風彩の投稿作品一覧
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鐘よ、どうか鳴らないで。
時よ、どうか止まって。
刻限が告げられるのは、未だ先のこと―。
せめてその時までは、夢を見させて。永遠に続く夢を、どうか、―。
握った短刀の柄に汗が滑る。初めて見る華やかな舞踏会に、そしてマザーから授かった使命を思って、心臓が大きく波打つのが分かりそれで漸く自分が緊張してい...鐘が鳴る
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冷たい風が頬を撫でる 真夜中過ぎの星空
積もる雪が煌いて 思わず仰ぎ見た
「綺麗だね」という声がして
冷え切った指先に伝わる温もり
振り返ればはにかんだ笑顔がそこにあった
ただ輝く星空はどこまでも澄んだままで
空に描いた夢も希望も未来図さえも
果てしなく広がっていく
けれどそれはもう儚く散った幻
冷...月影
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弾む足音
淡く色づく蕾
そよ風が髪を揺らす
優しく包み込むような
今まで踏み締めてきた幾多の道を
彩る季節が来た
変わらないままで、と願っても
ゆっくりと歩みを進めていく時間(とき)
見慣れた景色の中で
そっと名残を惜しんで…...non title
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華やいだ街の光に眼を刺される
眼を凝らしても夜の闇は見えない
眠らない空に星も月も姿は無かった
嗚咽響く幼子(おさなご)の声に
死んでゆくあたたかな夢たち
暗い路地に独り立ち尽くす
僕の足元の影も闇に喰われて溶けた
今日も仰いだ空に月は昇らない
人の心の奥底を映すような闇は
上辺だけ飾る綺麗な嘘に...Egoistic Psychedelic
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夜明けが来れば逢えなくなるの
独りきりの朝が来る
素足が とても冷たくて
震える手には 何もない
変わらない夢をただ
求めていただけなの もう
帰れないのかな
あたたかな声のその向こう
独り見上げた星は
冷たくて痛いの...夢夜譚
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錆びた月 眠らない空
街の光が瞳刺す
耳から脳を犯していく
猥雑な喧騒が
口移しの吐息の香に
酔いしれる心の奥底
覗くことができるなら、さあ
今宵は仮面舞踏会
焦がれるまま 爪痕残し
乞われるまま 口付与え...精神論
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過ごした季節(とき)は何でせう
紅葉(くれは)舞ひ散る この庭で
伸べたこの手に一葉(ひとは)触れる
ぬくもりもただ朽ち果て逝く
憶へてゐるのでせうか
二人歩んだ芒(すすき)の原を
宵の空に咲ひた花を
髪飾つた桜吹雪を
傍にゐたこの存在を
散り逝く命の輝きが...紅葉散る頃に
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息潜め 時を待ち 幾星霜
幾度も月陽は巡り
夢は覚め 声は消え 幕が上がる
紡がれる劇の始まり
踊り狂う道化師(ピエロ)は嗤う
愚かな傀儡(マリオネット)と
狂気の女王(クイーン)は
仮面の笑みで刃を振りかざす
謳えよ 賛美歌を
甘く香る紅き潮の中...夢裡
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長いようで短い日々を過ごして
たくさんの笑顔を見て
時には泣いたこともあるけど
とても楽しい時間だった
独りで何もかも抱え込んで
すべてが嫌になったけど
変わらず周りには
君がいて 友だちがいた
淡い薄紅に彩られた
出逢いと別れの季節に告げる...桜吹雪の咲く頃に
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傷つけた 心無い言葉で君を
本当に言いたかったことは 違うのに
そんな後悔も 降りしきる
雨に流されて 彼方に消えた
窓辺に佇み ふと思う
君は今 どうしてるだろう
あの日と同じ 空は泣いていて
いつものような笑顔は見られなかった
ごめんねと 今なら
君に 素直に言えるだろうに...雨を連れて
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何故だろう 胸が痛くなるの
とても大切にしていたものを
どこかに置き忘れてきたみたい
あの蒼くて吸い込まれそうな空に
手を大きく振っても
風は太陽へわたしを
乗せてはくれなかったあの日
白い紙に引かれた黒の線
何度も消され書かれて
へこんだ跡だらけ...追憶の彼方へ
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闇に溺れて逝きたい
この虚構の中に生きるなら
甘い理想と云う名の幻想は
虚飾の世界に在りはしない
恋焦がれる焦燥と
満たされぬままの絶望
この肉体(からだ)を焼き尽くす前に
誰か理性を喰い潰してくれ
今もまだ 君が笑ってる
痛い嘘だらけの世界で...sein
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剣=つるぎ
疾風=はやて です。
静かなる空 仰ぎ見る
瞬く光 見えず
涙する声 虚(きょ)に響く
宵の暗闇 迫る
煙たなびく廃墟
錆びた紅い潮の味
純白(しろ)き肌(はだえ)に一筋走る
傷痕がすべてを語る...徒桜
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塗り潰された闇の中
独り佇む私
どうしてすべてが見えないの
静寂に呑まれ消えかける存在
彩(いろ)が分からない無彩色の中
ただひとつ虹色に輝く
あなただけがいた
問う声に答えて 私のソレイユ
世界はどうして色褪せたの
あなたが照らし出す光だけが...Soleil
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ウソを吐くのは良くないって
みんなはそう言うけど
慰めるためのウソは良いって
何だか矛盾してない
たとえばキミが吐いたウソ
大丈夫だよってそう優しく
嘯いたって結局は
キセキは起こらなかったじゃない
矛盾だらけのユダの定義
曖昧なライン引いてたって...ユダの定義
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伝う螺旋の渦
眠れぬ夜の空
混沌と混ざりゆくその中に
ひとかけらの異分子
まどろむ少女は夢を見る
ただまっさらな白の中
彩(いろ)に染められる夢を
虹色に色づく
瞳は何を見つめる
すべてが分からぬ混沌と...新世界
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繋がれた鎖の先 辿れば
無機質な冷たい壁に出逢う
抱きしめた記憶の中 探れば
変わらないままの笑顔が浮かぶ
冴えた月光(ひかり)はこの姿さえも
清いなかに曝すのか
瞬く星ならば何かを
暴くことはしないだろうに
囚われた 誰かの心の中に
救い出される希望も見えぬまま...euthanasie
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宇宙と云う広い世界に
生きる僕らは何なのかな
輝いたり光を失ったり
揺れる心の感情は
包む闇はいつでも
ただ抱き締めてくれていたのに
いつの間にか光は消えて
冷たい陰に呑まれた
静寂だけが満たした世界で
見失った僕の光...アステロイド asteroid
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巡る 廻(まわ)る 夢の中
どうかこの手を離さないで
囁く言葉は宙に浮く
止まったままの狂想曲(ラプソディ)
差し出された手は闇の中
月の光も届かない
星のように瞬いた
瞳が彼女を見つめた
隠された仮面の想い
狂ったように彼は云う...オルフェの恋歌
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誰かを愛せないなら
心は何のためにあるんだろう
独りじゃ寂しいから恋をする
誰かと繋がっていると信じたいから
初めから分かってた訳じゃない
立ち止まって躓いて
傷つきながら苦しんで
ようやく分かったの
刻む時計の針が
閉じた鎖を繋ぐ...セピア
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錆びれた短剣を
かざす肌は紅(くれない)
滾(たぎ)る心はすべてを
失うことも恐れずに
枯れていく花束
戻らないこの時間
消え去っていく想い出
残るのは何もない空白
砂に埋(うず)もれ消える歴史
幾度(いくたび)も創られ崩れ...救世主の残した偽善
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夢を見ていたの
懐かしくて暖かくて
まるで守られた胎児のように
優しい闇の中眠っていた
聞こえる鼓動の速さも
いつもと同じに緩やかで
何も変わらないまま
幼子(おさなご)のように満たされていた
痛む心の傷も
複雑なものは知らなくて...宙のデルタ
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銃口を向け合うよりも
綺麗な花を贈りたい
意味さえ分からない
生に生きるなら
あの時空を切り裂いた
銃弾が花の種なら
嘆きでも憎しみでもなく
花が世界を覆ったのに
戦った彼らは何を想ったのだろう
憎しみ合うだけの戦場で...銃口に咲く花
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薄れていく想い出
追憶なんて云うけれど
過ぎたことに何の意味が
あるというの
キミが語った言葉も
意味さえ消えてしまって
"キミに出逢えたことがキセキ"
ただの雑音になってしまう
この身を形作るすべてのものに
ありがとう そして さよなら...消失
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未来なんてもの信じて
何かが変わるのなら
世界はありふれた奇跡で
埋め尽くされるだろう
陰に咲く花を哀れんで
変わる現実はない
起こるべくして起こった だから
僕らはここに居る
語られる希望は潰える
夢に望んだことを最期に...Lost.
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ひとつ零れ落ちた
心満ちた夢は消え
何かを失って
虚しい痛みで目を覚ます
失ったものは何だろう
確かに心はあるというのに
空白が心を蝕む
変わらないものひとつ
心に抱いて旅に出よう
大切な存在(もの)を失った心の...変わらないもの
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埋(うず)められた墓標に捧ぐ花束
罪深き十字架が立つ場所に
崩れかけた永眠(ねむ)る証が去る時が来る
永眠(ねむ)る時には嘆き哀しまれ
幾つもの涙に染まった想いも
時が過ぎた今では遠い想い出
今日も永眠(ねむ)る君に花束を捧げよう
君を想うその証に
この命朽ち果てる日には
君へと逢いに行こう...終焉の日に謳う
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闇にひとしずく伝い落ちる雨
広がる波紋は浸る僕にも
押し寄せて波になる
緩やかに波打つ流れに
舞い踊らされる身体
糸の切れた操り人形は
ただの抜け殻
闇に浸る僕 舞う水の君
何かに流されて沈む
もう戻らない言葉を紡いで...ひとしずく満ちた世界で
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蒼い空が綺麗に暮れていく
茜色の黄昏の中
伸びていく長い影
暗い闇空に溶けて消えていくまで
寄り添ったかさなる影は
ただ歩み続ける
見上げた星空は
いつもと変わらず綺麗で
瞬く星屑たちが
溶けた影を淡く照らす...移ろう空と変わらない影
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剣=つるぎ、で読んで下さい。
遠く剣を振るった日
幾つもの命が逝った
近く剣を振るった日
大切な人が去った
正義のためと教えられ
剣は紅く染まり
守るためだと教えられ
剣は蒼く染まり
正しきことだと神が教えた...偽罪
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