周雷文吾の投稿作品一覧
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FLASHBACK5 L-mix side:B
「はぁ……」
ため息をついて、ルカは留守番電話サービスにつながったケータイを切った。
その見る者を魅了せずにはおられないほどに美しく整った彼女の表情は、ウェーブのかかった長い髪に隠れているせいで窺うことは難しい。だが、艶やかな髪の隙間から見えるその...ACUTE 6 ※2次創作
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FLASHBACK4 K-mix side:B
気付けばかなりの時間、そのバーでウイスキーを飲んでいた。
時計を見て、慌ててカイトはそのバーを出てきたのだ。
それから、酩酊感に足下をふらつかせながら、まだ雨の降る中カイトはルカの家へと向かっていた。
(ルカのやつ……怒ってるかな。遅くなったこと...ACUTE 5 ※2次創作
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FLASHBACK3 before-side:A
昼間よりも夜の方が賑わっているような、そんな繁華街の道に一人の少女が立っていた。
背中に大きなリボンがあしらわれた漆黒のワンピースに、特徴的な長いツインテール。まだ幼さの面影が残るその少女には、色鮮やかなネオンと雑多な喧騒に包まれ始めた夜の繁華街...ACUTE 4 ※2次創作
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FLASHBACK2 M-mix side:A
雨に濡れながら、ミクは走っていた。
雨が降るなどとは思っていなかったこともあり、傘など持ってきていなかったのだ。だが、彼女が走っているのは雨のせいだけではなかった。雨が降り出した頃、まだミクの目の前にいた男の姿を捜していたのだ。
彼女のその長い髪...ACUTE 3 ※2次創作
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FLASHBACK1 K-mix side:A
逃げ出してきてしまった。
たまたま入ったビルの三階にあったバーで、適当に頼んだウイスキーのグラスを見つめながら、カイトはそう後悔した。
一口そのウイスキーを喉に流し込むと、カッと焼け付くような痛みすら感じる。ウイスキーの旨さなどカイトにはいまいち...ACUTE 2 ※2次創作
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THE PRESENT ≒ side:C
凍えるほどの冷たい部屋に、三人の男女が立ちすくんでいた。
それは深夜、ちょうど日の変わる時刻だった。“その”瞬間、まるで時が止まってしまったかのように三人の動きが止まる。部屋の中で動く物といえば、せいぜい時計の秒針くらいだろう。室内ではその時計の針だけが...ACUTE 1 ※2次創作
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瞳を閉じる。
心臓がバクバクなっている。
――本当に?
本当に、そんなことあるのかしら?
だって私は、ワタシ、ハ――。
……。
……。
うつむいて、首をふる。
そんなこと、もう、関係ない。
私にできることは、ただ一つ。そう、たった一つだけ。...on stage
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10-3.
[ごめんね。本当は、電話で話すべきじゃないってわかってるんだけど――時間がなくて]
「そんな……そんなこと」
懐かしいその人の声音に、愛が隣りにいるってわかってても泣き出しそうになった。
[俺……もう、大学にはいないんだ。退学届も出して、あのアパートも引き払った。今は大分の実家で旅...ロミオとシンデレラ 42 ※2次創作
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10-2.
「め……メグ?」
学校帰りなんだろう。神崚高校の制服に学生鞄を持ったその友人は、いつもどおりの、よく通る元気な声で私の目の前に立っている。
「そうよ。私が偽者に見える? ほらほら、あたしに会えて嬉しいでしょ?」
正直に言って、嬉しいとかよりも、なんで愛がここにいるのかわからずにポ...ロミオとシンデレラ 41 ※2次創作
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Tranquillo cantabile
10-1.
あれからどれくらい経ったのか、もう時間の感覚なんて無くなってしまっていた。
でもたぶん、一週間とか、それくらいなんじゃないかと思う。けれど……もう、そんなことどうでもいい。
だって、もう私は海斗さんに会えないもの。
海斗さんの力に...ロミオとシンデレラ 40 ※2次創作
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Presto
9.
三人組がパトカーで連行されて、私と海斗さんも別のパトカーで警察署にやってきた。
あの三人組がどうなるのか、私は何も聞かなかった。聞きたくなかった。……聞けなかった。
しばらく事情聴取を受けて、もう用事はすんでいる。なのに、私はまだ帰れなかった。
それは、私の捜索願...ロミオとシンデレラ 39 ※2次創作
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8-2.
身体をベンチに抑えつけられ、口にハンカチを押し込められた。私は、逃げ出すことも悲鳴を上げることもできなかった。
「おい、暴れてんじゃねーよ。もっと抑えろ。服が脱がせねー」
金髪の手が私の身体をはい回る気持ち悪い感触がした。
「……んんっ。んっ! んー!……」
イヤだ。
止めて。...ロミオとシンデレラ 38 ※2次創作
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Tempo primo
8-1.
また、逃げ出してしまった。
しばらく無我夢中で何にも考えられずに走ってから、しばらくして落ち着いてみると、ひどい罪悪感にさいなまれた。自分が海斗さんにどれだけひどいことをしたか、思い出すのすらつらい。
だって、海斗さんのせいじゃないんだもの。海斗さんは...ロミオとシンデレラ 37 ※2次創作
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7-3.
初めてのデートは、ものすごく楽しかった。
私は乾かした制服を着て、海斗さんと駅の近くのお店を見て回った。
海斗さんに申し訳なくなってしまうくらい、何着も洋服を買ってもらった。さすがの海斗さんでも下着売場だけは「ちょっと、外で待たせて」って言ったけれど、その他はずっと海斗さんと一緒...ロミオとシンデレラ 36 ※2次創作
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7-2.
翌日。
寝たのが遅い時間だったせいか、海斗さんが目を覚ましたのはもう十時を過ぎた頃だった。
寝ぼけたままの海斗さんの腕の中から何とか抜け出して、海斗さんの要望通りにコーヒーをいれる。
実は私は一睡もできなかった。恥ずかしくて、緊張しすぎて眠れなかったっていうのもあるけど、寝てし...ロミオとシンデレラ 35 ※2次創作
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Moderato
7-1.
雨でずぶ濡れになった身体をシャワーで暖めて、私は海斗さんに貸してもらったジャージに腕を通す。
そのジャージは、海斗さんのものなんだから当たり前なんだけど、かなり大きかった。
裾と袖を何回も折り曲げて、私のサイズに合わせてみたけど、全体的にぶかぶかなのと、シャ...ロミオとシンデレラ 34 ※2次創作
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6-6.
海斗さんの家に着くころには、私は何があったのかをほとんど説明し終えていた。
私のケータイの通話記録とメールの内容を全部調べられていたこと。パパとママが「海斗さんに会うな」と言ったこと。ママが海斗さんにあの電話をしたこと。
まだしとしとと降り続く雨は、私の気持ちを抑える役にはたたな...ロミオとシンデレラ 33 ※2次創作
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6-5.
「ちぇー。未来ちゃんにカイの情けない話を教えてあげようと思ったのに」
「お前……な」
息を整えて、私を見る海斗さんの瞳は、不安で揺れていた。
怖かったのは、私だけじゃ――ないんだ。でも、私は独りじゃない。私には、海斗さんがいる。私を連れ出してくれる、ロミオがいる。
「未来ちゃん――...ロミオとシンデレラ 32 ※2次創作
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6-4.
コンコン。
山崎研究室、と書かれたその扉を恐る恐るたたいてみる。もうすぐ夜中の一時になるような時間。本当なら、ここに来ちゃいけないに決まってる。
でも……海斗さん。
ママの言ったこと、本当じゃないんですよ。
私、海斗さんが好きです。迷惑だなんて思ってないんです。だから――。
...ロミオとシンデレラ 31 ※2次創作
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6-3.
真夜中。
私は恐怖にかられて、当てもなく走った。
怖かった。
不満があったとはいえ、それでも信じていたパパとママに裏切られた。そんな思い。
一方的に、私の気持ちを聞きもしないで海斗さんを拒絶するなんて、思ってなかった。しかも、私の目の前であんなこと言うなんて。
ポツリ。
...ロミオとシンデレラ 30 ※2次創作
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6-2.
「未来、おかえり」
海斗さんと付き合い始めて一週間後の金曜日。家に帰っていつもどおりに「ただいま」ってつぶやいたら、今日は返事が返ってきた。
驚いてリビングに入ってみると、ダイニングテーブルにパパとママが座っていた。二人ともスーツを着たままで、険しい顔をしている。私が帰ってくるのを...ロミオとシンデレラ 29 ※2次創作
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Apassionato
6-1.
会える時間は短かったけれど、私はすごく幸せだった。
こんな幸せがあるなんて、私は全然知らなかった。
学校に行って、お昼を一緒に食べて、塾の行き帰りも海斗さんは一緒に来てくれた。
学会が終わって、海斗さんはかなり時間の融通がきくようになったみたいで、私...ロミオとシンデレラ 28 ※2次創作
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5-7.
「私、海斗さんが……好き、です」
悩んで悩んで、どうしようもないくらいにつらくて、苦しくて。それでもやっと口にしたその言葉。
私は祈るような気持ちで、目を丸くして私を見返す海斗さんの言葉を待った。
……返ってきたのは、少しショックな言葉だった。
「……まいったなぁ」
目をそらし...ロミオとシンデレラ 27 ※2次創作
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5-6.
不意に訪れる恐怖って、なかなか簡単には消え去ってくれない。
ママにぬいぐるみをねだったときに怒られたのは、十年近くたった今でも、ちょっとしたトラウマになっている。
「伝えなきゃいけないことがある」なんて言っておいてなかなか話さない私を、海斗さんは辛抱強く待っててくれた。でも、それは...ロミオとシンデレラ 26 ※2次創作
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5-5.
「好きです」
たった四文字のその言葉を伝えることがこんなにつらいだなんで、私は全然しらなかった。
だって、毒リンゴを食べて眠ったままの白雪姫に、王子様はなんの気後れもなくキスしてたし、ガラスの靴を履いたシンデレラには王子様がみんなの前で堂々とプロポーズしてた。ロミオとジュリエットだ...ロミオとシンデレラ 25 ※2次創作
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5-4.
実は昨日、金曜日には海斗さんに会えなかった。
学会は木曜日までで、海斗さんは帰ってきてたんだけど、海斗さんは一日中ぐっすり寝ていたらしい。
ここ数日、徹夜が続いていたみたいだから、仕方のなかったことだと思う。会えない日が一日増えたのは残念だけど、私に会うために無理まではして欲しく...ロミオとシンデレラ 24 ※2次創作
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5-3.
翌々日、土曜日。
パパとママが仕事に出かけてから、私は鏡の前で悪戦苦闘中だった。
洗面台の上には、愛がくれた化粧品が広げられている。ファンデーション、リップ、アイライナー、ビューラー、グロス、マスカラなどなど。
お弁当と交換条件でお願いしたのは、メイクのやり方を教えてもらうこと...ロミオとシンデレラ 23 ※2次創作
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5-2.
海斗さんから連絡がきたのは、木曜日の昼休みになった直後のことだった。
今日は確か学会二日目で、海斗さんの研究室の発表は終わってるはずの時間だった。
愛と一緒にお弁当を広げたところでケータイのバイブレーションが鳴り、慌てて画面を見ると、海斗さんからの電話だったのだ。
「ごめん、メグ...ロミオとシンデレラ 22 ※2次創作
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Espressivo
5-1.
海斗さんがいない二日間は、思ってた以上につらかった。
このたった数日のうちに、海斗さんの存在は私の中でずいぶん大きくなってしまったらしい。
――まだ、私の気持ちを伝えてもいないのに。海斗さんの気持ちを聞いてもいないのに。
いや、だからこそつらかったんだ...ロミオとシンデレラ 21 ※2次創作
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4-4.
翌朝。
まだ寝ぼけている愛をベッドに残してリビングに入ると、むせ返るような甘いにおいがした。
……また、ママかな。
キッチンをのぞくと案の定、ママがフライパンでなにかを作っていた。フライパンの中には透明な液体みたいなものが入っていて、それをずっとかき混ぜてるみたいだった。何を作...ロミオとシンデレラ 20 ※2次創作