タグ「初音ミク」のついた投稿作品一覧(148)
-
年に一度、大切な人にチョコレートを渡す日。
バレンタインデー。
それは二月十四日、今日のこと…。
「ミク姉、めー姉、ルカ姉、チョコレートどうぞ!」
リンはそういいながら、可愛らしくラッピングされたハート型のチョコレートを、三人の姉達に差し出した。
「ありがとう、リンちゃん。これ、私からね」
...鏡音とちょこ。
-
それは、今から少し――十年ほど前のクリスマス。
「…レンはぁ?」
ぷぅっと頬を膨らませて、小さなリンは不満を全面に押し出して言った。
「レン君はマスターとお仕事。レン君がんばってるから、リンちゃんもがんばって我慢して、ね」
どうにか妹をなだめようとするミクだったが、そんな理屈でハイそうですかと...リンは変わらない。
-
双子と言うのは、昔から珍しがられたし、重宝された。
テレパシーって本当にあるの、と聞かれたことは数知れず、鏡音、と呼べば二人一パックで返事が帰ってくる。学校でも、先生がよく、二人も当てる相手を考えるのが面倒なとき、俺とリンに、鏡音ぇ、と当てたものであった。
その当時から、いや、もっと昔、物心つい...FOR YOUR HEARTS. 10
-
リンは昔から子供っぽくて、感情が高ぶったり、理性が吹っ飛んだとき、自分のことを名前で呼ぶようになる。それは、リン自身が自覚していないことで、嘘や演技で、そういうことは起こらない。今、リンは感情を爆発させている。
「リンはレンのこと大好きだよ! じゃあ、レンの好きって何? リンの好きって何? 好きに...FOR YOUR HEARTS. 9
-
目が覚めると、まだ五時だった。既に日は昇っている。もう夏なのだ。
頭ががんがんと痛かった。昨日、家に帰ってきたときのままの服装で、髪も解かず寝てしまった所為で、髪も服もぐちゃぐちゃである。二日酔いってこんな感じなのかな、と考えたが、分かるはずもなかった。
とりあえず、制服に着替えた。少し早いが...FOR YOUR HEARTS. 6
-
少しだけ音量を下げ、ミクは顔をしかめた。
「何よ、大きいか小さいかしかできないの、使えない!」
街中でイヤフォンに大声で文句をつけている美少女、となれば、嫌でも目立つもので、カイトがミクを見つけるのに、そう苦労はしなかった。…と、いうか、うるさいので、目をそらしても無視できなかった。
「ミク」
...日常 28
-
ギターの音色がステージ上に響いていた。
ギターの音色だけが、スタジオに響き渡っていた。
二人だけの演奏が終わり、あたりはしんと静まり返っていた。
「いやあ、すばらしい演奏でしたねー」
マイクを持った司会者がリンとレンの元にやってきた。
「今回はメンバーが…」
言い終わらないうちに、リンはそ...日常 27
-
歩き出した。
コツ、コツ、と単調なハイヒールの足音が、ひたすらに長い廊下に響き、美しいルカの姿を、よりいっそう際立たせるようだった。手には書類、顔にはめがね、髪はバレッタで止めて、淡いブルーのブラウスに紺のパンツスーツ、と言う格好は、元々クールなルカの印象を更に強めていた。
木製の大きな扉をノ...日常 26
-
ゆっくりと、ミクは部屋を出て行った。
誰もが声を発しようとはせず、狭い空間に、重苦しい空気と沈黙だけが取り残されていた。
しばらくして、カイトが静かに音を立てないように、そっと立ち上がった。全員の視線がカイトに向けられ、カイトはうつむいて小さな低い声でつぶやくように言った。
「ごめん」
そし...日常 25
-
ルカから連絡が来たのは、それからちょうど一日ほどたったころだった。
メールの字数制限一杯に書かれた、長文だった。いつもよりかっちりとした敬語に、決まりきった書類のように不自然なくらいに回りくどい言葉。なんだか、会議の書類を見ているようで、メイコは思わず目をそらしたくなってしまったほどだった。
...日常 24
-
「それで待ってたの、二時間も?」
「そう…だよ…」
本日の教訓。雨の中二時間は、辛い。
あきれたようにメイコはため息をついて、カイトから傘を受け取ると、平気なフリをして一番危機的状況にある(気温的な意味で)ではないレンを立たせた。全員がのそのそと立ち上がる。
「ルカは?」
「休み。親戚にご不幸が...日常 23
-
ギターが、空間を震わせた。
キーボードが優しく部屋の中を満たしていく。
「皆遅いねぇ」
リンが言うと、
「まあ、皆忙しいから」
カイトが言った。少し困ったように笑ったカイトは、なんだかとても淡い印象を受けた。ふわふわと溶けてしまいそうな、不思議な笑顔なのだ。
「二人だけでやるのもね」
「まあ...日常 22
-
「これから、どうする?」
一人が言った。特に誰が言った、と書くことも無いだろう。兎に角、誰かがそんなことを言った。
「家に帰る」
誰かが返した。
「将来の展望みたいな?」
「そうそう!」
誰か――カイトが言った。
「そうだね、真っ先に家に帰るかな」
「その考えは捨てようか」
と、カイトが言っ...日常 21
-
やっとリンが焼肉屋にたどり着いたころには、すでに全員がどんと座敷に陣取り、肉のいいにおいを漂わせていた。
「あ、皆、ずるい! なんで待っててくれないのー?」
言いながらリンが靴を脱いで座敷に上がると、さも当たり前、と言うようにレンが肉を焼きながら言った。
「リンを待ってたら、皆が餓死するって言う...日常 20
-
「とりあえず、結果を校長に報告して」
メイコの言葉を聞いて、リンはしばらく意味がわからないというようにきょとんとしていたが、すこしして、
「あ、うん、OK、わかった」
「本当にわかったんでしょうね」
「うーん、多分?」
非常に心配だ。
とりあえず、大丈夫と言うことにしておこう。大丈夫でなかった...日常 19
-
かわいらしいテディベアが、テーブルの上におかれている。
横目でそれをちらりと見て、リンは深くため息をついた。オーディションがあった比からいつか、そろそろ結果がきてもいいころだ。やっと、終わったのだ、と言う実感がわいてきた。
メイコの名前で登録してあるはずだから、メイコのところに結果の通知が届い...日常 18
-
氷のような冷たい視線を浴びつつ、リンたちはそれぞれの立ち位置に立ち、楽器のセッティングを始める。ドラムセットとキーボードを中心に立ち居地を考えた結果の、一番よく聞こえる場所、とミクが太鼓判を押していたのだ。
「はじめてください」
全員の準備が終わったころ、審査員の一人が言った。一気に空気が張り詰...日常 17
-
電車の窓の外の景色に眼を輝かせる。
「わぁ、わぁ! すごい、速い!」
「ちょっと、リン、ちゃんと座って。恥ずかしいでしょ」
「だって、すごいよ。きゃぁぁあ、はっやーっ」
「まったく、子供なんだから!」
あきれながら言うメイコも、さきほどからそわそわとして、落ち着きがない。いや、誰もが、それは同じ...日常 16
-
「へぇ、気が変わったの」
カイトが言った。
「まあね。だから、だれか応募しておきなさい。オーディションに」
どうしてそうメイコの考えが変わったのかはわからないが、リンとの関係もおかしくなっているわけではないらしいし、まあ、よかったということにしておこう。そう思いつつ、カイトは微笑んで、
「うん。...日常 14
-
「今日は、初めてあわせてやってみようとおもいます」
こほん、と一度わざとらしくせきをして、カイトは言った。おー、と何人かが声を上げた。
「皆、そろそろある程度までできるようになってるよね?」
曖昧に全員が頷いた。そこまで自信があるようではない。
「じゃあ、楽器、セッティングしてー」
「はーい」
...日常 10
-
「――知ってたわよ?」
しれっとメイコが言った。
これには全員、大ブーイングである。
「何で言ってくれなかったの!」
と、ミクがメイコを責める。すると、メイコはまたしれっと
「だって誰も聞かなかったじゃない」
そりゃあ、そうだ。だれも、リンの父がLOIDのメンバーだという前提で考えてなどいな...日常 9
-
「これ、誰が作った曲?」
「ミクだけど?」
また、リンがふぅん、と言う。
「何? どこか駄目だった? ギターのスコアはあまり見ないから、見よう見まねなんだけど…」
不安そうにミクが聞くと、リンは首を横に振って、
「ううん、違うの。ただ、すごく簡単なメロディしかないんだな、って」
「結構難しくない...日常 6
-
家に戻ると、リンは部屋の押入れの中をあさり始めた。
「おっかしいなぁ、ここに入れたはずなのに」
入れたはずなのに無いのは、違う場所にしまったから、だろう。しばらく探し続けていると、ずっと奥のほうに、黒と黄色のギターがあった。それを引っ張り出して、軽くひいてみると、弦が緩み、悪くなっているらしい、...日常 5
-
うーん、と声を上げながら、リンは伸びをした。
講義が終わったのだ。
「さて、かえってテレビでも見るか」
と、言う状況だ。特に気にする課題もないし…。
「りーんーたんっ」
声をかけてきたのは、ミクだった。
「何か用? あとたんって何」
「えへへー。リンたん、ちょっとついてきてほしいところがある...日常 4
-
「わー、すごいね」
作業をするレンの後ろから顔をのぞかせ、リンは言った。手馴れた様子で大破した自転車の修理をするレンは、リンの言葉を聴いて、ははっと愉快そうに笑った。
「俺がこれを直すのより、君がこんなになるまで自転車をこいでるほうがすごいよ」
「そんなこと無いよ。レンだって本気出してこげばこれく...日常 2
-
「――それで、付き合い始めたんだ?」
「ま、まあね」
LLに集まったのは、レン、リン、ミクの三人である。リンとレンは並んで少し恥ずかしそうに照れくさそうに顔を赤らめているのに対し、向かい合ったミクは仁王立ちで腕まで組んでいる。
「二股疑惑掛けてたくせに」
「二股疑惑?」
怪訝そうにレンが聞き返す...花言葉 18
-
気を取り直して、と言うようにミクは元気な声で言った。
「――それじゃあ、紹介するね」
「ミク、腰、大丈夫」
「だいじょばないけど、大丈夫!」
よくわからないが目がきらきらしていて、自信たっぷりに言っているので、とりあえずいいと言うことにしておく。
「…そう」
どうやらミクオも諦めたらしい。
「...花言葉 16
-
「み――く――おっ」
飛びついた。軽くよけられ、ミクは電柱に顔面から衝突した。
「いったぁい」
「またか」
冷静――というよりかあきれた表情でミクを見ている少年――ミクオは。深くため息をついた。またか、と言うことは、これが初めてではないということだ。
「なんで毎回そういうことをする」
「愛情表現...花言葉 15
-
「もしかして、花、咲いたんですか?」
にこっと笑い、レンは言った。
「え…あ、はい。きれいに、ピンク色の花が」
戸惑いながらも鉢を差し出すと、レンはそれを受け取ってまじまじと眺め、
「きれいに咲いてますね。初めてでこれなら、才能あるかもしれませんよ」
「才能?」
「花とか、植物を育てる才能ですよ...花言葉 10
-
家を出て歩きながら、リンは花が何かにぶつかったりして曲がることなど無いよう、じっと用心してLLへと向かっていた。
気分は上々だ。この花を見て、彼はどんな反応をするだろう?
きれいに咲きましたね、と微笑むだろうか?
それとも、こうしたほうがきれいですよ、とアドバイスをくれるのだろうか?
どっ...花言葉 9