あなたにとって、彼女はどんな存在?

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「―――といって、ここは……」
 二-Bの教室に響くのは、神威先生の声、チョーク、シャーペンを動かす音。いたって普通の光景だ。
 私のノートは、言葉で埋め尽くされて真っ黒だ。他の教科とかもそうだけど、日本史とこの古文だけは、ノートを解読するのに時間がかかるほどに、真っ黒だった。
 私は、日本史と古文が苦手で、いつも他の教科より点が低いのだ。得意科目の英語と比べたら、泣けてくるほどに。でも先生は「これ、本当に苦手、なの?」と驚いていた。やっぱり、私の頭が悪いから驚いていたんだね。
 ……あ、集中集中。

 しばらくチョークの音が響いていたが、突然その音がやんだ。先生が、チョークを動かす手をとめたからだ。
「窓際の席の人は伏せてください。特に巡音はよけて」
 先生はなぜかそう言った。皆、わけがわからないという顔をしている。メイコだけは何かを察したようで、顔が青ざめていた。なんでだろう。
 その瞬間だった。
「わあっ!?」
 突如、何かが私のほうに飛んできた。慌てて頭を伏せる。その直後に、真後ろで何かが砕け「ふがっ!?」た音がした。
 なんだろう、凄く嫌な予感がする。恐る恐る後ろを振り向くと、そこには頭をおさえてうなっている緑川さんがいた。
「い、いい、い、いひゃ、い……いい………」
「寝るな、グミ」
 緑川さんの机の上には、砕けた白い何かと、白い粉。神威先生は、こちらを真っ直ぐに見ていた。よく見ると、先生の左手から、先ほどまで握られていた、短いチョークが消えている。
 つまり……先生は寝ていた緑川さんに、チョークを、投げつけた?
 ゾンビみたいなうめき声を発している緑川さん。よけるのがあと少し遅れていたら、私の右目に……。考えただけで、恐ろしくなった。運動神経が思っていたよりも良くてよかった。
「けが人はいないか?」
「あたしが……すでにけが人、です……」
「いないな。まったく。グミ、放課後に第三会議室」
 それだけ言って、先生は新しいチョークを手に取った。
「せんせぇ、これ、女の子に、やることじゃ、ない……」
「お前だから大丈夫。あ、寝ようものなら容赦なくチョークを投げるからな。次は黄色」
「あい……」
 そして、先生は授業を再開した。しようとした。
 なぜなら、突然教室の扉が開かれたからだ。そこに立っていたのは―――息切れしている、若い女性。制服を着ていないから、教師だろうと勝手に判断した。
「はぁ、はぁ……神威、先生……」
「とりあえず落ち着いてください。はい、吸って」
「スゥ~……」
 長めの緑の髪をツインテールにした女性は、彼の言うとおりに大きく息を吸い――
「吐いて」
「ハ~……ス~……」
 大きく息を吐き、また吸って――
「うぇ、げほげほっ」
 むせた。なんでそこでむせたの。なんなのこの人。そもそも、こんな教師はいたっけ?
 ……あれ? この人、どこかで見覚えが……。
 必死に頭をフル回転させる。でも、一件も脳内検索に引っかからなかった。
「で、どうされたんです?」
 むせて咳き込んでいる女性を心配することなく、神威先生は冷静に問いかけた。
「え、えーっと……」
「もう! 廊下を思い切り走っちゃ駄目ですよ! 授業中なのに!」
 クラスメイトの誰かが「うるせぇな」って呟いたような気がした。なぜなら、また新たな人物が乱入してきたからだ。でも、この人は皆知っている教師だった。
「し、始音先生……」
 女性は、おどおどして始音先生を見た。
「始音先生、どうしました?」
「あぁ……授業中で悪いんですけど、これ」
 神威先生は始音先生が差し出した紙を受け取り、中を開いて呟いた。
「これは……呼び出しの紙か」
「そう。学園長が、今教師を全員集めているんです」
「それ、放送の機材で伝えればよかったんじゃ?」
「昨日壊れたので、使えないんです」
「ああ……」
 神威先生は腕時計と黒板を見たあと、チョークを置いた。
「丁度キリがいいところだな。えー、席を外すので、自習をしていてください」
「じゃあ行きますか」
「はい」
 クラスの皆は、自習と聞いて、顔が嬉しそうだった。
「あ、グミは放課後第三会議室にか、な、ら、ず、来るように」
「は、はいぃっ!」
 ただし、緑川さん以外は。
「えーっと……巡音。緑川がまた寝たら、起こしてやってくれ。そいつはすぐ寝るから」
「はい……」
 いや、あんなことされたんだから、さすがにもう寝ないでしょ。まだ痛いみたいだし。
「ほら、いつまで突っ立ってるんですか。行きますよ?」
「は、はいぃっ」
「まったく。って、第一会議室はそっちじゃないです! 方角自体が間違っています!」
「だから授業中だから走らないでくださいって! 戻ってきてくださーい! カムバアァ―――ック!」
「す、すみませんっ」
「はぁ……ほらほら、こっちですよ。―――――初音先生」
 三人は、教室を出て行った。
「なんだったの? 今の……」
「さぁ……」
 メイコだけじゃなく、皆もそう思っているんじゃないんだろうか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【がくルカ】memory【7】

2012/04/27 投稿
「事件」

改稿しましたが内容はあまり変わってません。


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投稿日:2022/01/10 01:36:21

文字数:2,119文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    なwwwんwwwとwwwいwwwうベタなwwwwwチョークアタックとかマジでベタなwww
    そして砕ける音が響くとかどんなスピードで激突したんd
    神威先生「そこ!私語するな!!」
    ふがっ!!ぐはぁっ!!(のけぞったところにもう一発食らいました)

    ミクさんドジっ娘とか鼻血がぐはっ!!(変態
    とはいっても深呼吸してむせるのはすごく難しいぞ!?意外とすごい子だったりして。

    学園の名前ですか。
    学校長ですか。
    じゃあ自分は学園町の名前でも考えましょうか。

    「怜央(れお)」…「露羅(ろら)」…「アン」…『清輝(きよてる)』…「友莉(ゆり)」…。

    うーん…ビミョ!!しかも男女日外混合な名前だしwww全員ボーカロイドの名前からきてたりするのですがわかりますかね。

    そして前回の予想が確実に間違っていると分かった自分。

    2012/04/29 15:32:19

    • ゆるりー

      ゆるりー

      ベタですかwwそしてがっくんの戦闘術がまた増えた…投げナイフでしょモデルガンでしょ冥界式(ryでしょそんでもって今回はチョークアタックでしょ…
      どれくらい速いんだろう…
      あれうちのがっくんってそんなこと注意するっけ…?
      って二発くらった―――――!!!!

      ドジっ娘を入れてみたかったので。え?鼻血?
      そうなのです!!ミクさんは色んな意味ですごい子なのです!!←

      キヨテルってもう言っちゃってるwww
      ゆりって誰?リリィ?

      ボーカロイドってことはわかりました。
      テトさんでもいいんだが…でもIAさんかゆかりさんでもいいな…
      え?学園長の話です。

      え?予想?ターンドッグさんが何を予想したのかすごく気になります。

      2012/04/29 20:05:25

  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    memoryの続きが見られるなんて!
    夜こっそりやっててよかった!(ウチはパソコンは10時までってされてるのだ←)

    ヤバイwミクがドジっ娘(?)って結構萌えるよwwいや、もちろんルカさんも萌えるけど!
    っていうかがっくん怖いwグミちゃん痛そうwww

    学校名・・・・・・。
    ・・・・・・「ユルカ学園」とか? ・・・・・・はい、すみません。センス悪すぎですね、はい。


    ブクマもらいま「ふがッ!!(←!?)」す

    2012/04/28 00:36:16

    • ゆるりー

      ゆるりー

      こっそりw
      その場のノリで書いたんで、珍しく書いたプロットを無視しまくりました。夜中のテンションって怖いね!←

      そうですかw
      こうなってる理由はちゃんとありますよ!

      ゆ、ユルカ学園・・・・
      ・・・・・
      ・・・・・・なんていうか・・・すげぇ。
      本人は何も思いつかなかった←
      候補に入れますね。

      ブクマありがああぁりんごおおおぉ!!←
      チョークが、チョークがあたったあああぁ!!??!?!?
      誰だ投げたなのは!!
      レン「・・・ごべんなざいorz」
      ゆるりー「ま た お 前 か !」
      【見せられないよ!】
      【見せられないよ!】
      【見せられないよ!】
      ---数分後---
      レンは変態になりました。((なんで!?

      2012/04/28 00:45:54

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