タグ「巡音ルカ」のついた投稿作品一覧(192)
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年に一度、大切な人にチョコレートを渡す日。
バレンタインデー。
それは二月十四日、今日のこと…。
「ミク姉、めー姉、ルカ姉、チョコレートどうぞ!」
リンはそういいながら、可愛らしくラッピングされたハート型のチョコレートを、三人の姉達に差し出した。
「ありがとう、リンちゃん。これ、私からね」
...鏡音とちょこ。
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少しだけ音量を下げ、ミクは顔をしかめた。
「何よ、大きいか小さいかしかできないの、使えない!」
街中でイヤフォンに大声で文句をつけている美少女、となれば、嫌でも目立つもので、カイトがミクを見つけるのに、そう苦労はしなかった。…と、いうか、うるさいので、目をそらしても無視できなかった。
「ミク」
...日常 28
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ギターの音色がステージ上に響いていた。
ギターの音色だけが、スタジオに響き渡っていた。
二人だけの演奏が終わり、あたりはしんと静まり返っていた。
「いやあ、すばらしい演奏でしたねー」
マイクを持った司会者がリンとレンの元にやってきた。
「今回はメンバーが…」
言い終わらないうちに、リンはそ...日常 27
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歩き出した。
コツ、コツ、と単調なハイヒールの足音が、ひたすらに長い廊下に響き、美しいルカの姿を、よりいっそう際立たせるようだった。手には書類、顔にはめがね、髪はバレッタで止めて、淡いブルーのブラウスに紺のパンツスーツ、と言う格好は、元々クールなルカの印象を更に強めていた。
木製の大きな扉をノ...日常 26
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ゆっくりと、ミクは部屋を出て行った。
誰もが声を発しようとはせず、狭い空間に、重苦しい空気と沈黙だけが取り残されていた。
しばらくして、カイトが静かに音を立てないように、そっと立ち上がった。全員の視線がカイトに向けられ、カイトはうつむいて小さな低い声でつぶやくように言った。
「ごめん」
そし...日常 25
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ルカから連絡が来たのは、それからちょうど一日ほどたったころだった。
メールの字数制限一杯に書かれた、長文だった。いつもよりかっちりとした敬語に、決まりきった書類のように不自然なくらいに回りくどい言葉。なんだか、会議の書類を見ているようで、メイコは思わず目をそらしたくなってしまったほどだった。
...日常 24
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「それで待ってたの、二時間も?」
「そう…だよ…」
本日の教訓。雨の中二時間は、辛い。
あきれたようにメイコはため息をついて、カイトから傘を受け取ると、平気なフリをして一番危機的状況にある(気温的な意味で)ではないレンを立たせた。全員がのそのそと立ち上がる。
「ルカは?」
「休み。親戚にご不幸が...日常 23
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ギターが、空間を震わせた。
キーボードが優しく部屋の中を満たしていく。
「皆遅いねぇ」
リンが言うと、
「まあ、皆忙しいから」
カイトが言った。少し困ったように笑ったカイトは、なんだかとても淡い印象を受けた。ふわふわと溶けてしまいそうな、不思議な笑顔なのだ。
「二人だけでやるのもね」
「まあ...日常 22
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「これから、どうする?」
一人が言った。特に誰が言った、と書くことも無いだろう。兎に角、誰かがそんなことを言った。
「家に帰る」
誰かが返した。
「将来の展望みたいな?」
「そうそう!」
誰か――カイトが言った。
「そうだね、真っ先に家に帰るかな」
「その考えは捨てようか」
と、カイトが言っ...日常 21
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「とりあえず、結果を校長に報告して」
メイコの言葉を聞いて、リンはしばらく意味がわからないというようにきょとんとしていたが、すこしして、
「あ、うん、OK、わかった」
「本当にわかったんでしょうね」
「うーん、多分?」
非常に心配だ。
とりあえず、大丈夫と言うことにしておこう。大丈夫でなかった...日常 19
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かわいらしいテディベアが、テーブルの上におかれている。
横目でそれをちらりと見て、リンは深くため息をついた。オーディションがあった比からいつか、そろそろ結果がきてもいいころだ。やっと、終わったのだ、と言う実感がわいてきた。
メイコの名前で登録してあるはずだから、メイコのところに結果の通知が届い...日常 18
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氷のような冷たい視線を浴びつつ、リンたちはそれぞれの立ち位置に立ち、楽器のセッティングを始める。ドラムセットとキーボードを中心に立ち居地を考えた結果の、一番よく聞こえる場所、とミクが太鼓判を押していたのだ。
「はじめてください」
全員の準備が終わったころ、審査員の一人が言った。一気に空気が張り詰...日常 17
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電車の窓の外の景色に眼を輝かせる。
「わぁ、わぁ! すごい、速い!」
「ちょっと、リン、ちゃんと座って。恥ずかしいでしょ」
「だって、すごいよ。きゃぁぁあ、はっやーっ」
「まったく、子供なんだから!」
あきれながら言うメイコも、さきほどからそわそわとして、落ち着きがない。いや、誰もが、それは同じ...日常 16
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「へぇ、気が変わったの」
カイトが言った。
「まあね。だから、だれか応募しておきなさい。オーディションに」
どうしてそうメイコの考えが変わったのかはわからないが、リンとの関係もおかしくなっているわけではないらしいし、まあ、よかったということにしておこう。そう思いつつ、カイトは微笑んで、
「うん。...日常 14
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「今日は、初めてあわせてやってみようとおもいます」
こほん、と一度わざとらしくせきをして、カイトは言った。おー、と何人かが声を上げた。
「皆、そろそろある程度までできるようになってるよね?」
曖昧に全員が頷いた。そこまで自信があるようではない。
「じゃあ、楽器、セッティングしてー」
「はーい」
...日常 10
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「――知ってたわよ?」
しれっとメイコが言った。
これには全員、大ブーイングである。
「何で言ってくれなかったの!」
と、ミクがメイコを責める。すると、メイコはまたしれっと
「だって誰も聞かなかったじゃない」
そりゃあ、そうだ。だれも、リンの父がLOIDのメンバーだという前提で考えてなどいな...日常 9
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携帯電話が鳴っている。
カーテンの隙間からこぼれる朝日の中で、リンはもぞもぞとベッドから置きだし、枕もとの携帯電話を取った。新着メールを開いて確認すると、レンからのメールであった。
『今日、学校終了し次第、各楽器持参で集合されたし』
なんでこんな果たし状的な書き方をするんだろう。そんなことを思...日常 8
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ギターが音を鳴らす。
マンションの一室、防音設備だけは整った、安い部屋だが、ギターを弾くのならば、それでもよしとする。スコアを見ながら、一音ずつ鳴らしていく。不慣れながら、その手の動きはいきいきとし、リンの表情は幸せそうに、柔らかな笑顔だった。
「♪―…」
ギターに合わせ、声を出す。自分の声も...日常 7
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「これ、誰が作った曲?」
「ミクだけど?」
また、リンがふぅん、と言う。
「何? どこか駄目だった? ギターのスコアはあまり見ないから、見よう見まねなんだけど…」
不安そうにミクが聞くと、リンは首を横に振って、
「ううん、違うの。ただ、すごく簡単なメロディしかないんだな、って」
「結構難しくない...日常 6
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家に戻ると、リンは部屋の押入れの中をあさり始めた。
「おっかしいなぁ、ここに入れたはずなのに」
入れたはずなのに無いのは、違う場所にしまったから、だろう。しばらく探し続けていると、ずっと奥のほうに、黒と黄色のギターがあった。それを引っ張り出して、軽くひいてみると、弦が緩み、悪くなっているらしい、...日常 5
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うーん、と声を上げながら、リンは伸びをした。
講義が終わったのだ。
「さて、かえってテレビでも見るか」
と、言う状況だ。特に気にする課題もないし…。
「りーんーたんっ」
声をかけてきたのは、ミクだった。
「何か用? あとたんって何」
「えへへー。リンたん、ちょっとついてきてほしいところがある...日常 4
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家を出たリンは、珍しく余裕を持っていた。
今日はなんと、いつもより十分も(普通なら十分しか、だが)早くおきて、この間のように自転車を壊すほど飛ばさなくても、十分大学には着く。自転車にまたがり、リンはいつもより少しだけ遠回りになる道を通り、大学へと向かった。
それでも、学校には悠々と余裕をかまし...日常 3
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リンは驚きながら、それでいて、どこか、こうなることはわかっていた、と言うような気がしました。
「…そう」
と、言ったのは、嵐でした。
「それで、レン、それを伝えに来たの?」
「それと、微風から言伝を」
「伝言?」
「微風から最後の伝言さ」
驚いているリンの横で、嵐は何も言いませんでした。まるで...風 5
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ある日、レンはふと、ヒュウヒュウと隙間風のように聞こえてくる音に気がつきました。何の音かとレンが音のするほうに行ってみると、そこには、微風が一人でじっと固まっていました。いつもより風が強いので、小さな隙間から音が漏れたのでしょう。
「どうしたの、微風」
レンが問いかけると、微風はゆっくりとレンの...風 4
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カタ
カタカタ
カタン。
小さな音が鳴りました。小さな箱に、つむじ風が入り込もうとして、箱のふたを鳴らしているのです。しばらくはこのふたと格闘して、つむじ風はどうにか分離させられたからだの一部との対面を果たしました。そのとき、
「――何してるんだい、つむじ風」
その場に現れたのは、レンでし...風 3
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そんなある日、少しだけいたずら好きなつむじ風が、二人の世界を吹き抜けました。
鏡を通じて、二つの世界を行き来し、リンとレンの目を盗んで微風と嵐、それぞれに会いに行ったのです。
そして、微風には、
「はじめまして、微風。私はつむじ風。あなたと同じくらいの、小さな風です」
といい、嵐には、
「よ...風 2
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「私はある日、とても男らしくてすばらしく強い方に出会いました。」
と、微風は言いました。
「へぇ」
と、レンが言いました。
その小さな相槌に、微風は嬉しそうにそのあたりを回ってレンの手の辺りに戻ってくると、
「私はその方に出会ったそのときに、恋に落ちてしまいました」
うっとりとして、微風は笑...風 1
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少し困ったように笑いながら、レンは、
「…えーと、じゃあ、ちょっと待ってください。どこか、出ましょう。大丈夫ですか、時間?」
「わ、私は全然っ」
と、リンはあわてて答えた。
「そうですか、じゃあ、少しだけそこにいてください」
言って、レンは持っていた花の鉢を棚に置き、店の奥へと入っていった。そ...花言葉 17
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家に帰ったリンは、スライディングしながら部屋に滑り込んだ。勿論、リンの部屋のドアがあと数センチで閉まるシャッターなんかではないし、スライディングシュートを決めなければいけない状況でもなかった。
兎に角、はやくみたかったのである。インパチェンスの種を。
「さてさて、花につくというインパチェンスの種...花言葉 14
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「…」
ごろり、と、リンは寝返りを打った。
学校が終わってから、家に戻ってきて、テレビを見て、ベッドにもぐりこんだ。眠いわけではない。が、何もすることがなかった。
ここ五日ほど、LLには行っていない。何を話せばいいのか、わからないからだ。
「――どうしよう」
手のひらを上に突き上げるようにして...花言葉 11