玩具屋カイくんの販売日誌(168) “はっちゅーね”をめぐる人たち
投稿日:2012/09/17 19:03:39 | 文字数:1,440文字 | 閲覧数:117 | カテゴリ:小説
ミクちゃんと、デフォ子さんが生み出した不思議な人形。はたして人気は広がっていくのかな?
ここは、ゆくりさんのお店、「ゆっくり」の売り場。
お茶が飲めるコーナーで、リンちゃんとレンくんが、仲よくケンカをしている。
「人の姿を写真にとって、勝手にブログに上げるなよな!」
キャンペーンの天使の姿のまま、怒るレンくんに、リンちゃんは涼しい顔で言う。
「いいじゃん。天使のテト・ドールの宣伝にもなるしさ」
二人のやりとりのかたわらで、りりィさんは、モモちゃんと話をしていた。
「そう、いまデフォ子さん、ニコビレにいたのね」
「ええ。久しぶりに話ができて、楽しかったです」
モモちゃんはうなずいて、そばの棚を指さした。
「さっき、あの“はっちゅーね”から、デフォ子さんの声が聞こえたと思ったから…。私、彼女にもしや、何かあったのかな、なんて思っちゃった」
りりィさんは、笑って言った。
「そう。でも、元気そうで良かったわね」
彼女は、金髪の髪をかき上げながら、続けた。
「ニコビレって、いろんなアーティストが仕事場を構えてるところでしょう。そういえば、この間、レイムさんという知り合いが、そこに入居したっけ」
●そんなサプライズがあったら素敵
「そうですか」
モモちゃんはうなずいて、そして聞いた。
「でもりりィさんは、どうして彼女のそばに、“はっちゅーね”があるかどうか聞いて”と言ったのですか?」
「ええ、ちょっと思いついたの。ここの“はっちゅーね”が不思議なおしゃべりをするなら、もしかしたら、同じ人形が向こうにもあるのかな、と思って」
りりィさんとモモちゃんが、なんだか不思議な話をしているので、
ケンカをしていたレンくんとリンちゃんは、おとなしくなって、話に聞き入っている。
「ホントに、不思議な人形よね。もしかしたら、離れてる人に、想いを届けてくれるのかしら?」
りりィさんの言葉に、レンくんは目を輝かせた。
「へえ、スゴイなあ、そんなサプライズ、あったら素敵ですねえ~」
そう言って、棚にある人形の頭をなでる。
リンちゃんはそれを見て、すばやくケータイで写真を撮った。
「ヨーシ。不思議な人形とたわむれる、不思議な姿の少年。この題でブログにアップしよう」
●魔境への入り口?
その頃。
アーチスト支援施設の「ニコビレ」の作業室で、熱心にしゃべっている一団がいた。
レイムさん、ミクちゃん、ルナさん、デフォ子さん。そしてそのそばに、“はっちゅーね人形”が置いてある。
そこへ、デザイナーのマコさんがやってきた。
作品に使う布の、仮縫いをしようと思ったのだ。
「…私が思うに、デフォ子さんが作業の時に、爆発で開けた穴で、この部屋は“異界”とつながってしまったんだと思います」
レイムさんが、腕組みをして言う。
「異界ってなあに」
のんびりと、デフォ子さんが聞く。
「この世界とは、次元の違う世界です。穴が異界の入り口になったんです。爆発したとき、そばにあった人形も、その影響を受けたのかしら」
「だから、遠い所にいる人の声が聞こえるわけ?」
ミクちゃんも、腕を組んだ。
「たしかに、私、自分たちが作った人形ではあるけどね、」
彼女は、机の上の人形の頭をなでて、続けた。
「コイツを見てるとね、何か、ずっと会っていない友だちに会いたくなってくるのよ」
そばで立って聞いていた、マコさんは思った。
「ようわからんけど、それなら、このニコビレは、魔境への入り口、ってこと?こわいわぁ」(ノ゜⊿゜)ノ
(次回に続く)
作品へのコメント1
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ご意見・感想
今晩は! 早速、拝読させて頂きました。
考えれば考えるほど、はっちゅーね人形は不思議ですよね~♪ なんか、れいむさんの異界説、信じちゃうかも! 異界への入り口って、こういう突発事故で作られることもあったりして。
しかしレン君は、なんというかツイてないと言うか、またリンさんに撮られちゃいましたね。でも頭妄想の人形と戯れる天使レン君が、なんというか、”レンきゅん”(可愛いレン君の呼び名)になってしまっています。随分前ですが私の小説1作目の”きのこ研究所”のイラストをhata_hata様が描いて下さったときの、恒例前バージョンの漫画で、ぬいぐるみを抱いているレンのイラストがあって、まさにそんな感じだなぁ、というのが頭妄想です。
こうなると、続きは、”魔界編”突入かも!?
ブクマ、頂きました! ではでは~♪2012/09/18 16:48:08 From enarin
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メッセージのお返し
enarinさん、有難うございます!
>異界への入り口って、こういう突発事故で作られることもあったりして。
そうですね。不思議なことは日常のちょっと隣にありますからね。
その扉が開くかも、っていうのは楽しいですよね。
>しかしレン君は、なんというかツイてないと言うか、またリンさんに撮られちゃいましたね。
ですね(笑) ボカロファミリーの男性陣は、なんというか、情けないヤツが多いですよね。
ツイてない道を、選びやすい体質の人って?あるかもしれません。
>私の小説1作目の”きのこ研究所”のイラストをhata_hata様が描いて下さったときの、恒例前バージョンの漫画で、ぬいぐるみを抱いているレンのイラストがあって、まさにそんな感じだなぁ、というのが頭妄想です。
あ、ほんとですか?それは楽しそう!こんど、ぜひ見てみますね。楽しみです!
>ブクマ、頂きました! ではでは?♪
有難うございます!また、感想を聞かせてくださいね。2012/09/18 22:24:44
tamaonion
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「あのね、ジローラモ・れおんさんって、チャッカリしてるので、業界では有名な人なのよ」
りりィさんは、レンくんの携帯の画像をのぞき込んで、言った。
彼女のお店、「星を売る店・上海屋」で、レンくんがお茶を飲んでいる。
そこに、妹のリンちゃんからメールが届いたのだ。
レンくんが聞く。
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玩具屋カイくんの販売日誌(176) ライブハウスの楽屋で
演奏が、全て終わったライブハウス。ホールの中はまだ、ザワザワとしている。
「楽屋に行ってみましょうか」
りりィさんは、レンくんに言った。
「ええ、そうですね」
出口やロビーに向かう観客たちに、さからうようにして、2人は楽屋の方を目指した。
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玩具屋カイくんの販売日誌(193) リンちゃんキャラの取りっ子に!?
霧雨さんのブースの前で、ルカさんとテトさんは久々に声を交わした。
「元気?ルカちゃんのとこの商品、相変わらず、いい調子ね」
「テトのとこの、テト・ドールも可愛いよね」
仲良く話す2人。
じっさいには、テトさんの方がかなり年配なのだが、タメ口を聞く間柄だ。
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玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ!
ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。
ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。
それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」
フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。
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玩具屋カイくんの販売日誌(179) レイムさんのオカルト理論 (その1)
お店の売り場には、コスメや、美容関連のアイテムが、いろいろ並んでいる。
それを、レイムさんは目を丸くして眺めている。
「ワタシ、こういうの詳しくないんだわ~」
そうつぶやく彼女に、後ろを歩いているぱみゅちゃんは、諭す様に言った。
「そうそう。あんたはちょっと化粧っ気が無さすぎるからネ。少しは知っといたほうがイイわよ」
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玩具屋カイくんの販売日誌(187) 困ったヤツの目的は?
「はーい。コーヒー、入りましたよ」
ルコ坊がカップに入ったコーヒーを、レン君たちに運んできた。
ちょっと不思議な雰囲気の、りりィさんのお店「星を売る店・上海屋」
りりィさんを送ってきたレン君は、美味しそうにそれを飲んだ。
「いつも、美味しいね。ルコちゃんの淹れるのって」
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玩具屋カイくんの販売日誌(178) おっかけファン一掃作戦 (その2)
ライブハウス「マルクト」の楽屋前で。
楽屋にいるリンちゃん目当てにおしかけた、おっかけの少年たち。
その前に、廊下のイスに置かれた“はっちゅーね”の人形がある。
廊下の向こうから、霧雨さんが走ってきた。
「いっけない。これ、忘れちゃった。大変大変」
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玩具屋カイくんの販売日誌(177) 押しかけファン 一掃作戦!
「じゃあ、ちょっと彼らを外に連れ去ってくるわネ!」
霧雨さんは、そう言って立ち上がった。
「大丈夫?」
そわそわしていたリンちゃんは、心配そうに彼女の顔を見た。
「私がこの部屋を出ていこうか?」
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玩具屋カイくんの販売日誌(183) リンちゃん ボディーガード発動!?
「だんだん、お客さんが増えてきたかしら」
ブースの前に出て、テトさんはコヨミ君に言う。
「そうですね。午後になって、出足が良くなったんでしょう」
コヨミ君はうなずいた。
東京ビックサイトで開かれている「雑貨&コミック・フェア」。
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玩具屋カイくんの販売日誌(191) リンちゃん+“はっちゅーね”の新キャラ?
展示会の会場で、霧雨さんのブースの前の、ゴタゴタは、まだ続いている。
「ネエ、たこるかチャーン、ボクが悪者でないことを、皆サンに言ってクダサイヨ」
皆に白い目を向けられたおじさん、ジローラモ・れおんさんは、困ったように言った。
「うん。悪者かどうかは、別としてさ」
皮肉っぽく、たこるかちゃんは片目をつぶった。
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