作品一覧
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五枚目:
私は死んだ。
木製の椅子と一本の太い縄を用意して自分を殺したんだ。
勿論、自業自得だよ。
自分でしたことなんだから、後悔したって意味が無い。
でもね、私の葬式の時に見ちゃったんだ。
今まで虐めてきた同級生達が、私の名前を呼びながら泣いてるの。
正直私は、反吐が出た。
だってさ、泣いてるフリ...名無しの手紙(五枚目)
Kurosawa Satsuki
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四枚目:
小学生の頃、
ちょっとした事がきっかけで虐めにあった。
いかにも幼稚で古典的なやり方で受けたが、
最初の頃は我慢した。
給食に虫の死骸を入れられたりとか、
黒板に自分の悪口を書かれたりとか、
どの学校でもありそうなものばかりで、
こういうのは、無視が一番効果的だと、
強がって必死に耐えてい...名無しの手紙(四枚目)
Kurosawa Satsuki
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三枚目:
夫に愛想が尽きた。
子供もいるが、
これ以上一緒にいても意味が無いと思った。
バカバカしいとさえ思い始めた。
そもそも、あんな根暗を好きになってしまった事
自体が本当に馬鹿だった。
子供が生まれて六年が経った頃、
離婚届をテーブルに置いて家を出た。
やっぱり男は金に限る。...名無しの手紙(三枚目)
Kurosawa Satsuki
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二枚目:
大人になるという事。
それはつまり、責任が増えるという事。
人の愚かさ、汚さを知るという事。
守るものが増えれば増えるほど、
自分を殺せなくなるという事。
俺が三十歳の時、娘が生まれた。
名前を恵美と決めた。
娘が成長し、幼稚園を卒業する頃、
妻が他の男の元へ去った。...名無しの手紙(二枚目)
Kurosawa Satsuki
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一枚目:
私は、幸せについて考えた。
衣食住に困らず、平等に学ぶことができ、
友人、家族、恋人が居て、
暑ければクーラーを付け、寒ければ暖房で温まる。
与えられるだけ与えられている筈なのに、
それでも、死にゆくもの達がいる。
虐めや、家庭内での問題など理由は様々だが、
幸せだと自覚しながらも、苦しい...名無しの手紙(一枚目)
Kurosawa Satsuki
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皆がリビングに集まり、それぞれの席へ座る。
すると、ミクが重たい口を開いた。
ミ「みんな、マスターが死んじゃう!!」
リ/レ「え!?」
ル「そんなに大げさなことだったかしら?」
メ「どこから死ぬことになってるのかは知らないけれど、さすがに死にはしないわよ。」
ミ「で、でもマスターすっごく苦しそうだっ...記憶の4ページ
漆黒の王子
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「かなりあ荘が…消える?」
そんな話をゆるりーさんから聞いたのは、確か春先だったような気がする。
各々が自分の道を歩み始めて幾年経っただろうか。
一人称が『俺』だった自分も、仕事を重ねていくうちにいつしか『私』と自分を呼称するようになった。
そんな中、時折かなりあ荘には顔を出す時はあった。
同好の士...【最後の物語】さよなら、またね、かなりあ荘
Turndog~ターンドッグ~
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ミクの場合
マスター?マースーター!
どうして返事してくれないの?
今日もいっぱい歌を歌わせてくれるんだよね?
マスター。
僕の声聞こえてる?
マスター、ほら早くしないと置いていっちゃうよ!
今日もいっぱい聴いてね!
ルカの場合
あら、マスター?お昼寝なんていいわね。...マスターが死んだ……?(現実逃避(?)Ver.)
漆黒の王子
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一限の古典。
予想通り当てられた詩だったが彩羽に課題を写させてもらったおかげで事なきを得た。
まあもちろん、授業後に「彩羽ありがとう!大好き!!」と抱きつかれたのは言うまでも無い。
彩羽「(詩は私限定の抱きつき魔か…?)」
心做しか少しゲッソリしている彩羽。
ちらりと時間割を見ると次は体育だった。
...【小説版】嘘塗れクラウン
衣泉
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リ「あのホテルすっごくよかったね。」
レ「あんなホテル泊まれることなんてほとんどないもんな。」
リ「でも、やっぱり家が一番私は好きだな。」
レ「俺も!」
リ「きっと、みんなリンがいなくて寂しがってるよね。」
レ「1日くらいリンがいなくても、寂しがってたりなんてしないよ。」
リ「そんなのわかんないじゃ...記憶の鏡のページ(RLバースデー当日)
漆黒の王子
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カ「みんな、今日集まってもらったのは他でも無い。明日のための準備をしてもらう。みんな、用意はいいか?」
メ「カイト、いつまで一人だけ座ってるのよ。もうみんな用意はじめてるわよ。」
カ「だって、昨日からこれ言おうって考えてたのに誰も集まってくれないんだもん。もう、一人でやっちゃおうと思って。」
ミ「メ...記憶の鏡のページ(RLバースデー準備)
漆黒の王子
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「ミクー、久しぶり!」
「ルカ! MEIKOも!」
「ふふ、今回はどっちも余裕で間に合ったわね」
壁にサムネイルプレートがカラフルに並ぶ。新しいデータを掲げようとしたミクの所に、ルカとMEIKOもまた、同じ形で色違いのものを手に持って歩いてきた。二人に挨拶をしながら、ミクは青緑のプレートを壁に掛け...想いが集う場所
にゃん
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その記憶に確証が持てますか?
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目覚めたのは彼の部屋だった。確か彼と話していたら首元に何かを当てられて……、それで?
——“こんなところまで来るなんて、本当に馬鹿だな”——
最後に聞いた言葉を思い出す。そうだ、それで気を失ったんだ。
「起きたんだ」
声のかけられたほうを見る。カーテン...Memoria --『Symphony』--
ゆるりー
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ル「お疲れ様。メイコの好きなお酒とおつまみ用意しといたわよ。」
M「ルカ、ありがとう。早速いただくわ。やっぱ美味しいわね。」
ル「うふふ、よかったわね。」
M「ルカ。」
ル「どうしたの?」
M「私ってそんなに鬼ババかしら?」
ル「あら?もしかして気にしているの?」
M「そりゃ気にするわよ。マスターも...記憶の2.5ページ(後日談)
漆黒の王子
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クリスタル・メロディ
Chapter1
淡く淡くどこまでも透明な空。
はるか彼方まで埋め尽くすように咲く白い花達。
まるで、神様の優しいこころでつくられたみたいな世界の中心に誰かが立っていた。
丈の長い不思議な衣装を着ていて、顔は羽のように柔らかそうな真っ白なヴェールに覆われている。かすかに覗く桃...クリスタル・メロディ 1-1
彩織
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ミク「マスターおはよう…」
しーん……
ミク「あれ?マスター?あ、そういえば今日は珍しく外でお仕事なんだっけ。」
リン「ミクちゃんおはよぉ。(目をこすりながら)」
ミク「リンちゃん、レンくんおはよう。」
レン「あれ?マスターはいないの?」
ミク「マスター今日外でお仕事の日だったのをさっき思い出して皆...記憶の1ページ(日常)
漆黒の王子
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眠らない街、高みを目指して競い合うスタッフたちは、裏では仲がいいとは限らない。社会勉強とバイトを兼ねてやってみよう、と俺を誘った友人はもうすっかり鮮やかな照明と名声に彩られたこの世界に馴染んでいるようだ。
一方の俺は、次々に注がれる度数も値段も高いアルコールの量に慣れず、せっかくの休憩時間を手洗...【がくルカ】拍手と喝采【がく誕】
ゆるりー
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山紫水明 小さな村
それはそれはたいそう美しい娘が居た
幼き頃、八卦見から
「この娘は恋をすると、きっと災いをもたらす」
そう言われた
親からは 「恋を決してするな」
そう固く教えられた
十七になる頃、娘は一人の若者に恋をした。
やがて、互いに惹かれ合い
二人は恋に落ちる...短い冬の恋 (短編昔話)
rai。
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恋をしている。こう言うとフィクションの物語に影響を受けすぎかと笑われそうだけど、ある日突然彼のことを異性として気にするようになってしまった。
昔から同じことをやっていたくせに、たまたま触れた彼の手のひらが記憶にあるものよりもずっと大きくて男らしいなと感じて、そうなると腕まくりをしたときにうっすら...【がくルカ】拝啓、となりの君へ
ゆるりー
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君はもういない。
君はもう、私の前から姿を消してしまった。
君が何処へ行ってしまったのか。
君がどうして消えてしまったのか。
その理由を、私は一生知ることができないのだろう。
考えても考えても変わらない。
過去も現在も未来も変わらない。
過ちも嘘も事実も、何も変わらない。
何かを変えようとしたところ...【がくルカ】Future【1】
ゆるりー
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吾輩(わがはい)はたこである。名前はご存じのとおり。
気づいたら手術台の上にいた。後で聞いたらそれは手術台ではなく、まな板というのだそうだ。
見知らぬ人間が吾輩の腕を抑えて、肩口に、貝殻ほどの薄さの、冷たそうな板を当てようとしている。
これも後で聞いたら包丁と呼ばれるものであったらしい。
...【たこルカ小説】吾輩はたこである
あやせの
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*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
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1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
4.すぅ スイ...【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
ayumin
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記憶の中の彼へ
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『空き教室で待ってる』
それだけ書かれたメモを握りしめて、私は教室の扉を開いた。カーテンの引かれた教室で、彼が背を向けて立っていた。
「来たね」
「約束ですから」
イスと机が端に寄せられた教室に、穏やかな光が差し込む。普段なら眠気が強くなるこの時間に、私は...【がくルカ】memory【31・終】
ゆるりー
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またいつか会おうね。こんなはずじゃなかった。今日彼氏と、別れました。同棲して半年が、たった。もう終わり。街を、歩くと、彼が、新しい彼女と、歩いていた。仕方ない。私が、悪いのだ。優一を困らせた。焦りすぎた結婚の、二文字。なんでかな?幸せはお金じゃあなかった。優一は、それが、重荷だったんだね。それから、...
ずっとそばにいて
アカリ
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玄関のドアが閉じた音を聞いて、眠気に閉じかけていた目を開く。ごろんと転がっていた体勢をそのままお見せするわけにはいかないので、さっと上半身を起こすと、丁度彼がリビングにやってくる。
「ただいま。寒かっただろう、体調は崩していないか?」
「おかえりなさい。大丈夫でしたよ。私は部屋で温まっていましたか...【がくルカ】ゆく年を思う
ゆるりー
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毎年のことながら年末寒波が日本列島を覆っている。ショッピングモールの屋上駐車場から見える街並みには薄っすらと雪が降り積もっており、まるで粉砂糖をまぶしたようだと考えたのは空腹のせいだろうか。
大晦日の日の入りが近付いた頃。やっと大学が冬期休暇に入り、バイトも納めたがくぽとルカは、最近話題の映画を...【がくルカ】大晦日【V市駅南住宅街】
Tea Cat
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平凡な人生を生きてきた。
映画なら、スタッフロールが流れ始めた瞬間に席を立つような。ミステリー小説なら、中盤で犯人が分かってしまうような。プラスチックのカップ一杯のコーヒーなら、飲み終わった後のカップに氷が半分以上残されているような。
他人にわざわざ語ることもないほど、特別な出来事を人生に刻ん...【がくルカ】夕映えの君
ゆるりー
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もう自らの存在を証明する手立ては失った。
あとは生きるか死ぬかを選ぶだけだ。
そうすれば、余計なことは考えなくてもいい。
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その日から、別の誰かが俺に成り代わった。
記憶喪失になった俺は、自身のことを『神威 学』だと思い込んでいた。
それどころか、屋上から投身自殺をした記憶があっ...Memoria --『Serenade』--
ゆるりー
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「やあ、久しぶりだね」
私は目の前の光景に目を疑った。
最後の授業を終えたその日、卒業前に一度景色を見ておきたいと屋上に行ったら、神威先生が柵にもたれかかっていたのだ。しかも白衣も着ていなければ眼鏡もしていない。それに、「久しぶり」なんて言葉はおかしい。
「……毎日授業では顔を合わせているはずな...【がくルカ】Plus memory【6】
ゆるりー
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約束したわけでもないが、私が友達のクラスへ迎えにいき一緒に帰るのが、いつものルーティンだった。
先生や知人とすれ違うも、積極的に挨拶はせずに、友人とお喋りを続ける。
そしていつも、1つの自転車に変わった乗り方で乗るカップルに追い越されていく。
友「不思議な乗り方してるよね。」
それは、特に興味もなさ...帰路
あんバター