#103「複雑」
式典が終わったあと、僕は一人になった
一人になりたかった……
こんな姿……だれにも見られたくなかったから……
そのとき、カツカツと誰かが近づいてくるのがわかった
「こんなところにいたのか……マイと別れの挨拶しないと……」
それはレンだった
僕は自分の気持ちを必死に隠そうとする
「やぁ!レン!どうしたんだ、こんなところで?」
上手く、笑えているだろうか
「いや、別に……マイが、あんたに話したい事があるっていうから探してただけだ」
「そうか。うん、今行くよ。先に戻っててくれ」
僕はそういったが、レンはその場から動かなかった
「……俺はまだカイトをみつけていないし、何も聞こえない。だからこれは、独り言だ」
突然、レンが変なことを言いだした
「俺はあっちの廊下で待ってる。だから……落ち着いたら来てくれ」
そういって、レンはその場からいなくなった
「はは……なんだよ…………変に大人になりやがって……」
僕の頬をつたって落ちていくものは、喜びと寂しさが入り混じった複雑なものだった
僕は自分の気持ちの整理をつけて、レンの待つ場所に向かった
「レン、待たせたね。もう大丈夫だ……ありがとう」
「は?なんのことだ?俺は今、初めてお前を見つけたんだが」
しらばっくれるレンは、ふっと笑ってそう言った
「あ~!カイト兄!いた!」
そこにミクがやってくる
「もう!どこにいってたの!? 探しにいったレン君も、全然、戻ってこないし……」
ミクが呆れて、少し怒っていた
「ははは、ごめん。ちょっと男同士の会話をね」
「はぁ?ふざけんなよ!誰がお前となんか!」
レンが顔を赤くして、全力で否定した
「もう!そんなのどうでもいいから、早くマイちゃんのもとに行ってあげて!マイちゃん、これから忙しくなって、時間が限られてるんだから!」
腰に手をあてて、ふくれているミク
「わかった……レンやミクは、もういいのか……?」
二人の顔が明らかに曇った
そうだよな……いいわけはない……
リンちゃんとの別れは二人にとっても辛いはずだ……
「大丈夫だ……もう話すことは話した」
レンは僕に背を向けてそう言った
「私も…………あとはカイト兄に時間をあげるよ」
ミクは目に光るものをためながら、二コリと笑った
僕はリンちゃんの待つ部屋に急ぐ
すると、その部屋の扉の前にメイコさん、ルカさん、ハクさんがいた
「カイトさん、本当に色々とお世話になりました。ありがとうございます」
メイコさんが頭を深く下げる
「いえ、僕の方こそ、皆さんに大変迷惑をかけしました」
僕がここにこなければ、もっと平凡に過ごせたかもしれない
「いいえ、カイトさんがいなければ、私はあのまま、間違いにきづくことはありませんでした。本当にありがとうございました。」
ハクさんが、いままで見たことのないくらい笑ってくれていた
「では、私は送迎の馬車を用意して参りますので、これにて失礼します」
そして、一礼して廊下の角に消えて行った
「ふふ、ハク。あんな風に笑うのね」
メイコさんは嬉しそうだった
「カイトさん、あなたは私たち妖精の命の恩人です。あなたがいなければ、私もリンも、ハクもルカも、みんなここにはいなかったでしょう。ありがとう」
メイコさんは、僕の手を両手で握ってそう言った
「僕はただその場を一生懸命だっただけです。ここにいるのは皆さんの自分の力です」
「いうようになったねぇ……最初は、あんなに弱々しかったのに」
ルカさんが、上から目線でそう言っていた……が、これは彼女なりに褒めている
「ルカさんも……」
「そういうのはいいわ。忘れたの?私はそういうのが苦手っていうこと」
ルカさんは僕の言葉を遮ってそういうと、優しく微笑んで手を前に差し出した
僕は、その手を握ってルカさんの目をまっすぐと見た
「これで十分よ。……さぁ、中に入って。新女王様に失礼のないようにね」
ルカさんは、僕を軽く茶化すと、ふふと笑って背中を押してくれた
コメント1
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ご意見・ご感想
イズミ草
ご意見・ご感想
レン……かっこいい……
みんな成長しましたね……
特にルカさんが柔らかくなったwww
えΣ
今日中!?
なんか……さびしいですね(´・ω・`)
2012/12/25 18:31:40
しるる
時が一番成長させてくれるのです
よし!今日!
2012/12/25 20:03:23