タグ:或る詩謡い人形の記録
20件
Zot qonwirr rit ziyu
唯一つだけを信じた少女
部屋に戻って、椅子に座りながらこの後の用事はなんだっけ、と確かめようと思ったときだった。扉を叩く音。
まだ、一息すらついてないのに。
「どうぞ。」
扉に向かって、声をかける。正確には、扉の向こうにいる誰かへ。その誰か...或る詩謡い人形の記録 10 -雪菫の少女-
sarukichi
"Sew fa-to Uryu hi fo-a nya?"
"私の声はそちらに届きますか?"
「どういうことだ!」
さっきから聞こえるのは怒声ばかり。彼の叫び声は、広い自室の外からも聞こえるほどで、それだけの事があったのだと、容易に察しがついた。
本来は、立ち寄ってはいけない国王の自...或る詩謡い人形の記録 9 -雪菫の少女-
sarukichi
aty ryuir.
彼女は唯涙する
手紙が一通。わたしの前に置かれていた。それは国外から届いたもので、東の国から届いた。
家来たちは部屋の外へ出している。つまりは、わたし1人という事。ゆっくりと、封を開ける。本当は、そんな動作すら惜しい。だが、意思に反して腕はのろのろとしか動かないのだ...或る詩謡い人形の記録 8 -賢帝の愛玩-
sarukichi
Len zea fazenty a.
たとえ この世が 滅ぼう とも
あの人は……。いつも忙しそう。わたしと会う度に、あの人は疲れた表情を濃くしていっていた。それが嫌で仕方なくて、気分が悪かった。
自分は、すごくこの人に悪いことをさせているんじゃないかって。よく、思う。だからこんな気持ち...或る詩謡い人形の記録 7 -終焉の歌姫-
sarukichi
Rafe a-ll-byss...
鏡に映った王の姿に
城に戻ったら、迷うことなく彼女の病気について調べていた。時間があれば場内にある書庫で調べれる限りのことを調べたし、わたしのかかりつけの医者(勿論国王を見るのだから腕も信頼も確かだ)に調べてもらうよう遠まわしに頼む。そもそも、彼女は他の人間に命...或る詩謡い人形の記録 6 -賢帝の愛玩-
sarukichi
Sof Lo,juwol. Zot Lo,juwol.
最愛の人 たった一人の人
目の前には、1目見てからずっと会いたいと思っていた歌姫がいる。彼女は、あのときと同じように、私にお辞儀をする。
「わざわざ私のために……」
歌っている時の声しか知らなかったが、こうして普通に喋る声はかわ...或る詩謡い人形の記録 5 -賢帝の愛玩-
sarukichi
"Sew li-a uryu aryu-fe."
"私は唯生きていてほしかった"
わたしの国は小さな国ゆえに、外交は欠かせない。今は戦争など起きてはいないが、それは雪菫の武勲のおかげだ。遠く遠くまで広がるほどの実力を備えた兵がいる。それに合わせて政治面でのわたしの頑張りが、ここにつなが...或る詩謡い人形の記録 4 -賢帝の愛玩-
sarukichi
第五章~紅の雨夜~
1
ぬかるんだ地面が足元でグチャリと音を立てた。
雪が解けて、一部の土が露出している。
まだ残っている雪の部分も既に白くは無く、幾つもの薔薇が咲き誇っていた。
それを踏み潰すと、サクサク音を立てながら地面を塗らしていき、そしてまた、グチャグチャと不快な音を立てた。
無心に地面を踏...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂
語り部の或る詩謡い人形の記録『終焉の歌姫』
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのは遠い昔に青い髪の男女の人形が謡っていた全5曲から成る一連の物語の5曲目のお話です。
その昔、魔物に脅え暮らしていた時代に、隻眼の魔女の元、
美しい娘が居たそうです。
彼女はかつて至上の歌姫と呼ばれていたの...語り部の或る詩謡い人形の記録『終焉の歌姫』
文鳥
語り部の或る詩謡い人形の記録『賢帝の愛顧』
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのは遠い昔に青い髪の男女の人形が謡っていた全5曲から成る一連の物語の4曲目のお話です。
北の果ての国の賢帝は、元々は平和を愛する人だったそうです。
そんな彼はある時、彼の国一番の歌姫に恋をしたそうです。
けれ...語り部の或る詩謡い人形の記録『賢帝の愛顧』
文鳥
語り部の或る詩謡い人形の記録『雪菫の少女』
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのは遠い昔に青い髪の男女の人形が謡っていた全5曲から成る一連の物語の二曲目のお話です。この物語は呪われていますから、決して口外なさいませんように。
その昔、遠い遠い森の奥深くに、双子の魔術師が住んでいたそうで...語り部の或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』
文鳥
語り部の或る詩謡い人形の記録『雪菫の少女』
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのは遠い昔に青い髪の男女の人形が謡っていた全5曲から成る一連の物語の一曲目のお話です。
その昔、雪の降る国に名将と名を馳せた若き一人の少女がいたそうです。
彼女は、権力のためでも財産のためでもなく戦場に居たそ...語り部の或る詩謡い人形の記録『雪菫の少女』
文鳥
"a...Sew... Sew zot ly-ch I-dyss."
"嗚呼、私の…私の尊き愛しの王"
北の果て。そこは、雪の降る場所。北の果てにあるその国を治める帝王は、平和を愛してて、その実力から『賢帝』と呼ばれている人だった。
私は、その彼のもとに使える1人の……戦士。周りからは『雪菫』と...或る詩謡い人形の記録 2 -雪菫の少女-
sarukichi
夜も深まって、深夜にさしかろうとしている頃だった。
小さな子供であるその女の子はベッドにもぐったのはいいが、全然眠くなくて目を開いていた。
そばには確実に美人の方に入るようなきれいな女性がいた。
青緑のショートヘアーに真っ白のシンプルなドレス。スリットが大きく入っていて、そこから肌色の足がちら...或る詩謡い人形の記録 1
sarukichi
間章~逃走~
村に着いた時には、既に夜遅く、暗闇に包まれていた。
暗闇を照らすのは、家々の明かりだけ。しかし科学者の家だけ明かりは灯っていない。
悲鳴を上げる扉を乱暴に開くと、科学者の家は既に蛻の殻だった。村の何処を探しても、彼らはいなかった。
――逃げられた。
そう思った彼女は、目の前にそびえる山...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂
第四章~白き科学者~
1
蒼い女騎士は村人に、科学者の場所を聞いていた。
気はのらないのだが、王に対する忠誠――それと恋心のため、此処まで赴いてしまった。
こんな手紙を渡さなければならないのか。
やはり断ったほうが良かったのではないか。
そんな事を考えている間に、目的の家に辿り着いてしまった。
「あ...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂
第三章~探索の誤り~
1
翌日から王は兵を率いて、歌姫の延命の術を探し始めた。
勿論、幼馴染の女騎士もその兵のうちに含まれている。
おそらく、彼女の本意ではないだろう。
王のため、と参加はしたが、本当にこれが正しい選択だったか悩んでいる。
王や多くの兵が国を離れてしまって、本当に良かったのだろうか...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂
第二章 ~碧空の歌姫~
1
「陛下、本日はこの国で一番の歌姫がみえております」
――思えば、全てが狂いだしたのはその日がきっかけだった。
一人の娘が部屋に入った瞬間、誰もが息を呑んだ。
『歌姫』と紹介されたその娘が、あまりにも美しかったからだ。
肌は雪のように白く透き通り、艶やかな緑の髪は傷むと...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂
第一章 ~雪国の二人~
1
そこは、城の謁見の間。
玉座には、少しだるそうにして若草色の少年が座っている。
そしてその隣では、蒼色の少女がそんな少年に軽く説教をする。
玉座に座っているところ、彼はこの国の王で、少女は彼の騎士であろう。
他から見れば微笑ましい光景だが、少年からすれば耳が痛く...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂
~プロローグ~
その部屋は窓一つ無く、湿気とかび臭さが籠もっていた。
最後にこの扉を開けたのは、数十年ほど前といったところだろうか。
扉を開けた男は部屋の不潔さなど気にも止めず、部屋の隅へと歩みを進める。
そこでは二体の男女の人形が椅子に座っていた。
その二体はあまりにも美しく、限りなく人...【小説】或る詩謡い人形の記録
雀蜂