シルクスの投稿作品一覧
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幼い頃 約束した場所
ひとりぼっちで 佇んでいた
トラックの音は 耳にこびりつく
テディベアを抱く 鏡の中の少女
思いつく全て 鞄に詰め込んだら
一緒にいる時は分からないの
同じ景色をずっと見つめた
死ぬまでずっと消えないだろう
誰かに強くすがったこと
潮風が髪を傷めるから...Remembered Visit
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思い出したって 何にもならないし
王子様もお姫様もいない世界
どんでん返しも 嘲笑い遠ざかり
ざまあみろが宙に浮く日
どうしようもなく涙が出てしまい
疲れのせいにした午前一時
足伸びきらない狭い浴槽に
沈んだ身体 浮力の原理
目を澄まして 耳を利かせて
人混みの中を泳ぐから...アンダーグラウンド
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鍵をあけて 自分だけの扉の中に
空っぽの鞄を閉じ込めた
溜息ひとつ そして袖を通した
それだけで私は私で在る力を借りた
誰かの居場所に触れて
生きている隙間に立って
歩き方も笑顔の浮かべ方も
全部 全部 借り物のおかげみたい
髪を解いて 脱いだ衣装を畳めば
元通り 素顔に戻ってしまうから...ロッカールーム
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光は踊って 海を照らした 鯨の貌(かたち)で 闇を呑んだ
波浪打ち寄せて 白む泡沫 雷神(なるかみ)の御手 澪をも焦がした
うなされる娘 汗ばむ身体 永遠 思わせる告げ
虚ろなる視線 夢か現か 篝火の影 宿れる御霊
彼方此方へ広まる噂 引き返す舟 慄き露わ
強がりの声音「未来は遥か」 終いにはなべて...calling
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「あなた」だとか「君」だとか 歌う歌ばかりで
抽象で無くて 具体で示せ この心
それでも拒むなら 一人では無いなら
耳を塞いでしまえ 分からず屋だと
人並みのお喋りも まあ及第点くらいか
どこかに設えた壁は充分だ
失うのは一瞬 手に入れるには悠久
一人ではないけど 独りではある
お腹の中に置き忘れて...Aria
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二つしかない眼の
届かない場所には
何が生まれてもおかしくない
おかしくはない
真夜中の色は
チューブのままじゃなく
だけど分解も分析も出来ない
壊れたままの 命に触れてよ
記憶は薄れて
尺度は一つで...ANTI-HORROR
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隠してきた小さな秘密
バレてしまった 些細なことだけど
密かな誓い 言えない思い
恐怖しちゃって 何処なんだろう 今は
近付いても遠ざかっても
波打つ海と 形のない僕と
慎重を期して 次第に固定して
変えたくなくなっていた
身を寄せるヤマアラシが
互いに自分の針を気にするなら...サルベージ
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大人になる階段の上で
気付いたら数センチ浮遊感
物足りないを敷き詰めた部屋
黙って弱い笑顔を作る
穴の空いていた低気圧が
雲を散らかして北へ進む
差し出される日々の馳走を
選り好み出来ず消化してきた
伝わらないだろうって
言葉の限界知った顔なのに...穴のある世界
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君の心の中にいるんだ
君の目を通して 夢見たり小さな僕が
とっくに 感情が凍てついた周りを見渡して
少しずつ削り出して 火を灯す
自分自身の事なんて 大概分かんなくて
余所行きの服だけ見繕って
行ったり来たりそんな感じ
なんだかつまんないな 私の日々
君の心の中のこと
君も分かっちゃいない...ホムンクルス
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早朝の繁華街 ゴミを啄む烏
酒がひずむ頭で 僕の街へと戻った
日めくりカレンダーが夏を夏と教えてくれた
鞄に詰めた教科書が いやに重たく感じた
大人になったって言われ 気分は大人になれないで
狭い部屋の布団の上に寝転がって 死んだ目でタイムラインを追ってた
たらればって呟いて
虚しさ感じたあの夜から...LIFE
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忘れてしまわなきゃいけないのに
思い出してしまった記憶の欠片
拗れたままになっているから
どうしても溜まっていく
嵐の通り過ぎた浜辺に
隠れたままの歴史が剥き出された
気付かないフリをしていたのなら
いつかボロボロになったのだろうな
罵った言葉の数だけの報いを
背負いこんで生きていけってのか...新獵
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誰とも違う自分でありたいと強く願っていて
型を破りきれずに 苛立って拳を叩きつけた
見知った他人の言葉は障るから右から左
憧れに振り回されてそれでも世界は続いてた
ありもしない物事 想像することには慣れていて
ほどほどに痴れ者だから 自分で自分を傷付ける
いつだって苦しくて「遠くにいきたい」や「生ま...Star
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帰り道 流れる景色 戻らない 時計の轍
出会いを繰り返すうちに 思い出せなくなっていく
乾いた夜風に誘われ 何気なく見上げた窓辺
ビーズを撒き散らしたような 届くはずもない星
どこに向かっていても 背中合わせ
喉を突き刺す日差しの中 声が遥か空を泳ぐ
悲しくたって嘘ついたって 隣で笑ってくれるなら
...時には砂塵が分かつとも
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今日も昨日一昨日も 世界は荒んでいた
雨に降られた夜は 心が遠くにいた
どこにも行けないの 自分の声じゃないみたい
傘を畳んだ朝 身体は底に沈んでいた
記憶がおぼろなままで ただあなたの声が聞こえるままに
幻聴がして 月の明かりに
私は踊った
あなたが私のこと 追いかけてくれることを
祈って止まない...Les Willis
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気に入らないもの全部蹴散らして 君はあたかも春の嵐のようだった
ノイズを拾いやすいことには慣れっこってね
無いなら無いで困らないなんて 強がった誰かを嘲笑うようだった
大切にされることが当たり前みたいに思って
自分以外の舞台に立った上 旗を掲げて色塗りばっかに励んだ
選ばれなかったと捉えてしまい情け...Stormy April
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四辻を右に曲がれば
すすり泣く声を耳にする
回る世界から突き落とされただけの
それだけのことなのに
三つ指をついて悔いれど
渇いた笑顔が関の山
今更どうのこうの出来ないし
時間は巻き戻し効かないの
涙目で笑ってる 声もなく笑ってる
請う者を許しても 気が晴れるのは私じゃないと...じばくれい
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理由もなく夜更かしをして 赤く斑らになる私の頬
写真に残る 校舎を背に あなたは何故か綺麗な姿だった
飛ばしたくて 飛ばせなかった 光り輝く飛行船は
夢の中の私だけが持っていて
照らしてくれる太陽がいるから ここからでもよく見えるんでしょう
遺伝子まで辿ったとしてもね きっと分からない違いもあるんで...ルナ
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嗅ぎ分けて見える様に きっと誰もがそうだけど
同じタイプを持った人 違う持ち物の人
付かず離れずの距離で 居心地の悪い外部で
自分らしい自分 代わり映えのない舞台
大事なところは 曖昧に置いておく
何も見てない振りをして 俯き気味に
途絶えそうに泳いでいくものが
生まれたての光を浴びて
色んな見え方...潜在
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色褪せて見える景色
透明が透明なままで凪いでいる
今は多分 呼吸だけ
想像もしなかった未来だ 悪い意味で
嬉しい? 悲しい?
そのどちらでも無いわ
言葉だけじゃ
この海に空が浮かんでいた 雲はただ 風に委ねていた
どこまでも青 透明な青 太陽と月の行き交う場所で
泡沫を感じて見上げれば 光は淡さを薄...溟
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楽しさや幸せを感じたと同時に
胸に穴を開けたような寂しさを感じる
例えば今 あなたの隣に居る時
夢じゃないか 醒めやしないかって怖くなる
離さないで 側にいて いつまでも いつまでも
私は祈るよ あなたが消えないように
約束って簡単に小指絡めた
ああ 結び目が解けないことをずっと願った
触れたあなた...Pierce
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目を閉じたら 景色が変わって
帰り道が分からなくなってしまった
四方八方何処に歩いても
辿り着けない気がしていた
生まれて直ぐ見てた景色は
決して再びは見られない様だ
何かと比べて初めて
どれも識別されるもの
おとぎ話の主人公になって
目眩く冒険譚に出会いたいな...ジャバウォック
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あなたのことを好きになったのは 一体いつからなんだろうな
二人の間に特別なんて 何にもなかったはずなのに
あなたのどんな姿を見ても 大好きでいられる気がしてるんだ
やっぱり思い出せないな 胸を焦がしはじめたのは
彩りに満ちた毎日が あなたがいたからだと気付いた
明日もまた会えるってのが どれほど愛し...ウサギの日
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落ち込んでる時なんか
勝手に転がっていって
例えば物が重なって見えたりとか
異常きたしてるような気がする
大抵の綺麗事ってのはさ
誤魔化しか抱負だから
「みんな違ってみんな良い」なんて
当たり前なのはそう思う事
一体どこに行っちゃうのかな
僕らはずっと居られるかな...double vision
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ああ 恒星一つ こんな風に変わったんだ
眩しくて瞑った眼も 突き抜けてくる光だ
食べてきた風景 遠くて近いところから
坂を登った時 呼吸が乱れていた
だらしのないことだね 自分を笑ってしまう
ここはまるで知らない場所だ 解っていたろう
やるべきことは 眼の前のことにしかなくて
「忘れてはいないよ」 ...記憶の固執
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私が魚を食べる頃
貴方は命をかけている
魚を美味いと思う頃
貴方も美味いと思われて
私がこの世に落ちた時
誰かが身代わりに消えている
鼓動が続いて気づくのは
生贄なんて金輪際
名前を呼ばれて 手招きされて
ナイフがその手に この胸に...擬人法
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君のいない
景色になって
どれくらいだ
もう慣れたかな
雨が降って
やがて 晴れた空
「目に見えるものが全てじゃないわ」
私が君に言っていたのに
見えるものだけ信じがちで
気づけなくなる前に...虹
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嬉し泣いた 切り裂いて
瞬く間にオーロラに散らばってった
綺麗なところだけに近づいて 大写し
誤魔化しだろう 可笑しいだろう
拡がる網の目に追い込められてった
酷いのはお互い様なんだろうけど
視野狭窄患ってないか 弱い者
そして今日も熱を帯びて
触れた事全部飲み込んでいった
あとどれくらい?...PARSLEY
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那由多にも不可思議にも
お星様はいるんだよ
その全てが引かれあって
爛れそうで避け合うんだよ
二人なら問題ない
それ以上なら要:警戒
互いの擦り合わせが
一つの音になる
空間を歪める
僕もきっと誰かからは...集団と糾弾
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雨乞いしてた僕を嘲笑うように カラカラの青空
熱中症に気をつけてくださいな
振り返った記憶が汚れていって 滲んで頭が痛いな
水筒の蓋を外す
僕の逆夢を道連れにして 現実はシムーンに乗って
今日も一夜漬けの様相だ
隅っこに潜むように座る
壁を隔てて鳴り出した音 ヘッドホンが離せない
ずっと宝石を抱いた...カーバンクル
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代わりは何処にもいないから
出来ないことしかなくて
僕が諦めた物が
君の持っている物だったり
崩れそうな空を縫って
僕の事を嘯いてみる
何も言わなくちゃ伝わんない
嫌いにしかなれない
遠回りでないと とても
言えなかったから...ヤマザクラ
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