「雑貨&コミックフェア」の会場は、ますます、お客さんが増えてきた。
テトさんとコヨミ君がいるブースにも、先ほどからたくさん来場者が詰めかけている。
テト・ドールをはじめ、陳列している商品の説明で、2人とも大忙しだ。
ひとしきり、お客の流れがとだえたところで、テトさんはフーッと一息をついた。
「バイヤーさんの名刺、ずいぶん溜まっちゃったね」
コヨミ君は、入口に置いた名刺入れを逆さにして、たくさんの名刺をトントン、と揃えて言った。
一般のお客さんも結構いるが、今日はいろんなお店から“買い付け”に来る人も多い。
いわゆる“バイヤー”だ。
「そうですね。これから、一人ひとりに連絡、忙しいですね」
テトさんは言った。
●人気のナチュラルグッズで…
すると、そこに一人の男性がやってきた。
「ああ、先程はどうも!いらっしゃいませ」
コヨミ君が挨拶し、相手も、にこやかにお辞儀をする。
テトさんに向かって、コヨミ君が彼を紹介する。
「さっき教えた、コラボレーションの企画をお話しした“ナチュラルグッズ”の企業の方ですよ」
「はじめまして。YMOYMO企画(いもいもきかく)のホソノです」
ちょっと、もさっとした感じの、でも温和そうな中年の男性が、丁寧に挨拶した。
「はじめまして。テト・ドールを作っています、重音テトです」
テトさんも、挨拶を返す。
コヨミ君がそれを、にこやかに見守っている。
ホソノさんは、ゆっくりと、でも親しげに話をする。
「うちは、ふだん“動物愛護”とか“野生生物を守ろう”という感じで、ぬいぐるみとかシールや文具を企画している、ライセンス会社なんですよ」
コヨミ君もあいずちを打って、テトさんに言った。
「雑貨店や、キャラクターショップですごく人気のグッズが多いんだよ。ナチュラル・グッズでね」
●にぎやかな会場ですね…!
ホソノさんは続ける。
「いつもは、動物のキャラが多いけど、あなたのテト・ドール、いいなあと思っていたんですよ、以前から」
「わあ、そうなんですか」
テトさんは大声を出した。
「テト・ドールの“ナチュラル・バージョン”が出せればいいな、って話をさせてもらったんだ、さっき」
「いろんな新企画を、出していこうと思ってるんです」
ホソノさんたちの言葉に、テトさんは、目を輝かせた。
「わぁ、すごいです」
「でも…いろんなグッズがあって、どうしようかと迷ってたんです」
ホソノさんは、微笑みながら言った。
コヨミさんに出会えて、良かったですよ。とにかく、賑やかな会場ですよね」
そういって、彼は隣のホールの方を指差した。
「さっきも、女の子が人形を抱いて、ブースの前で、撮影会みたいなことやっていたよ。なんか、しゃべる人形だったな…ブースの前が、賑やかでしたよ」
それを聞いて、テトさんとコヨミ君は、顔を見合わせた。
「しゃべる人形? 女の子?ひょっとして、霧雨さんのとこじゃない?」…・・・(゜_゜i)
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ブクマつながり
もっと見る霧雨さんのブースに向かって、ルカさんがゆっくりと歩いてきた。
「ルカさん!」
「たこるかちゃん、おつかれサマ」
彼女は、たこるかちゃんに向かって微笑んだ。
「あら、れおんさん。どうしたの?」
たこるかちゃんは、ルカさんにこれまでのいきさつを、手短かに説明した。
「そうなの!れおんさん、リンちゃんと“...玩具屋カイくんの販売日誌(192) リンちゃん+“はっちゅーね”の行方は?
tamaonion
“はっちゅーね”の人形を持った、リンちゃんに、どこかアヤシイおじさんは、話しかけつづけている。
「アナタもかわいいし、人形もカワイイねー。」
リンちゃんはちょっと困って、でも強気に応戦する。
「でも、おじさん。写真ばかり撮ってるけど、私が目的?人形が目的?」
おじさんは、ニコッと笑って答えた。
「ウ...玩具屋カイくんの販売日誌(189) リンちゃん攻防戦、開始!
tamaonion
ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。
ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。
それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」
フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。
「あ、テトさん。ごめんごめん。ちょっと、大人...玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ!
tamaonion
お店の売り場には、コスメや、美容関連のアイテムが、いろいろ並んでいる。
それを、レイムさんは目を丸くして眺めている。
「ワタシ、こういうの詳しくないんだわ~」
そうつぶやく彼女に、後ろを歩いているぱみゅちゃんは、諭す様に言った。
「そうそう。あんたはちょっと化粧っ気が無さすぎるからネ。少しは知っとい...玩具屋カイくんの販売日誌(179) レイムさんのオカルト理論 (その1)
tamaonion
「はーい。コーヒー、入りましたよ」
ルコ坊がカップに入ったコーヒーを、レン君たちに運んできた。
ちょっと不思議な雰囲気の、りりィさんのお店「星を売る店・上海屋」
りりィさんを送ってきたレン君は、美味しそうにそれを飲んだ。
「いつも、美味しいね。ルコちゃんの淹れるのって」
「へへ、どーもありがとう」
...玩具屋カイくんの販売日誌(187) 困ったヤツの目的は?
tamaonion
ゆくりさんのお店で、バイトのレン君が、青くなっていた、その頃。
東京・有明にある東京ビッグサイトで、人気のイベント「雑貨&コミック・フェア」が開かれていた。
企業のブースをはじめ、コミックやフィギュアを作る有志や同人の人たちが、それぞれにブースを出展している。
会場のホールの一角に、移動式自動車のカ...玩具屋カイくんの販売日誌(182) コミックフェアで、ひと騒動
tamaonion
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
こんばんは、大変遅くなりましてすみませんでした。家で大変なことがおきまして、今、時間がとれたので拝読させていただきました。
さて、早速ナチュラル関係の方が出てきましたが、YM○の細○様が出てきたのがツボでした。なるほど、そう来ましたか!
そしてボカロやUTAUをご存じな方なら、なんでYM○が出てくるかは、たぶんご存じであり、私も勿論知ってます~。アルバム、出てますね。
小室さんも、YM○の方々も、ボカロなどの音声合成技術には大変興味津々で、実際、小室さんは、独自ヴァーチャル歌手”MANA”を作って、GET WILDをカバーさせてましたからね。
シンセ関係も含め、こういう楽曲には、デジタル音声であるボカロやUTAUとの親和性は高いのだと思います。方向性も同じですし。
これからが楽しみな展開です!
ではでは~♪
2013/03/01 20:55:42
tamaonion
enarinさん、感想を有難うございます!
>家で大変なことがおきまして、今、時間がとれたので拝読させていただきました。
読んでくれて、ありがとうございました。ツイッターとかで、少し読ませてもらいました。お大事にされてください!なにかご協力できれば良いのですが…
>そしてボカロやUTAUをご存じな方なら、なんでYM○が出てくるかは、たぶんご存じであり、私も勿論知ってます?。アルバム、出てますね。
>シンセ関係も含め、こういう楽曲には、デジタル音声であるボカロやUTAUとの親和性は高いのだと思います。方向性も同じですし。>小室さんも、YM○の方々も、ボカロなどの音声合成技術には大変興味津々で、実際、小室さんは、独自ヴァーチャル歌手”MANA”を作って、GET WILDをカバーさせてましたからね。
そうですね。ボカロとテクノは、親和性がありますね。むしろ、つながっていると考えるほうがいいでしょうか...。
大変な時と思いますが、ご無理されずに、でも良い方に向かわれる事を祈っております。
ご自身の健康もご留意されてくださいね。
2013/03/03 17:03:20
オレアリア
ご意見・ご感想
tamaonionさん、今晩は!
前回からの続き、楽しみに待ってました!
フェアの会場も、更なる賑わいをみせていますね。ドンとやってきたお客さんに、コヨミ君とテトさんは休まる暇もない…でもここから、テト・ドールの人気と注目度が伺い知れますね!
自分もバイヤーとしてコミケに行った時に、セーラーさんの名刺でいっぱいになりました。名刺入れを用意していなかった不手際もありましたが…(笑)
コラボのお相手、YMOYMO企画のホソノさんとは上手くいきそうですね。これでナチュラルver.のテト・ドールの実現も近い!?
それにしても喋る人形に女の子といえば…これはもう、霧雨さんしかいな(ry
今回もブクマいただきました!このコミケ編はtamaonionさんの文表現からでしょうか、会場の情景や賑わいが鮮明にイメージできます。お忙しい中かもしれませんが、次回もこの続きを待っています!
2013/02/25 23:26:34
tamaonion
オセロットさん、コメントありがとうございます!
>自分もバイヤーとしてコミケに行った時に、セーラーさんの名刺でいっぱいになりました。名刺入れを用意していなかった不手際もありましたが…(笑)
なるほど、オセロットさんもイベントがお好きなようですね。イベントの会場は独特の雰囲気があっていいですよね。
名刺を後で整理したりするのも、大変だけど楽しいですね。
>コラボのお相手、YMOYMO企画のホソノさんとは上手くいきそうですね。これでナチュラルver.のテト・ドールの実現も近い!?
ですね?。お話の人物や設定は、できればモデルとする人や物を考えてますけど、この状況は「商売の相手」をミックスさせた複合的な存在です。
これからテトさんが、いろんな取引をする、という感じですネ。
>それにしても喋る人形に女の子といえば…これはもう、霧雨さんしかいな(ry
あはは、悪女じゃないですけど、いい人が多いボカロ・UTAU界隈で、なぜか存在感が広がってます。
>会場の情景や賑わいが鮮明にイメージできます。お忙しい中かもしれませんが、次回もこの続きを待っています!
ありがとうございます。何かが起こりそうなシチュエーションだし、イベントはやっぱりいいですね!
また、ぜひ感想を聞かせてください!
それでは、また。
2013/02/27 22:50:40