タグ「KAITO」のついた投稿作品一覧(21)
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「今宵の月は、少し陰りが見えるな…」
神威がくぽ、神威道場の師範。彼はいつもの厳しい稽古を和音マコに施した後、夜も更けた竹藪の入口の石に腰を下ろして休んでいた。僅かな夜風が、草木の葉を飛ばしてくる。そんな空気の中、がくぽは一人涼んでいた。彼は酒も飲まなければ、煙草も吸わない。口にするのは、一汁三菜...「VOCALOID HEARTS」~第30話・陽忍部隊~
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人間とアンドロイドとの平和を作り上げることを目的にした、アンドロイド平和統括理事会。カイトたちのMARTとは、互いが持つ裏側の面で対立しあう、相容れない関係である。
その直属の査察部隊、AAA(Android・Assessment・Agent)。通称はトリプルエーと呼ばれる。長らく、重音テト・波...「VOCALOID HEARTS」~番外編・テトの手記~
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唄音ウタ。愛称はデフォ子と呼ばれる、15歳の少女。カイトからの支援で就職した広告会社で、いつもと変わらない退屈な日々を過ごしていた彼女に、突然「アンリ」と名乗る謎の女性から警告の電話がくる。その直後、アンドロイド平和統括理事会の査察部隊・トリプルエーの議長¨健音テイ¨が現れる。ウタは部屋を変えて息...
「VOCALOID HEARTS」~第23話・闇の兆し~
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「連続暗殺事件…物騒な世の中」
唄音ウタことデフォ子。MARTで支援を受けて社会復帰を果たしたウタは、小さな広告店でうだつの上がらない毎日を送っていた。基本的にやることといえば、街中で昼前から夕方まで延々とティッシュ配り。彼女は正直、そんな仕事に満足はしていなかった。クールで無気力、それでいて人前...「VOCALOID HEARTS」~第22話・狙われた少女~
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僕は鏡音レン。
ここ暫くの間、毎日が驚く事の連続で何だか気持ちが落ち着かない。
今日もルナさんから告白されて…と言っても勿論¨愛の告白¨じゃないからね!
その後、僕は数年前にMARTへやってきたルナさんに初めて出会った時の事を思い出した。
…今でも覚えてるよ。
メイコ「…嫌よ!!」
カイト「めーちゃ...「VOCALOID HEARTS」~第21話・革命の胎動~
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モモ「ふ…ふぇくしょいっ!!」
TVキャスター¨…続いて花粉情報です。今月から日本各地で大規模な花粉の飛散が予想されそうです。お出かけの際にはマスクを着用されると良いでしょう。¨
モモ「だ…誰かティッシュ下さ~い!!」
カイト「…うおっ!?何だその鼻水は!?」
いろは「モモさん、ティッシュだにゃ!」...「VOCALOID HEARTS」~第20話・花粉襲来前線~
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私たちの街に積もった雪も溶けはじめ、ようやく春の訪れが感じられるようになってきた。長かった冬も、いよいよ終わりを告げる。そんな時期に私たちがやってきたのは、まだ雪が降りしきる北の大地・北海道。一緒についてきたモモが観光気分になってしまっているけど、今回の目的はそうじゃない。リンちゃんの里帰りも含め...
「VOCALOID HEARTS」~第19話・巡音を訪ねて遥々と~
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命の危機に瀕した私の前に突然現れ、テイを麻酔弾で撃ち抜き、助けてくれた謎の女性。
私が驚いている最中、彼女はアンリと名乗り、こちらをじっと見つめて笑みを浮かべた。
そしてこう言ったのだった。
¨真実を知り、運命を変えたければ、私と共に来い¨と。
すると誰かがこちらに向かって走ってきたのだった。
私は...「VOCALOID HEARTS」~第18話・慣れない痛み~
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とある日の午前10時…
MARTの主要メンバーであるいつもの6人が、とあるツインドリルの人物に呼び出されました。
その前日に届いた手紙にはこう書かれてあったのです。「何気ない日常を、笑いの絶えない時間に変える企画!MARTのメンバーの皆さん、嫌でもご参加下さいねっ!」と。
疑いを感じる事も無く東京駅...「VOCALOID HEARTS」~番外編・絶対に笑ってはいけないMART観光旅行~
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モモ「アッー!?」
カイト「な…何だ?」
モモ「キャーッ!!イ…イヤッー!!」
カイト「モモ、何があった!?」
モモ「¨G¨が出たんですよ¨G¨が!!」
カイト「…G?一体何なんだそれは?」
ルナ「¨ゴリラ¨の事ではなくて?」
カイト「ここ動物園じゃねーぞ!?」
メイコ「¨ジャイアン¨の事じゃないか...「VOCALOID HEARTS」~第12話・イエローカード
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「どこを見ているでござるか?」
「…かはっ!?」
「勝負あり…まったくこの程度では師範代も務まらないでござるな。赤子の方が歯応えあるのではなかろうか?」
「…くっ!もう一度お願いします!!」
「残念だが、今のお前に拙者と手合わせする資格はない。出直して来るがよかろう」
「な…なぜですか!?」
「それ...「VOCALOID HEARTS」~第11話・神威旋響流~
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3月11日、午前4時半。
アイドルスターのグミは、しばらくぶりに仕事の休みが取れたため、かつての恩人・カイトの勧めでMARTの本部に泊まっていくこととなった。
だがその夜、悪夢にうなされて眠りから覚めてしまった。グミはルナの言葉で再び眠りにつこうとしたが、それでもなかなか寝れない。
とりあえず喉の渇...「VOCALOID HEARTS」~第10話・夜明けの決意~
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「…何ですって?今後の予定をしばらくキャンセルする!?」
「もう私、こんな休む暇もない仕事は限界です。今だって3日間の間に仮眠しか取れてないんですよ? 少しだけでいいんです、どうか羽をのばす時間を…」
「ダメよ!アイドルスターになったこの時期のアナタはどんどんアピールして、もっと自分を売り込んで、更...「VOCALOID HEARTS」~第8話・夢見る歌姫~
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「ユフお姉さん、またいつでも来て下さいね!」
「ユフちゃん、頑張ってね。私、これからもずっと応援してるから!」
「またいつでも来てね。今度はユフちゃんの大好きな、白雪プリン作りましょ!」
「ユフ、お前のことだから、仕事も何でも我慢して心の中に溜め込んでしまうだろう。疲れた時はいつでも帰ってこい。ここ...「VOCALOID HEARTS」~第7話・アイドルは突然に~
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3月11日、午後9時。ここはアンドロイド平和統括理事会の会議室。ここに数名のトリプルエーの主要メンバーが集まろうとしていた。
20席余りの椅子に囲まれて、非常に大きな円卓の机があり、中心の床にはトリプルエーの紋章が描かれている。三つ星が特徴的であり、それぞれの星に¨聖者・正義・制裁¨という意味が...「VOCALOID HEARTS」~第6話・雪歌の使命~
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誰かに後をつけられている。誰かが俺たちを狙っている。誰かがずっとこちらを見ている。
気のせいか…
いや、違う。目的は分からないが、確実に俺たちを狙っている。どうして後をつける? どうして隠れている? 用があるなら、正面から出てこい。怖じ気づいたのか? 人目を気にして、出てくる度胸も無いのか?
...「VOCALOID HEARTS」~第5話・漆黒の制裁者~
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3月10日の昼前。MARTの総長・カイトと、鏡音レンと新しくやってきた鏡音リンの3人は、東京にある新宿の交差点を歩いていた。MART周辺の案内を兼ねた、近辺の巡回をするためである。
田舎町からやってきたリンにとっては、何もかもが新鮮だった。特に最新のファッションなんかは、まったく未知の世界だった...「VOCALOID HEARTS」~第4話・住処の街並み~
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3月9日の夜7時。まだ冬の寒さが若干残っているこの季節に、その少女はやってきた。やがて、この少女の存在がMARTを、そしてレンを大きく変えていくことになろうとは、まだ誰も知る由はなかった。
「よし、何とか予定の時間までに間に合ったな。薄々モモが料理をヘマして、間に合わなくなるんじゃないかって心配し...「VOCALOID HEARTS」~第3話・黄の少女~
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MARTの大きな音楽室。たくさんの楽器とドラムセットが並べられている近くのテーブルの上に手書きの楽譜があり、題名にはこう書かれていた。
¨黄昏色の楽器¨
夕日に映える 金色の空
私の姿は ただ黄昏る
あの太陽に 響く音色は
どことなく 寂しい気がした
夕暮れ知らせる 教会の鐘
さよならを告げ 帰路...「VOCALOID HEARTS」~第2話・黄昏色の楽器~
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「あっつ!!」
何がって? 気温? それとも日光?
いやいや、桃音モモが目玉焼きを焦げさせたか、スクランブルエッグに変えてしまった合図である。しかし、一体どうやったらそうなるんだろうか。
ともかく、そんな出来事が東京の路地の一角に居を構える「MART」というところで起こった。
通称「アンドロイ...「VOCALOID HEARTS」~第1話・目覚めの朝食~
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~あらすじ~
21世紀初頭、世界に衝撃が走った。感情を持つロボットが開発されたというのだ。
そのロボットたちのことを、人は「アンドロイド」と呼んだ。感情を持つロボットなんてのは空想科学、ファンタジーの世界。このアンドロイドたちの誕生は、生物機械工学の世界の常識と不可能を超越し、革命を起こした。
...「VOCALOID HEARTS」~前書き~