タグ:アイマイ独立宣言
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19
今日、僕らはようやく「ソルコタ民主主義共和国」として独立する。
国際連合ソルコタ暫定行政機構、UNTASの活動は、結局は三年四ヶ月もの期間に及んだ。
波打つ緑と黄色、そしてギザギザの青と橙色が交差する国旗は、カタ族とコダーラ族の伝統模様をあしらったものだった。
三年四ヶ月の間、僕らは新...アイマイ独立宣言 19 ※二次創作
周雷文吾
18
「ぐ……うあっ!」
銃声と共に、腹部に焼けつくような痛み。
「母さん!」
銃を構える彼の、悲愴な視線。
その奥で、座ったままのウブクが事態についていけず目を丸くしている。
「グミ!」
銃を撃った彼の方がつらく苦しい表情をしていることに、目を奪われてしまう。
モーガンとカルが私を呼ぶ声...アイマイ独立宣言 18 ※二次創作
周雷文吾
17
「久しぶりですな。ミス・カフスザイ」
「……そうですね。ミスター・ウブク。あれから、なにもかもが変わりました」
握手をして席につくなりそう声をかけてきたシェンコア・ウブクに対して、私は穏やかな笑みを浮かべてそう返答する。
あれから。
シェンコア・ウブクと私が前回顔を合わせてから、もう何年...アイマイ独立宣言 17 ※二次創作
周雷文吾
16
一ヶ月と十日後。
ソルコタとはほとんど利害関係のない第三国。
そこのホテル・ナヴァルーニエに私たちはやって来ていた。
国内有数のホテルであり、元々からして守りが堅固な上、今回はこの国の軍隊が警備を固めているという話なのだが……いま目の前に見える荘厳な教会建築を思わせる建物を前にすると、...アイマイ独立宣言 16 ※二次創作
周雷文吾
15
『ソルコタ国民の皆さん。
困難と共にあるこの日に、やっとこうやって皆さんにお話ができることを……たとえ痛ましい日々の合間だとしても、嬉しく思います。
私は訴えなければなりません。
ソルコタという国に住む――住んでいた人々の代表として。
私たちの国は、長い間問題を抱え、終わりの見えぬ紛争...アイマイ独立宣言 15 ※二次創作
周雷文吾
14
あれからあらゆる混乱がごった返して押し寄せてきた。
一つずつ、順番に語ろう。
まず、ソルコタは無政府状態となった。
……ケイトの予測は、正しかったと言えるだろう。私には、それを変えるだけの力がなかった。
行政府庁舎が破壊され、ラザルスキ大統領臨時代理以下、この国の政治と行政を取り仕切...アイマイ独立宣言 14 ※二次創作
周雷文吾
13
執務室に入ってきたのは、まだ幼い少年だった。
だがその視線は暗く、片手で構えた自動小銃にも、もう片方に携えた粘土のようなそれにも、私たちに対する敵意しかない。
粘土のようなものにはなにかを突き刺しており、その先にはスイッチが見てとれる。
あれは、十中八九プラスチック爆弾だ。
恐らくは...アイマイ独立宣言 13 ※二次創作
周雷文吾
12
『わかってる! いま大急ぎで引き返しているところだ! しかし……ええい、どんなに急いでも三時間はかかるぞ!』
四輪駆動車の助手席なのだろう。ハーヴェイ将軍の怒鳴り声の奥からは、四輪駆動車のエンジンがうなりをあげている。
「ここは、あと……二時間持てば長い方でしょう。実際には一時間弱かと」
...アイマイ独立宣言 12 ※二次創作
周雷文吾
11
三日後の昼過ぎ。
私は再び大統領執務室へとやって来ていた。
UNMISOLの現状を、ラザルスキ大統領臨時代理に報告するためだ。
……現状を大まかにでも把握するだけで、それだけの日数がかかってしまったのだ。
私の護衛はエリックだけだった。私はカンガを羽織り直して、彼にうなずく。エリック...アイマイ独立宣言 11 ※二次創作
周雷文吾
10
「と……まあ、こんなところですかね」
「……」
自慢げに話し終えたラザルスキ大統領臨時代理とは逆に、私はただ戦慄するしかない。
「これは……。本当なんですか?」
「本当もなにも……私が嘘をつくとお思いで?」
心外そうな大統領臨時代理を無視して、将軍を見る。
「訂正の余地はないのですね?」
...アイマイ独立宣言 10 ※二次創作
周雷文吾
09
ソルコタ首都、アラダナ。
植民地支配が終わり、ソルコタという国が独立してから作られた都市だ。その歴史は浅く、まだ五十年も経っていない。
しかし、新しい都市だからこその利点というべきか、その全体像はきっちり区画分けされた碁盤目状だ。
……都市としては機能的だが、いざ戦争となると“攻めやす...アイマイ独立宣言 9 ※二次創作
周雷文吾
08
飛行機を三回乗り継いで、小型のセスナ機で二つ隣の国の空港へ。そこからソルコタとの国境までNGOの小型車両に相乗りさせてもらって十五時間。そこで政府軍の車両に乗り換え、私はやっとソルコタに帰ってきた。
小型の四輪駆動車が三両、縦に並んで走っている。私が乗っているのは真ん中の車両で、前後の護衛...アイマイ独立宣言 8 ※二次創作
周雷文吾
07
数週間後、一通の封筒が私の元に届いた。
紛争地域であり、発展途上国であり、否定しようもないほどの最貧国でしかないソルコタの元大使だったケイト・カフスザイは、私の考えていた以上に、国連内で多くの人たちの印象に残っていたらしい。
その立場からすると……想像以上に多くの人々が、ケイトの死を悼ん...アイマイ独立宣言 7 ※二次創作
周雷文吾
06
気がつくと、私は医務室のベッドで寝かされていた。
ピッピッピッ、という無機質な電子音は私の心拍を計測している機械の音だろう。
「ミス・カフスザイ? 気がつかれましたか?」
ベッドのすぐ横にいた看護師が、私の様子に声をあげる。
「えぇ……ごめんなさい」
「お気になさらないで。点滴……投与し...アイマイ独立宣言 6 ※二次創作
周雷文吾
05
石橋を叩いて渡る、というのは日本という国のことわざらしい。
うまい表現だと思う。
何事も念入りに確認をする、というのは大事なことだ。
しっかりとしているように見える石の橋ですら、渡る前に叩いてその強度を確かめる。
そんな用心深さが、私にも必要なんだろう。
「ミス・グミ。このままではU...アイマイ独立宣言 5 ※二次創作
周雷文吾
04
「ケイト? 呼びましたか?」
ノックしてソルコタ政府代表室に入る。ケイトはデスクでなにかの書類を読んでいた。
「ああ、グミ。いらっしゃい」
顔をあげて私をちらりと見ると、デスクの前のワーキングチェアを勧める。
ニューヨークの国連本部にある、ソルコタ政府のための部屋はこの大使の個室と外の事...アイマイ独立宣言 4 ※二次創作
周雷文吾
03
それから数ヵ月は、怒濤のうちに過ぎ去っていった。
スピーチ直後は、たくさんの人たちに囲まれて挨拶され、握手を交わし、たくさんの感想を聞いた。
ハビエル国連事務総長。
クラーク国連総会議長。
安全保障理事会の常任、非常任理事国の国連大使。
その場に居合わせた他国の国連大使たち。
た...アイマイ独立宣言 3 ※二次創作
周雷文吾
02
「――そして今日この日、ソルコタの現状を語ってくれる方がこの場にいらっしゃいました。ソルコタのミス・グミです。どうぞこちらへ」
クラーク議長がそう言うと、いっせいに僕に視線が集まる。
拍手喝采。
僕、私はたじろぐしかない。
「さぁ、話してきていらっしゃい」
ケイトに背中を押され、私は立...アイマイ独立宣言 2 ※二次創作
周雷文吾
01
あれから三年の時が経った。
結局、ソルコタの内戦は終わらなかった。
東側のテロ勢力はESSLF、と名を変えて、いまでも政府軍と激しい戦闘を繰り広げている。
僕は――いや、もう私と言うべきか――あの頃の……子ども兵だった頃の名前を捨てた。
いまの僕の……私の名前はグミだ。
女であると...アイマイ独立宣言 1 ※二次創作
周雷文吾
Knocking on the bridge, but it seems that
I can't figure out the truth hidden here
Besides just a little taste
And "I give up"
Does that give you real...英歌詞 アイマイ独立宣言
木のひこ