タグ:短編
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世界で飲まれるコカコーラ、世界で聴かれるマイケル・ジャクソン、世界を繋ぐインターネット。
宇宙に風船のように浮かぶ地球の表面は、世界と呼ばれる人間たちの空間。私たちはそこで暮らしている。ちっぽけだけれど成長し、仕事をこなし、人と知り合い、人を好きになり、愛し、そして子供を育て、死んでいく。私たち...ありふれた気持ち
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箱の中で暮らすのに疲れた。僕は実際に箱に住んでいるわけじゃあない。ごく平凡に、両親が暮らしてきた家に生まれ、屋根のある建物に暮らしている。間違っても、橋げたの下の粗末な家で、ダンボールを使っているわけではない。
箱はとてもとても大きい。それはとても大きい。それはとても大きいようで、でも改めて大き...フラーレンより複雑
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暑い夏の日、洗濯機を眺めていた。ぐるぐるまわる、という運動をする機械が洗濯機より他になかったからだ。
洗濯機のぐるぐるまわる世界に没入する。その頃の僕にとって何よりも楽しいことだった。ぐるぐるぐるぐると、視線を回していくうちに、何も気にならなくなった。洗濯機の出す音もしかり、蝉の鳴き声しかり、体...チンチリリン
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太陽が登ってくる前の時間。目は開いても足取りはふらふら。とても落ち着きの無い足取りだけれど――大丈夫。動くほどに体が温まって、頭も体も冴え出すだろう。
部屋を出て冷たい廊下を歩く。足からどんどん体温が奪われていく。外気も思ったより冷たくって、一枚取りに戻ろうかと思ったけれど、やめにした。私は急ぐ...朝もやの頃は
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公衆電話が消えている。別に今のご時世珍しいことではない。だが今日僕は公衆電話が撤去されているところを見てしまった。実のところ、公衆電話が減っていると感じている人は多くても、その公衆電話が撤去されるところを見たことのある人は少ないのじゃなかろうか。
その撤去作業は、ある商店の工事の際に、一緒に行わ...なかった
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ポカポカと暖かい庭の中に、僕の小屋はある。今日も花壇の花に蝶が集まってきている。それを見ると僕は居ても立ってもいられなくなって駆け出してしまう。だって目の前でひらひらしているのだもの、飛びかかりたくなる。――でもいっつも駄目、紐が引っかかって花壇には届かないようになっている。子供の頃、僕がはしゃぎ...
冒険と憂鬱 1
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赤い鳥居が連なっている。その先に小さな祠がある。その手前に狛犬がわりの狐の像が左右一対で置かれている。闇の狐はこうした稲荷を拠り所に、各地を巡っていた。
稲荷の信仰は根強い。場所によっては立派な社殿を構えていることもある。都市部の入り組んだ場所でも稲荷の祠は取り壊されも移動すらもされず、そのまま...稲荷 上 ――闇の狐――
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浮くと言う経験。そして落ちる感覚。
人間は浮けないけれど、身の回りでは様々なものが浮いている。紙をポイっとやると、紙は浮いてふわふわ落ちる。虫の一部や鳥は、ぱっと羽を開いてはばたいて飛ぶ。気流をみつけてわっと上へ押し上げられてひらひらと行きたいところへ行く。木立の枝の先、色を失った葉は何かの拍子...浮く
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ある日、公園のそばを歩いていたら、子供が「タイヨウノカド、タイヨウノカド」と叫んで走り回っていた。その声はもう嬉しくって嬉しくってたまらないと感じで、はしゃぎまわる感情が自然に出させたもののようであった。
子供の感性とは不思議なもので、見たことのないものがあれば、それは世界で自分しか知らないこと...タイヨウノカド
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闇の狐は暗がりを放浪する。曰く真っ黒なだけでそれ以外は狐そのものだと言う。フサフサの尻尾を持っていて、ピンと立つ耳を持つ。
山に暮らしていたこともあったそうだが、今は街に住んでいる。山に住んでいた頃、自分のことを人形遣い、と呼ぶ変な人間が暮らしていたと言う。不思議なことに狐はその人形遣いと意志を...闇の狐
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隣のあの人どこ行く人ぞ。暗闇ぬってどこ行くぞ。灯りもつけずにどこ行くぞ――どこを曲がった、角がわからぬ。
歩みを止めて耳を澄ます――。どこぞで足音響いているか?立ち止まったか何も聞こえぬ。ふっと目を上げれば、柔らかな月明かりに照らされた街の陰影。馬鹿に暗い。街の遠くも連なる家々も、すべて月明かり...夜間回廊
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ある日の昼下がりの話。
「・・・ね、カイト」
分厚い本をぱらぱらとめくっていたマスター(作者)は同じリビングにいたカイトを呼ぶ。
「・・・・ん、何ですか?」
空を眺めていたカイトはマスター(作者)の元へ。
「・・・うわ、よくこんな真っ昼間から読みますね、しかも英和辞典なんて」
カイトは驚いて呆れて感...日常的環和短編 英和辞典とカイトと
もごもご犬
新人ボーカルっとして働く僕
まだデビューして間もない
社会へのデビューだって間もない
だから、、僕への批判は、、大きいらしい……
僕は、、頑張ってるよ!!!
皆を、、、癒せるよう、、和ませるよう、、、元気付けようと、、
一生懸命、、一生懸命歌ってるよ!!
でも、、なんで、、誰も分かってくれないの!?...僕を優しく包むヒト
睦月
彼女が見つめる先
そこには、一輪の花
俺にはその花の名前が分からない
でも、彼女が嬉しそうにその花を見つめていると
何故だが俺も、つられてその花を見ていてしまう
晴天のある日、雨上がりの為か空に浮かぶ雲は微塵も無く
ただサンサンっと輝く太陽が、見上げた先に見える
その日も彼女はその花を見つめて居た
...彼女が見つめる花
睦月
テスト中、いつも暇になってしまうレンは頬ずりをしながら外を眺めていた
いつも暇になる理由……それは……
「駄目だ、、分かんねぇ」
頬ずりをしながら、横目で問題用紙を見ると
そこには暗号に等しい英語の文字の羅列が並んでいた
たまに、可愛く無いイラストもあるが、そんなの関係無い
レンにとっては、イラスト...頬ずりをしながら、見つめた先に
睦月
――世界はいずれ滅ぶわ。
私のおぼろげな記憶の中で、少女は言っていた。
「どうして? 昔、私の若いころにも、そんな噂が流れたよ」
私は、少女の言葉を冗談と受け取って、そんなふうに答えた気がする。
「一九九九年に、世界は滅ぶってね。でも、実際には何も起こらなかった。私たちは二十一世紀を迎え、その...滅びの歌
aya_o
※この小説(短編)は、恋人っぽい設定で進行しております。
リン⇔レンで、恋人率55% 双子率45%くらいです(爆)
リンとレンが恋人同士っぽくても大丈夫!という方のみお進みください。恋い慕う
蒼い時計
がんばって育てた このお花
毎日水あげ したのよ
かわいく 芽を出し 双葉に
1日1日 変わってく
最初はすごく 不安で
ちゃんと出るのか 心配した
だから双葉が出たとき
飛ぶほど うれしかったの♪
この花が咲いたなら
一番に君に 見せてあげるよ...恋花栽培
李緒