【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#14】

投稿日:2009/09/29 16:34:47 | 文字数:3,462文字 | 閲覧数:373 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、たまには外に出てみるの巻。

私は野良犬めいこさんを引きこもりかなにかと勘違いしているのか。

今回のメイン部分は、ぷけさんのメールが来てから書き始めたのに、それまでとは
打って変わって異様に筆が乗った代物です。毎回ひぃこらしてるのにね!
それもこれもぷけさんの書いた青犬が素敵過ぎたから。けしからん、もっとy(ry
ぷけさんのメールに添付された青犬の本文を読んだつんばるが、近所迷惑にも
「おおおおっしゃああああああきたああああああ!」
って素で叫んでたのは、ぷけさんには内緒だよ?(ばれるよ

ちなみに、芝居の内容の描写は、ほんとうは適当に済ますつもりでしたが、もろ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4089755
このPVを想定して書いてたので、愛が止まりませんでした。
でも、こういうギャップがたのしいってのは、いつの世もあると思うのです。

青犬編では、かいとくんが走りはじめたみたいなので、こちらも是非!
コラボの醍醐味がうまく出ているといいなと願いつつ……!

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かいと視点の【青犬編】はぷけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#14】



「それでは、行って参ります」
「娘をよろしく頼みますよ」
「……行って参ります」
 よろしく頼まれるほど、私は幼くないはずだけれど、なんて主張は、もう彼らには届かない。
 私がひとりで外出することを許さなかったくせに、この男とふたりなら外出も許されるということはどういうことだろう。よっぽど自分の娘が信用ならないか、この男を信頼しているか。……前者だったら、かなしいことこのうえないけれど、そう振る舞われても仕方のないことをしてきた覚えはあるので、両親に対して怒りは湧かない。もっとも、彼らに対して怒るなんて、いまさらすぎる。
「久しぶりに家から出たのではないかい? やはり家の中と外では空気が違うだろう」
 門を出て、すこし離れた場所にある車まで歩く際に、男はこんなことを言ってきたが、私は、べつに変わらないわ、と答えてそっぽを向いた。
 そうでもしないと、余計なことを口走ってしまいそうだった。外に出ていない私を気遣って外に連れ出したつもりでしょうけれど、おあいにくさま、私はそんなことをこれっぽっちも望んでいなくてよ、傲慢と自意識過剰もここまでくると立派にすら思えるわ。それとも父や母に対する点数稼ぎかしら、もう私の嫁入りはきまっているのに、念入りなことね――なんて、言って損することはあっても、得することなんてひとつもない。
「今日は芝居を見に行こうと思うのだけれど」
「そう」
「最近封切りになったものでね。評判もなかなからしいから、ぜひめいこと一緒に観たいと思っていたんだ」
 そして、すっとふところから観覧券を2枚ちらつかせた男は、相変わらず気取ったふるまいを崩さなかった(どうせその観覧券も、仕事のつきあいか、会社がらみでいただいたものなのでしょう。「婚約者」と一緒に観に行けば、そりゃあハクもつくでしょうよ)。
 ……しかし、この男と一緒というのは不服だけれど、芝居を見るのも久しぶりのことだ。精々芝居を見ている間だけは、楽しんでやろうかと思いながら、男の用意した車に乗り込んだ。

 そんな風にやさぐれたきもちで見ていたはずの芝居は、予想以上に面白いものだった。一見すると見世物小屋にいる者たちのようないでたちをした登場人物たちは、みなきちんと練習を重ねた一流の役者たちだという。また、その登場人物たちもいでたちだけ見れば、どんなにか恐ろしい物語が展開されるのだろうというくらい、おどろおどろしい格好なのだが、物語の内容はいたって愉快で滑稽だった。おそろしいいでたちの登場人物たちが織りなす喜劇的な舞台は、終始観客の笑いを誘っていた。私も、何度噴き出すのをこらえたかわからないし、実際、何度かふふっと笑い声を洩らしてしまった。
 格式ばっていて、見た後に肩の凝りを感じるような芸術芝居が多い中、こうしておもしろおかしく見ていられる芝居はそうそうない。それも、ただ敷居が低いだけの、悪くいえば下卑ただけのおもしろおかしさではなく、すっきりと手放しで見ていられるおかしさだ。そのうえ、じんわりと心に残る台詞がいくつもある。いっそ感傷すらにじむ台詞が、明るい芝居展開によって、感動が薄まらずにさらに深みを増しているのも素晴らしい。この舞台の脚本家はまだ無名だそうだが、これからこの作品の発表を皮切りに、さぞや人気が出ることだろうと思う。
 これには、私を連れてきた立場の男もすくなからず感心したようで、「これはぜひとも友人たちに宣伝しなければいけないね」と息巻いていた。
 だから、
「ひさしぶりに面白い芝居を見た気がするよ」
 という男の言葉にも、
「そうね。世の中には素敵な感性をもつひとがいるものだわ」
 と、同意せざるを得なかった。まさか反応が返ってくるとは思わなかったのだろう、男は一瞬だけきょとんとした顔をして、それから、いつもの貼りついたような笑みを浮かべた。
「めいこも気に入ったのかい」
「ええ、とても。正直、悲劇的なだけの芝居や、演出だけしか凝っていないものは見飽きていたの」
「あとは、役者が有名なだけのもの?」
「そう! 名が売れている役者でも、とくに演技がじょうずというわけではないのよね」
 男が、ふっと相好を崩した。
「めいこは、芝居の話になると、饒舌になるのだね」
「お芝居と音楽会は、幼いころから好きなのよ。あの独特な雰囲気がいいと思うわ」
 幼いころ、私の興味のある芸術のたぐいにおいて、父母が何を惜しむことはなかった。私が芝居や音楽が好きだということがわかると、おもしろい公演があるとききつけては、一緒に観に行ったものだ。……尤も、ここ数年は、そんなこともなくなっていたのだけれど。年を経るごとに、両親は変わっていったように思う。かつて芸術の鑑賞や、だんらんに充てられていた時間は、どんどん私のお稽古事や、家庭教師をつけた作法の勉強の時間に取って代わられていった。それをさみしいと思ったこともあるけれど、いつからか、そうしている方が、彼らにとって都合がいいのだと感じるようになって、何を言うこともあきらめていた。
「めいこが喜んでくれたみたいで、私もうれしいよ」
 しまった、久しぶりの「当たり」に、思わず興奮してしまったが、よく考えたらこの男に言わずともよい話ばかりだった。後でるかさんにでも話せばよかったものを、うっかりでもこの男に対して話してしまった自分に、大きく落胆した。
「次もなにかおもしろい公演があったら、めいこを誘うことにしよう。めいこの機嫌も、いつもより良くなるようだしね」
「……そうね、その時は観覧券だけ渡してくれればいいわ」
 調子に乗るな、というきもちを込めて睨みつけてみたのだが、
「それでも、めいこはなかなか自分の好みを私に話してはくれないから。今日のこれは大きな収穫とさせてもらうよ」
 そんな風に言った男の相好が崩れたままだったのに驚いた。
 よく考えたら、この男の自然と笑った顔を、いま初めて見た気がする。それでも、なにか憂いを含んだような笑いだ、と感じたのは、芝居の雰囲気にあてられたからだろうか。

 すこしだけ用事を済ませなければならない、という男に付き合って、芝居小屋からすこし歩いたところにある時計店に寄った。それほどの距離でもないので車は使わなかったが、帰り用なのだろう、既に時計店の前には男の家の車が待機していた。私が店の中に入る用もないので、車の近くで待たせて貰うことにして(まあ、あの男とあまり長く一緒にいたくないというのも理由の一つだが)、道をゆく人の波を、見るでもなく眺めていることにする。

 ――わんっ。

 思わず、その鳴き声のした方角を見る。声の主を探して辺りを見回すが、雑踏の中にそれらしき影は見当たらない。
 いやだわ、空耳かしら。……しぐれがいなくなって何日もしているというのに、まだまだしぐれがいなくなったことを心配している、なんて、しぐれ本人(本犬、といった方がただしいのかしら?)に知れたら、そんなに心配しなくてもいいと吠えられてしまうところだ。
 苦笑を洩らすと同時に、風向きが変わった。雑踏の音が一瞬だけ途切れる。

 その瞬間、かすかに聴こえた声に、聴きおぼえがあるような気がして、思わず目を瞠った。

 男性の声だったと思う。なつかしいような、けれどどこか深みのある声だった。決してありふれているというわけではないけれど、なぜか気になる響きだった。
 その不思議な声に、おいで、と、呼ばれた気がした。
 青い鼻緒が脳裏をかすめた。
「めいこ、どうしたんだい」
 店から出てきた男が私に声をかけてきて、私の思考はぷつりと途切れた。
「……なんでもないわ」
「そうかい?」
 日が沈むまでにはまだ時間はあるけれど、女性のひとりあるきは危ないからね、と、もっともらしい理由をつけて、男はまた私を車に乗せた。咲音の家までの道を走る車の中、心を占めるのは、先ほどの空耳ほどの不思議な声だけだった。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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作品へのコメント2

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    コメントありがとうございますー!

    うわわわわ、読まれてしまった……じゃなくて、読んで下さってありがとうございます!
    つんつんめーちゃんは書いてて楽しいです、カッコよく見えてたならさいわいです(笑
    紫のひととか時代感にも反応ありがとうございます、時代感は結構考えてるとこなので
    すこしでも雰囲気出てるなら嬉しいです!

    ぷけさんちのかいとくんはもっとかっこいいですよ!(笑
    ではでは、続きはのんびりお待ちください~!

    2009/10/01 15:07:40 From  つんばる

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    ご意見・感想

    こんにちは!早速、野良犬疾走日和を読ませていただきました。

    もう、めいこさんが格好良くてっ、、、!
    紫の人もなんだかとても気になるしっ、、!!
    時代の感じとか、なんか凄く出てるしっ、、!!!
    と、本当に、ときめきました。

    めいこさんの矜持というか、凛とした佇まいというか、硬質な感覚と言うか。
    つんばるさんの書くめいこさんが、とても曲の感じと会っていて、素敵だな、と思いました。

    続きを楽しみにしています!!

    2009/09/30 21:04:04 From  sunny_m

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