タグ「神威がくぽ」のついた投稿作品一覧(191)
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未来の形を
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「二人、上手くいくといいけど」
教室の外で、中の様子を気にしながら呟く。
「大丈夫だとは思うよ。少なくとも今より悪化することはないだろう」
「うーん……でもなんか心配なんですよねえ」
「神威が詳しく話してないというのは予想外だった」
「おかげでルカの誤解もなかな...【がくルカ】memory【30】
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もし世界がたった五分前に始まったのだとしたら、私という人間をどうやって証明するのだろう?
それは突然のことだった。
一時間目のその授業は、普段とは別の席に座ることになっていた。
問題集をどけた机の端から目に入ってきたのは、まさに悪意そのものだった。
女子特有の丸っこい字で何の罪悪感もなく書き連なれた...【ルカ誕】世界五分前仮説
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12月24日。
街中が白い魔法に包まれる日。
街を歩く人々が、思い思いの感情を胸にその日を祝う。
息を吐けばそれは朝でも夜でも白く舞い上がり、小さく小さく分散されて静かに空中に消えていく。
ふわふわと舞い降りる粉雪は太陽の光で反射してきらきら光り、掴もうとすれば儚く溶けてしまう。
例え街でどんな事件...【がくルカ】前夜祭に抱えし夢は【舞台裏】
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『Consider my affliction and my travail. Forgive all my sins.』
「やあ、今日も元気そうで安心したよ」
もし運命なんてものがあるのなら。
敷かれたレールに歪みがないことを、祈り続けることしかできない。
七時四十五分の列車に必ず彼はいた。
平日...【がくルカ】終点:Desire
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"trick or treat"
お菓子か悪戯か。
わかりきった二択を迫り、自らの行動で幸福を満たす菓子や悪戯の『糖度』が決まる。
西洋から伝わった伝統は、やがてこの国にも楽しみな行事として根付いていく。
無邪気な子ども達は仮装してお菓子をもらい、時に可愛らしいイタズラをして帰っていく。
大人達は淡...Bitter Caramelle【ハロウィン】
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“trick or treat”
お菓子か悪戯か。
最初にその言葉を聞いたのはいつだっただろうか。
私にその言葉を教えてくれたのは誰だっただろうか。
今でこそよく聞くけど、当時の私には縁がなかったその言葉は、子どもの心をワクワクした気持ちで埋めるには十分で。
いつしか単純に繰り返されるようになった退...【がくルカ】Jackは甘き夢を見る【ハロウィン】
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あなたの心に
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「どうすればいいんだ……?」
昔の話。彼女達や俺が生まれる前の話。
二十七年前。とある八人の生徒が、その後二年間にわたり様々な理由により死亡した。八人はほとんど関連性がなかったが、裏でとある研究所が黒幕として関わっていたとの噂がある。
また、八人が死に行く...【がくルカ】memory【29】
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どうして。
どうしてこんなことに。
「ルカ、俺達もう終わりにしよう」
君が別れを切り出してきて。
「私、何か悪いことした?」
私はわけがわからなくて。
「無理だったんだよ」
なぜか君がとても怖くて。
「俺達は最初から、間違っていたんだ」
私が重かったのかな。...【がくルカ】《Heresy》【連想ゲーム】
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10月1日。
世間では少しずつ寒くなりはじめ、そろそろ衣替えが始まる。
秋の味覚もいっぱい食べられる時期になり、お腹も気持ちも見たされる。
それが世間の認識。
だけど私にとっては特別な日。
彼と仕事の関わりが深まりはじめた日。
3年前の10月1日。
私にとって、全てが始まった日。
「さて、今日も一丁...【がくルカ】Ricordo
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ねえ先生、知っていますか。
どんな人間にも守りたい存在があるんです。
それは形のあるものとは限らないんです。
例えば色褪せた思い出。
目を閉じればいつでも大切な人に会えるんです。
でもそうすると、少しだけ寂しくなります。
やっぱり会いたいんです。
私にとっての守りたい存在。
私はあの時、それを伝えら...【がくルカ】Liar
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「盗まれた紙は・・・」
執事は嘆く。
「何処にあるのでしょう?」
メイドは悩む。
「Hurry hurrY!!」
少年人形は急かす。
「あっちへ?こっちへ?」
主人は迷う。
「ネエ、怪シイ手紙ガ」...Twilight ∞ nighT 3【自己解釈
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日を重ねるごとにわからなくなる。
年月が流れるほどに理解ができなくなる。
こんな感情が存在する、その理由に。
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彼女に出会って、考え方が変わった。
同年代の人間とまとめられて、「いいから先生の言うことを聞きなさい」と馬鹿げた常識と知識を詰め込まれた、あの学校という空間が大嫌いだった。...Memoria --『Fantasia』--
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日常生活ってなんだっけ?
私たちが過ごす、当たり前のような毎日のこと?
じゃあ、私の日常って何?
私の空洞を埋めるものはどこ?
誰か。
私の日常を説明して。
私が私であることを証明して。
崩れる?
日常が?平和が?人格が?
それとも私自身なら、もうとっくの昔に崩れている。...【ミク・リリィ誕】Pygmalion Complex
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「じゃあ、私帰りますね!」
鞄、もとい学校のスクールバッグを肩にかけてそう告げたミクちゃん(ドジっ娘)。
その言葉を聞いて、ルカさんとミクさん(歌姫)は驚いたように目を丸くした。
「そんな! ゆっくりしていけばいいのに! 私同じ初音ミクとしてもっともーっと話したいところだったのに!」
「それにこれと...ヴォカロ町へ遊びに行こう 13【コラボ・ゆ】
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「さあ、跪きなさい」
愚かな王女の――いや、少女の話をしましょう。
絶対の権力を持っていたがために、あっけなくその首を落とされた彼女の話を。
昔々、とある大きな国がありました。
そこは「黄ノ国」と呼ばれていました。なんでそう呼ばれていたのかは正直よくわかりません。
その国に、一人の王女様がいました。...【七つの大罪】リリアンヌと楽しい日常【二次創作】
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嘘つき。
約束したのに。
どうして。
あなたは、……。
瑠花様へ
あなた様がこれを読んでいるときには、私はもうお傍にはいないことでしょう。
あなた様は私がいなくなったことを気にしておられないかもしれない。ですがどうして私がこの家を離れたか、それだけはどうしてもお伝えしたいのです。身勝手は承知の上...【がっくん誕】約束の地
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彼女は今日もベルスーズを訪れていた。
カウンター席に座り、雑誌を広げてそれに目を落としている。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
声をかけると、彼女―芽衣子は振り返って私の姿を一目見て、ため息をついた。
「あんたならわかるでしょ?いつものよ」
「かしこまりました。アイスコーヒーをお一つですね」
「違...【カイメイ】Distance【Ⅲ】
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『I am my beloved's. His desire is toward me.』
「今日から君の担当になる神威だ」
それは偶然か必然か。
教育実習としてやってきた学校で、私は先輩と再会した。
彼は私の高校時代の先輩。
私と入れ違いに学校を卒業し、私の入っていた美術部にOBとして度々顔を出し...【がくルカ】Respect
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あの後神威さんは意識を失って倒れた。
補正が効いているにも関わらず、出血が多すぎるという理由で。
で。
『本っ当に、ごめんなさい!!!!!!』
現在、改造専門店『ネルネル・ネルネ』本店でございます。
簡潔に状況を述べますと、ルカさんが神威さんに土下座してます。
……え。
「私、何があっても二人を守れ...ヴォカロ町へ遊びに行こう 11【コラボ・ゆ】
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「はーいじゃあ休憩!」
5月23日。
撮影で張り詰めていた空気が一気に和らぐ。
その場に座り込みたいけど生憎今は衣装(しかも制服)、汚れたりしてはいけないので立ちっぱなしである。
「ふう」
持参した水筒を手に取る。
ちなみに中身は麦茶。
暑い時期に飲むのがすごい好き。
現在、一番長いシリーズの撮影中...【がくルカ】Segreto
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どうしてなのか
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「ねえルカ、最近様子がおかしいよ?」
毎日投げかけられるその質問。その言葉から考えるに、メイコやグミちゃんが私を心配してくれているのかもしれない。でも、でもさ。私の価値観は、心は、歪んでしまった。
「現実が重過ぎるよ……!」
あの日、あの時。私が盗み聞きし...【がくルカ】memory【28】
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「私の仕事場に行きたいって!?」
ルカさんが目を丸くしてこちらを見つめる。
「どうして!? ゆっくり観光してればいいのに」
「その観光は昨日十分したからな」
「それに、なんだか今日嫌な予感がするんです。何かとんでもない事件が起きそうな…」
こういうときの私の勘って、三割ぐらいの確率であたる。
だから...ヴォカロ町へ遊びに行こう 9【コラボ・ゆ】
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「しかし、凄い町だな」
私がロシアンさんの話を聞き終えると、神威さんがぽつりと呟いた。
「え?けっこう普通だと思いますけど…」
「いや考えてみろよ。一日にこんなに事件が起きる町普通じゃないだろ」
「確かにそうですけど…」
「ま、こんな世界の町だからね…って、いいところなかったの?」
「事件とかそっち...ヴォカロ町へ遊びに行こう 7【コラボ・ゆ】
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俺は夢を見ていたのかもしれない。
全ての出来事が夢だったのなら、狂気に呑まれることもなかっただろうに。
だがどれだけ足掻こうが、俺はもう壊れすぎていた。
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外に出ると雨が降っていた。
ここに来たときは、空模様は怪しくなかったのに。
僅かに浮いている雲の間から見えていた太陽は、すでにそ...Memoria --『Traumerei』--
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彼の話を聞いている間、私は周囲の様子を伺っていた。
月の光は次第に弱さを増していき、雲に隠れれば暗闇に包まれた。もう永遠に朝が来ないのではないか。そんな錯覚に襲われるほどに、夜は世界を覆っていた。
街に降り注ぐ雨は、今年降った中で五本の指に入るほどの豪雨へと変わり果てていた。このペースだと、あ...夏の灯火 ―下―
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ロシアンさんの背中に乗って街の上を移動するのに数秒。
驚いている間に、イベント会場とやらに着いたようだ。
『ほら、着いたぞ。さっさと降りぬか、無駄に力を使いたくないのだ』
「あ、あぁ、すまない」
十数秒前にも似たようなやり取りをしたような。
いや、あなたたちにとっては普通であろうこの光景は、私たち一...ヴォカロ町へ遊びに行こう 5【コラボ・ゆ】
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転移された先でまず見たものは、ごく普通の町並みだった。
わけではなく。
「…ここ、どこだ?」
町外れの、寂れた…町?
いや、町かな。うん。
「誰もいませんね」
キョロキョロと回りを見回す。
確かマスターとターンドッグさんの話では、「ルカさんとロシアンを迎えに行かせるからよろしく☆」だっけな。
…うん...ヴォカロ町へ遊びに行こう 3【コラボ・ゆ】
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「…えぇ。はい。じゃあ、お願いしますね」
部屋を出てケータイを手に取る。
それから、メールの新規作成画面を立ち上げ、二人へ一斉送信する。
一斉送信機能って便利だよね。
だがしかし、私はほとんどこの機能を使ったことがないぜ!
そして、約一時間後。
「…あの、ゆるりーさん。お客さんなんですが…」
私の部...ヴォカロ町へ遊びに行こう 1【コラボ・ゆ】
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いつから自覚していた?
自分が他人と同じだと。
自分は普通だと、なぜそう信じていた?
どこから狂い始めた?
人生の選択は。
自分は他人と何ら変わりはない。
その主張が間違っていると気づいたとき、自分はとても愚かだったろう。
人を助けることは善いことで。
人を見捨てるのは悪いこと。
人を生かして希望を...Memoria --『Preludio』--
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残された時間で
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「ふわぁ~、眠い……」
大きく伸びをしながら、欠伸をする神威先生。彼が無事退院して学校に帰って来てから、二週間ぐらい経つ。
それまで退屈に思っていた国語の授業も、ようやく楽しく思えてきた。それに代理で教えていた先生の授業、全然面白くなかったし。元々国語が苦...【がくルカ】memory【27】