりをつつんだ。
 え、っと。どういうことなのかしら?
 落ち着け、落ち着くのよめいこ。そうよ、そもそもこの「かいと」と名乗る人は、ほんとうにあの「かいと」なのかしら。そうよ、いくら髪と目の色が同じでも、幼いころ一緒にいたあのかいとなのかしら。もしかしたら、別人を装った詐欺師かもしれないのよ。ああ、でも、るかさんのひとを見る目はたしかだ。そんな邪なきもちをもつひとを、かんたんに傍に置くはずがない。それじゃあ、このひとはほんとうに? いやいや待て待て、早まるな、まだそうときまったわけでは。そう、同姓同名の別人かも知れないわ。でも、こんなにめずらしい色の髪と目をもつかいとさん、なんて、そうかんたんにいるものかしら。いいえ、きっといないわね。それなら、やっぱりこのひとは、あの、かいとなの?
 ふと、彼の足許に寄り添うようにおすまししている毛玉が目に入る。くりくりの目玉、ふかふかの毛並み、利発そうな鼻先。思わず、しぐれ、と、声をかけそうになって、慌てて口を噤む(そうする理由もないはずなのに、動揺すると声も出せなくなるらしい)。間違いない、彼女はしぐれだ。
 ん? ということは、しぐれはかいとのところにいたということ? でも、汽車や車でしか行き来できないあの街までの距離を、こんな仔犬が走りきれるものなのだろうか。まさか――いや、世の中には、信じられない距離を走りきる犬もいるそうだし、もしかしてしぐれも……? 仔犬でも走れるものなのかしら。というか、この街にいて拾われたという方が可能性は高いのでは? しかし、もともとかいとのところにいた犬だ、かいとのところまで走って行っていたとしても、この街でかいとに拾われていたとしても、かいとと一緒にいることじたいは不思議ではない。……じゃあ、しぐれがここにいるということは、この男性は正真正銘かいとなのよね? なんだかこんがらがってきたわ。
 ――なんて考えている場合じゃない、何か、なにか話さなければ、お客様にしつれいじゃない!
「わたくし、お手洗いに行ってきますわ」
 って、今るかさんに出て行かれると困るっ!
「え、ちょ、るかさ……!」
 立ちあがったるかさんを引き留めるべく発した声は、もうひとつの声ときれいに重なった。思わず声の主――かいとの方を振り向くと、その青い双眸とばっちり視線が交差した。どくん、と心臓が跳ねあがり、慌てて視線を逸らしたけれど、心臓はさっきの大きな鼓動を引きずったまま、いつもよりずっと速く大きく鳴っている。
 ああ、いきなり視線を逸らすだなんて、きっとへんに思われたに違いない。でも、あらためて相手を見る勇気なんて出ずに、壁の隅に視線を泳がせる。
「まぁ、仲がよろしいこと。妬けてしまいますわね」
 ふふっ、と上品な笑いが洩れて、視線を上げると、るかさんが扉を閉めるところだった。その足許に見えたちいさなしっぽは、きっとしぐれのものだろう。
 どうしよう、一体どうすれば――考えても埒のあかないこととは知りつつ、結局何を言うこともないまま、その扉が閉まるのを見送った。

 どうぞ、と椅子をすすめた声は聞こえていただろうか。まるで自分のものじゃないみたいに上手に動かない唇で、なんとか紡いだ声は、それはそれは蚊の鳴くようなか弱い声だった(思わずこちらが泣きそうになった。泣かないけれど)。それでも、彼は椅子に腰かけたので、たぶん伝わっていたのだろう(こんどは、きちんと伝わったことに安堵して泣きそうになった。泣かないけれど)。
 また、微妙な浮遊感をともなう沈黙が部屋をつつむ。こんなに緊張するのは、初めてのお琴の発表会以来じゃないかしら。いや、もしかして人生の中でいちばん緊張している瞬間かもしれない。
 じゃなくて、そう、なにか話さなければ、間がもたない! 現実逃避をはじめる思考を叱咤して、なんとか話題を探すが、正直言ってそれどころじゃない。身体は熱いし顔も熱いし、顔の中でいちばんつめたい部分であるはずの耳も、こころなしか熱を帯びている気がする。動悸は相変わらず速くて大きい。もうすこしで身体を突き破って聞こえていってしまうんじゃないのか、と、思ってしまうほど。
 ――ええい、ままよ! そうよ、お父様に連れて行かれた会合の会場で話しかけられたときみたいな、お天気の話みたいにほんとうにくだらないことでも、なんでも言えば会話のきっかけくらいにはなるのよ!
「あの」
 なかば自棄になって口に出したひとことは、またも彼の声ときれいに混ざっていた。それはとんでもなくきれいな1:1の比率で。さっきの自棄になっていた自分の決意が砕け散る。さっと俯いてしまったのは、もう、仕方がないものと思ってほしい。
 だって、声が。
 思わず着物の膝をぎゅっとにぎりしめる。だって、あんまりにも素敵な声なのだ。想像していた彼の声より、ずっと低くて大人っぽくて、それでも、幼いころの面影を残したあの声が。
 もっと聴きたい、と、思ってしまった時には、声に出ていた。
「お、お先にどうぞ」
 するりと口から出た割には苦しげな声で、自分で自分にびっくりした。ちらりと相手を窺うと、相手もなぜかあたふたしている。あ、どうしよう、譲ってはいけないところだったかしら、でも……!
「い、いや、俺は……」
 ああほら、また静かになっちゃったじゃない! でも、話すことがなかったのも事実なのよ! ごめんなさい、と謝るべきかしら!
 頭の中はぐるぐると最大加速でまわっているのに、一向に言葉になってでてこない。もどかしい。
 あなたは本当にあのかいと? とか、それならなぜここにいるの? とか。
 しぐれとはどこで会ったの? るかさんの家の使用人になっているのはどういうこと? とか。
 言いたいことも訊きたいことも、沢山あったはずなのに、どうしてか肝心なところは思考の渦に入ってこない。いや、無意識に考えないようにしているのだ。
 たとえば、お手紙は届いた? 読んでくれた? もうお手紙できないのよ、約束も果たせなくてごめんなさい――とか。
「あ、あああの!」
「は、はい?」
 自分の思考に没頭しかけていた私に、ひどく不自然にどもった彼の声が降ってきて、びっくりして顔を上げた。向かいに座る彼の顔が――あれではまるでりんごだ。
「め」
 め?
「めいこって呼んでも……い、いいかなっ……?」
 ぎゅ、と、からだのなかみを掴まれた感じがした。
 必死な顔で見つめてくる彼、切羽詰まった声は、それだけ見てそれだけ聞けば、いかにも唐突で滑稽なもののはずなのに、どうしてか視線が吸いついたようにそちらに向いたまま離れない。

 めいこ。

 反芻して、またからだのなかみがぎゅうと縮む。なんだろう、さきほど「めーちゃん」と呼ばれた時は、懐かしさばかりが胸に残ったのに。手紙の中だけの呼称ならば、なんともなかったのに、こうして音声になると、せつなくなるのは何故だろう。
 ただ名前を呼ばれているだけなのに。
「……だめ、かな?」
 ほんとうに申し訳なさそうに(たとえばその様は叱られた後の仔犬を連想させるしぐさで)、彼がこちらをうかがってくる。
「そ、そんなことない!」
 考える前に口が出て、私も彼も驚いた顔になる。
「わ、私も」
 言いかけて、もういちどだけ、「ほんとうにこのひとは、私が知っているかいとなのだろうか」と疑問がよぎる。
 けれど、その疑問は、この数分間でとっくに解消されていた。いまさら、その答えを覆す気にもならない。決意と信頼をこめて、こんどはきちんと自分の意思で、声を出す。
「かいと、って、呼んでも、いい?」
 すこしだけ声が震えた気がする。ひといきなのに、とぎれとぎれで、聴きとりにくかったかもしれない。でも、上出来。
 おずおずと相手を窺うと、彼は、いちどきょとんとしたものの、また、あごからおでこまでまっかにして、それからぶんぶんと首を縦に振った。

 ほら、かいとだ。

 すこしだけたよりなげなその表情も、全身からにじむ温厚さも、ずっと手紙から受け取っていた気遣いも。小さいころのかいとと、すこしも変わっていない。身体が大きくなって、声も低くなったけれど、根っこはあの「かいとくん」のままだ。間違いようがない。疑ってしまった自分を恥じる。
 このひとは、間違いなく、私のかいとだ。
 ふと目が合って、なにかおかしくなって、くすくすと笑いがこみ上げてきた。それはかいとも同じなようで、声を上げては笑わないものの、目尻は下がっているし、口元はゆるゆるに緩んでいる。
「めいこ」
 会いたかった、と、言われた気がした。
「何?」
 あんな手紙を送ったあとなのに、おこがましいといわれれば反論できない。そんなの都合のいい妄想だと、頭の中の私が叫ぶ。それでも、かいとがここにいるのは紛れもない事実で、覆しようのない事実で……私が、ひどい手紙を送ったのも、同じように事実だけれど。
「かいと」
 それでも、この言葉は、彼の名前だけは、さっき彼が私を呼んでくれたように響いてくれたらと、願わずにはいられない。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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