【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#21】

投稿日:2009/11/11 16:29:33 | 文字数:3,830文字 | 閲覧数:278 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、誘拐犯(笑)と逃走するの巻。

かいとくんは、そうとう用意周到な計画をもって、めーちゃんを迎えに来たようです。
ほんともうこのかいとくんが男前で男前で、つんばる的には満点に近いんですけど、
ぷけさん的には物足りないらしいです。だからぷけさんハードル高いよ!

青犬編の初稿を見た時、かいとくんの「我慢してた」発言をうっかり邪推した私は
もうただの変態だと思います。どうあっても残念なおとなですみません。

――そして立ちはだかる最強の敵!
かいとくんのピンチに、めいこが下した決断とは!
次回、野良犬疾走日和 22話「めいこめいこにしてやんよ♪」
来週もおたのしみにね!

……おおいに虚偽記載をふくむ嘘次回予告サーセン。だってぷけさんが(ry

青犬編では、かいとくんが企んでいたことを暴露しているようなので、こちらも是非!

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かいと視点の【青犬編】はぷけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#21】



 まったく、あいた口がふさがらないとはこのことだわ。
「何で……って、『約束』だったからだよ」
 そういって私を立たせたかいとは、ほら、行くよ、と、通りの向こうを指して促した。
「行くって」
 どこに、という言葉は、不意に引かれた手に驚いて掻き消された。慌てて足を踏み出すと、満足そうなかいとの横顔が垣間見えた。……いや、顔つきは変わったけれど、やっぱり笑ったかいとは可愛い顔をしていると思う……じゃなくて。
 どういうことなのか何の説明もないのには、さすがの私も納得がいかない。
「ちょっとどういうことよ、説明しなさいよ!」
「とりあえず走って」
 既に走り始める体のかいとである。走りながら話すね、と、言われたら、従うしかあるまい。私は、かいとの背を追い走り出し、ほどなくかいとの横に並んだ。
「もう……普通はちゃんと答えを聞いてからなんじゃないの?」
 わざと呆れた風に言った私には答えずに、かいとは突き当りを右に曲がったので、私もそのあとについて走る。
 道行く人の目には、珍妙な格好をしたふたりに見えるのだろう。かいとは人通りの少ない道を選んで走っているようだが、それでも民家の間を抜けたり、道を横切ったりすればひとに会う。だいたいのひとは、見慣れない滑稽な格好をしたかいとにぎょっとして、走りにくいはずの着物のまま走っている私を見て更にぎょっとする(たしかに、こんな格好でこんな速さで走るおんなのひとがいたら、私だってぎょっとしちゃうわ)。それでもかいとはお構いなしというか、なにか切羽詰まったような顔で走っていく。
「ねえ」
 そういえば、この珍妙な格好も、興業団のひとたちと一緒にいたせいだろう。ということは、かいともなにか芸を練習したのだろうか。そんな質問をしている場合じゃないのに、ふと浮かんだ疑問は、するりと口をついて出てきた。
「わざわざ……練習したの?」
「ん? うん、そうだよ」
 皆の前ではこけるくらいしかしていなかったくせに、なぜか誇らしげなかいとだったけれど、かいとのした『練習』は、実は芸以外のところが多かったのだと、のちの説明で知った。

「迎えに行くって言ったよね、2週間前」
「きこえていたわ」
 2週間前のあの日、雨の中、私の家の前で叫んで以来、かいとは私の前に現れなかった。というか、私が外に出ていないから、会う機会がまったくなかった、という方が正しいだろう。あの騒動で、母には「あなたがうかつだから、あのような粗忽者を引きいれてしまうのですよ」と言われ、例の紫の男には、「あそこまでしつこい男がいるとなると、めいこの伴侶になるのも大変だな」とまで皮肉を言われる始末。屋敷の敷地内になら出てもよいだろうと思って玄関に行けば、すかさず使用人たちの目が光り、一歩部屋から出れば「どちらへ行かれるのですか、お嬢様?」の質問が矢のように降る。日を追うごとに、家じゅうで、私の心休まる場所が、確実に少なくなっていった。
 それでも、かいとの声が、言葉が、耳から離れなかった。ふとした瞬間に、声を、表情を、思い出した。それがいっそうせつなかった。迎えに来てくれなくても、この思い出だけあれば生きていける。そう割り切ろうとしても、どうしても希望が捨てられずに、今日まできた。毎朝、王子様を待つ異国の姫のような心持ちで起きて、毎夜、もう逢えない想い人を思い嘆く寡婦のようなきもちで眠った私の2週間なんて、あなたにはわからないでしょうけれど。
「――この2週間、地獄だったわ」
 ひとこと洩らすと、かいとが、すこしだけ神妙な面持ちになった。走る速度は緩めずに、私たちは小路を曲がる。
「かいとはどうだったの? 聞かせて」
 私の知らない、かいとの2週間を。
 そして、今、この瞬間、私を迎えに来たのだと、きちんと言葉で納得させて?

「あのあと、あの日案内してくれた女中さんに助けてもらったんだ」
 そういって、かいとは私の知らないかいとの2週間を語り出した。かいとが私を「迎えに来る」ための計画が、私の知らないところで組まれていたこと。そのために色々な準備があったこと。
 それにしても、かいとは予想以上に周到な計画を用意して、私の誘拐(……と、言っていいのかしら?)を敢行したらしい。今回の計画を考えるにあたって、私のいちばん親しかった女中の女の子や、るかさんまでがかかわっていると聞いたときには、呆れを通り越して感じ入ってしまった。そのうえ、計画の立案はほとんどるかさんがしたらしい。うっかり、るかさんは軍隊の作戦参謀でもしたほうが性に合っているんじゃないかしら、なんて思ってしまった。私も、まさか急な仲人変更までもがこの計画の一環だったなんて、露ほども思わなかった。このぶんじゃ、きっとるかさんの旦那様もぐるね(ほんとうのところはわからないけれど)。
 しっかり女中の子からひとことお叱りを受け、かいとは、るかさんの知り合いだというあの興業団のひとたちに会ったそうだ。そして、わざわざ稽古をつけてもらっていたらしい。
 かなりの強行日程だったうえ、急ごしらえの仕込み。そうとう厳しい稽古だったみたいで、その段になると、かいとは
「そんなこんなで……その後のことはちょっと……思い出したくもない、かな」
 なんて、乾いた笑いでむりやり話を打ち切った。その様が、なんとも可愛らしくて、おもわずからかいたくもなるというものだ。
「情けないわね、男のくせに」
「それ、さすがにへこむんだけど……」
「あら、ごめんなさい?」
 にこっと笑ってみせると、かいとはすこし困ったような顔をしたあと、すぐにへにゃっとした笑顔で前を向きなおした。……からかわれているというのに、能天気なものね。いや、これは温厚というべきか。
 それにしても、これだけ話をしながらきても、かいとはまったく息が上がった様子がない。私はといえば、喉が痛くなってきたくらいだ。情けないことだ。日ごろの運動不足が祟ったのだとわかってはいるけれど、こうも隣で涼しい顔をされると腹が立つ。
「でも、そういうのは、私にも言っておくものじゃない! こんなにいきなりで、びっくりしたでしょ!」
 八つ当たり気味に言うと、かいとはちょっとびっくりした顔で、
「そんなこと言ったって、めいこに言ったら絶対に当日までに見つかっちゃうんだから仕方ないよ」
 と、逆に私をたしなめにかかった。
 たしかに、私はすぐ態度に出る。こういう計画があったのなら、今日の朝、あんなにしおらしい態度でるかさんと顔を合わせることなんてできなかっただろう。そんな私の性格を見越してのことなのだろうけれど……うーん、かいとを支援してくれているひとたちは、どこまでも策士ばかりだわ……。
「俺だってそれまで我慢してたんだから」
 そう言って言葉を切ったかいとの表情は、意外に晴れ晴れとしていた。苦笑いには違いないけれど、どこかほっとしたような穏やかさが見える。
 厳しい稽古を我慢して耐えてきたのだから、そういう表情をするのも、当然かもしれない。

 そうしてしばらく走っていると、式を挙げる予定だった神社が見えてきた。そういえば、誰に何も言わずにかいとの後ろをついてきたけれど、そもそも、かいとは私をどこへ連れて行こうというのかしら。逃げる、とはいっても、このまま走ってどこへ逃げるかまでは聞いていない。
 ねえ、と声をかけようとした瞬間、前方のある一点に目が停まり、私は口に出す言葉を即座に差し替えた。
「かいとっ、横道に逸れましょう!」
「え?」
 間抜けた声を出したかいとの袖をぐいと引っ張り、私は道の端に寄る。かいとも、慌ててこちらに寄ったが、まったくわけがわかっていないような挙動だ。
「一本道だから無理……」
「そうだけどっ、あの車……!」
 かいとの言葉を遮って、私は前方を睨みつける。
 神社の前に、停まる車が一台。よく見知った車だ――不本意ながら、ひとめ見ただけでどこの車かわかってしまうくらいに、見慣れてしまった車。行儀の悪いことと知りつつ、舌打ちしたくなってしまう。あの車の中には、今日私と結婚式を挙げるはずだった男が乗っているはずだ。
 この道はよく通るわけではないが、このあたりに横道がないことくらい私も知っている。それでも、なんとか身を隠せるような場所はないかと視線を彷徨わせているうちに、車との距離がどんどん縮まっていく。思わずぎゅっとかいとの着ている衣装の袖を掴む。
 ああもう、どうか見つからないでっ……!
 そう思いながら、できるだけかいとに身を寄せて、車から見えないようにしたつもりだったのだが、やはり地面に足をつけている人間と、車に乗っている人間との高低差は覆らなかったようで、
「めいこ!?」
 私の名前を呼んだ声に、抑えきれなかった舌打ちの音が、自分の耳に響いた。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

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