しがない作詞家の機転で引き離されたツイン・ボーカロイドは見事ロリコンマスターを退け再び共に歌えるようになりましたとさ。 めでたし、めでたし。
* *
…で、終わるはずだったのに、何故かそのツイン・ボーカロイドは二人揃って私の自宅の前にいて満面の笑顔で手をふっているのだった。 丁度朝目覚めた直後で、新聞を取りに外へ出た所だったので、私はまだ寝ぼけているのだろうか夢の中なのだろうかきっとそうに違いないと思い、ばたんと扉を閉めてUターン、ベッドへ戻ろうとする。だが扉を破壊せん勢いで激しいノックが私の背中に追いすがったので、仕方なく扉に向き直りそろそろと開く。 …やっぱり間違いなく目の前にいる、金髪碧眼の双子。
「………、えーと何?」
「お久しぶりです、若草さん! レンを助けてくれて、ありがとう!」
「うん久しぶりだけれどもリン。あんた何故にここに…?清水谷はどうしたよ清水谷は」
「見限りました」
「ええええええ」
ボーカロイドが主人を見限るってどういうことだ。リンに余程×××なことを強要したのか? わけがわからなくて頭上にクエスチョンマークが乱舞している私に、リンは軽快に笑って「というのは冗談で、」と言った。
「レンが帰ってきたとき、今のマスターのままじゃ駄目だって思ったんです。 どうせまた同じ事の繰り返しになるから。 私のせいでレンが傷つくようなこと、もう、嫌だから」
「………で、私にどうしろと」
「マスターになってっ」
「清水谷に殺される」
ヤツのリン溺愛ぶりは対のボーカロイドに嫉妬するほどなんだ、多分今現在だってリンがいなくなって半狂乱になっているに違いない。それが先日駆引きをした私の所にいると知ったらどうだろう、全力で何かしか仕掛けてくるに決まってる。 リンとレンはお互い顔を見合わせて、にんまりと悪戯な子供の笑みを浮かべ、茶封筒をひとつ私の胸に押し付けた。 恐る恐る中身を確認してみる。意味ありげなメモリーディスク、CD-RW、接待だとか隠蔽だとか機密だとか危なげなワードの乱舞する書類…
「………リンちゃーん、レンくーん、これなぁに…?」
「マスターが金庫に隠してた物諸々。脅す材料になるかなって」
「可愛い顔して脅す材料とか言うな」
何か背中に妙な液体が流れ出してきた。アレ微妙に手震えてねぇ私? 恐らくは清水谷が世界規模で集めた「弱味」だとかその他諸々な情報がこの腕の中にあると思うとそりゃ震えたくもなる。青ざめたくもなる。 その様子を見て、リンとレンは先ほどとはうってかわって哀しげな表情を浮かべてみせる。
「…やっぱり迷惑だった?」
「…う」
「そうだよね、一度一緒に仕事しただけだし、迷惑だよね…」
「ううううう」
目の前で可愛い双子の子供が二人、哀しげに俯いていて、一体誰が「迷惑だ」なんて正直なところを言えるだろうか。言えるというならどうぞ私と立場を変わってくれ。 当然追い払う気持ちなど根こそぎ奪われてしまい、長い長いため息をついて寝癖だらけの髪を掻き毟る。
「………、私、清水谷みたいに特別に歌作ってあげるとか、出来ないわよ」
双子の表情が一変して明るく華やいだ。 …ああもう駄目だ、完全に騙されてしまった。 こんなに可愛い表情を見てしまって、一体誰が頼み事を断れるというのだろう。断れるという人がいたところでもう私は立場を変わってくれだなんていえない。幸せを願う気にさえなってしまった以上は。 リンとレンはよく似た顔によく似た笑みを浮かべて、鏡のように、揃って言った。
「特別な歌を歌うより、二人でずっと歌っていたいだけ」
To Be Next .
天使は歌わない 21
こんにちは、雨鳴です。
リンは無邪気に黒い気がする。サラっと黒いこと悪気もなく言いそうな気がする。
ということを思っていたり。 …共感してくれる人いるのかなコレ(苦笑)
今まで投稿した話をまとめた倉庫です。
内容はピアプロさんにアップしたものとほとんど同じです。
随時更新しますので、どうぞご利用ください。
http://www.geocities.jp/yoruko930/angel/index.html
読んでいただいてありがとうございました!
コメント3
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天使は歌わない 05

雨鳴
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ヘルケロ
ご意見・ご感想
若草殿は断れなさそうですからねw
あれで優しい面があるから「殿」をつけるのに値するんです
2009/08/16 17:19:47
雨鳴
その他
こんにちは、雨鳴です。
読んでいただいてありがとうございます!
本文抜粋してまで!(笑)
端々のワードを重点的に見ると思っていた以上にリンが黒いと気づかされました…
常磐は何か色々災難はありそうですが文句言いながら地味に面倒見てそうです(笑)
某ロリコンだとか某ロリコンだとか某ロリコンだとか…
2009/08/16 15:11:53
ヘルケロ
ご意見・ご感想
…で、終わるはずだったのに、何故かそのツイン・ボーカロイドは二人揃って私の自宅の前にいて満面の笑顔で手をふっているのだった。 丁度朝目覚めた直後で、新聞を取りに外へ出た所だったので、私はまだ寝ぼけているのだろうか夢の中なのだろうかきっとそうに違いないと思い、ばたんと扉を閉めてUターン、ベッドへ戻ろうとする。だが扉を破壊せん勢いで激しいノックが私の背中に追いすがった
「見限りました」
「ええええええ」
「マスターになってっ」
「清水谷に殺される」
意味ありげなメモリーディスク、CD-RW、接待だとか隠蔽だとか機密だとか危なげなワードの乱舞する書類…
「………リンちゃーん、レンくーん、これなぁに…?」
「マスターが金庫に隠してた物諸々。脅す材料になるかなって」
「可愛い顔して脅す材料とか言うな」
何か背中に妙な液体が流れ出してきた。アレ微妙に手震えてねぇ私?
目の前で可愛い双子の子供が二人、哀しげに俯いていて、一体誰が「迷惑だ」なんて正直なところを言えるだろうか。言えるというならどうぞ私と立場を変わってくれ。
以上、本文より
もう最高です!!!
今回は本当に吹きました!(笑
なんかブラックリン、分かりますw
でも、もう、私が若草殿の立場でも変わんなかった気が……
いや、絶対に変わんなかった
というか、最初にドアを閉めることすらできずに固まっている気がいします
今までのリーアムに対する嫌な気持ちが晴れましたww
してやったりですwww
最後に
若草殿、頑張ってください!(笑
2009/08/15 13:07:40