タグ「巡音ルカ」のついた投稿作品一覧(76)
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episode5 ××××
彼女を追いかけていくと、そこにはこれまた綺麗な噴水があった。
噴水の周りには鮮やかな薔薇が咲いており、水がきらめいて何とも言えない。
でも、やけに重苦しい空模様のせいで、それらが余計に際立ってなんだか不気味だ。
「ねーぇ? どうしてあたしを追いかけてきたの?」
「えっ……...-Lost Maze-
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1月30日、今日は高校時代のみんなで集まって同窓会があった。
私たちは今22歳。
高校を卒業して以来顔を合わせてなかった懐かしい人たちが揃いに揃っていて、とてもうれしかった。
旧友に会い、お酒を飲み、昔話や現状報告に花が咲く。
皆変わってないようで、実は変わっていて、大人っぽくなっていたり、人当たり...あなたの笑顔【イズミ草】
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1月30日、今日は高校時代のみんなで集まって同窓会があった。
僕らは今22歳。
会場である居酒屋には懐かしい顔ぶれが揃っていて、酒を飲んだり、思い出話に花が咲いたり、はたまた現状報告などなど、過ごし方は人それぞれだが高校卒業以来の友との再会に皆感激しているようだった。
僕も高校で仲の良かった友達との...君の誕生日 【イズミ草】
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episode4 in the third garden
≪第三庭園≫
ということは、第一、第二もあるのかと彼に問うとどうやらあるそうだ。
後でまた案内するとも言われた。
でもこの美しい庭園、私たち以外誰も人がいない。
いや、家政婦さんのような人が決まった時間に手入れをしに来るのだろうか。
さっきの...-Lost Maze-
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episode3 廊下
コツ、コツ、と。
不気味なほどに反響する私たちの足音。
まるで機械で加工しているような、不自然な響き方だ。
前を歩いているカイアールは私が話しかけない限り黙々と歩いているだけだ。
ただただこの気味の悪い音を聞きながら、延々と続く廊下を歩いていた。もうかれこれ20分くらいだろう...-Lost Maze-
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episode2 信じられないということ
カイアールと名乗った蒼い青年の後について歩く。
少し歩いた後、無駄に馬鹿でかい扉が現れた。
「ね、ねぇ……カイアール……さん? これはどこに通じてるんですか?」
「ああ。僕のことはカイアールでいいよ、エルカ。ここはこの城の――玄関、とでもいうのかな。まあ、そ...-Lost Maze-
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episode1 荒城の迷路
――カツ、カツ
私に聞こえるのは、恐らく自分が歩いているであろう足音だけ。
未だに暗闇は続いていて、生きているかすらわからない気持ちの悪い感触。
もうどれほど『歩いた』のだろうか。
けれどなんとなく、視界は開けているような気がする。
記憶ほど曖昧なものはない。
もう最初...-Lost Maze-
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昔々、あるところに。
ネズミの被害にあっている小さな町がありました。
人々は困り果てていました。
食糧がなくなる。
家を蝕まれる。
農作物を荒らされる。
そんなある日、なにやらおかしな服を身にまとった、青年がやってきてこう言いました。
「報酬をくれるのなら、この僕がネズミを一匹残らず退...ボカロと愉快なボカロたち。
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人魚姫が王子に振りかざしたナイフは、まだ人魚姫の頭上にあった。
人魚姫の手は小刻みに震えていて、今振り下ろさんと力をメいっぱい入れているのに、ナイフは何故だか今ある場所から動いてはくれない。
『どうして……どうして……』
体中が震えだした人魚姫。
そのうち身体に力が入らなくなり、ナイフも手か...ボカロと愉快なボカロたち。
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カイト王子と、隣国の姫君の結婚式が今日に迫った。
人魚姫は何もできず、震えていた。
あの日の自信はどこえやら、とうとう【死】が迫っていたのだ。
あの人に気持ちを、想いを伝えることができないまま、自分は死んでしまうのだと。
笑えるほどに実感していた。
時刻は1時を過ぎたころ。
今日の日が昇れ...ボカロと愉快なボカロたち。
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人魚姫が次に目を覚ましたのは、見知らぬやけに豪華な天蓋付きベッドの上であった。
人魚姫は少々顔に戸惑いの色を見せ、あたりをきょろきょろと伺った。
しかしそこには魔女どころか、見慣れた妹のリンの姿もない。
不安に充ち溢れ、とうとう身体を起こそうとしたその時だった。
人魚姫の『足』に突如、得も言...ボカロと愉快なボカロたち。
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光速でお城を抜け出した人魚姫が向かったのは、国のはずれにある魔女の家。
そこには人々に嫌われた魔女がいるというのだ。
魔力が強すぎ、魔女として有能過ぎたその魔女の名は皆もう忘れかけているが『メイコ』といった。
人魚姫は魔女の家に辿り着いたとたんに、ドアを壊さん勢いで思い切りノックなしで開いた。
...ボカロと愉快なボカロたち。
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昔々あるところの海の底。
人間は誰も足を踏み入れたとこのない、未知の世界。
そこにはそれはそれは美しい「人魚姫」がいました。
人魚姫はとてもおてんばで、王様や召使いを困らせていました。
そんな人魚姫は、嵐の夜、人間の男性を助けます。
その男性に心を奪われてしまった人魚姫は、その人のことばかり...ボカロと愉快なボカロたち。
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第六十九話 還
もう一度眼をあけると、そこには懐かしい面々がそろっていた。
最初に目に入ったのは、親友、メイコだった。
そして、グミ、カイト、レン。
みんな心配そうに私を見ていた。
「よかった、目を覚ましたのね」
メイコが涙ながらにこう言った。
「無茶しすぎだぜまったく、もう若くねぇんだか...ノンブラッディ
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第六十七話 光の中のあなた
『こっちよ、ついておいでなさい』
そう懐かしい声に言われるがまま、私は歩いていた。
どこに向かっているのかは知らない。
けれど確実に闇は仄かに明るくなってきている。
ここから出られるのだろうか。
こんなに孤独でさびしい場所、出られるならどんなところだっていい。
...ノンブラッディ
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第六十二話 闇に染まる
いつまでたっても闇は晴れない。
いつまで経ってもこの気持悪いほど安らかな空間で、独りでいるしかないのか。
私は―――独りなのだ。
「もう……無理なのかも……」
そう呟いた。
つぶやいったって、誰かが答えてくれるわけでもない。
何故だろう。
誰か男の人が脳裏に浮...ノンブラッディ
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第五十九話 闇の中のわたし
気がつけば……私は……どこか黒いところにいた。
『あれ、どうしてあなたがここにいるの? まだ早いでしょう……』
どこからともなく聞こえる声。
「!? 誰!? どこにいるの!? ねえ、答えて!!」
どうして私はここにいるの?
どうして声が聞こえるの?
待ってるの...ノンブラッディ
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第五十八話 謎
「ルカを助ける方法なら、あるわよ。魔界へ還せばいいの。そうすれば魔力が回復して元通り元気にな」
「ちょっちょっと待ってください!!」
いきなりそんな話を始めた咲屋さんを、私は思わずとめた。
「まだ何も解決していません。おかみさんが何をしようとしていたのか……さっきの物は、かい...ノンブラッディ
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第五十一話 全て
私たちが寿々屋へ戻ると、時すでに遅し、おかみさんは息をしていなかった。
前の少しふくよかな優しい雰囲気は感じられない、凛とした長い桃色の髪を畳になびかせ、眠ったように。
「お……っかさ、ん……?」
おりんさんは、急いで駆けよった。
雪は――いつの間にか降りやん...ノンブラッディ
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第四十七話 愛ゆえに
生まれた子を、『おりん』と名付けた。
七つまでは神の子といわれる此の江戸の世で、おりんは病などに一切かからずに、すくすくと育っていった。
ここ数年かで変わったことと言えば、メイコがこの世界に少しだけやってきたこと。
メイコは私が放棄した研修で好成績を収め、今や学園の副学園長...ノンブラッディ
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第四十六話 大事なもの
私とお依亜さんのことを、気づくものは誰一人としていなかった。
そして、祝言をあげ、忙しく本格的に我久屋で働きだした。
奉公人のるか。その存在を知っている者はこの世界に一人としていない。
魔界の掟を破ってまで、こちらを選んだ。
両親、種族、親友、たくさんの者を裏切っ...ノンブラッディ
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第四十五話 彼女の明日
お依亜さんから、少しずつぬくもりが消えていく。
それを私は見守るしかできない。
できるだけ苦しまず、楽に。
それが私がしてあげられる、ただ一つのこと。
「馬鹿だと思うでしょう……?」
こんなときでも、お依亜さんは笑っていた。
悲しそうに笑っていた。
「でも、あの人も...ノンブラッディ
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第四十四話 選択
かたり。
微かな音をさせながら、私は真夜中に部屋へ入った。
私ども奉公人の部屋ではない。
若旦那の許婚の、お依亜さんのへやである。
「……ごめんなさい……」
あれから、二日たった。
私は考えに考え、私がお依亜さんを殺せば、若旦那を陥れることができると気がついた。
許婚を亡...ノンブラッディ
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第四十三話 あなたを殺して、私は
「私を、殺して」
そう言ってきた。
少し暖かい、夕暮れだった。
お依亜さんは、涙をいっぱいに溜めて、そう私に懇願してきた。
彼女が死ぬ理由など、なにもない。
若旦那との縁談は、本決まりになって、幸せなはずなんだ。
それなのに、どうして彼女はいま、こんな泣き...ノンブラッディ
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第四十二話 気がついたのは
はやく、しないと。
早くしないと時間切れになってしまう。
もう研修が始まって二週間が経った。
本来の予定ではもう帰っているはずだったのに。
どうして……どうして、あの若旦那を陥れることができないんだろう。
何度も取り込もうとした。
洗脳しようともした、感情をなくそ...ノンブラッディ
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第四十一話 許婚
若旦那を陥れることは、私の想像を遥かに超え、困難を極めた。
なんといっても、一店主して次代を担うとは思えないほどの、能天気。
金子の管理は番頭に任せきり、注文をすぐに忘れる。
陥れるのは持って来いの人材なのに、我久屋へ奉公に来て七日が経っていた。
なぜこんな者が、若旦那になる...ノンブラッディ
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第四十話 我久屋
我久屋の若旦那は、あれこれ私に話してくれた。
こんなただ今日から奉公するだけの、見ず知らずの娘に、こんなに色々話していいのか。
それは、心の奥に秘めておくことにしよう。
「……あら、若旦那。お客様ですか?」
唐紙が開く音とともに、鈴を転がすような澄んだきれいな声が聞こえた。
...ノンブラッディ
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第三十九話 若旦那
私に研修として言い渡された場所は、≪人間界≫の≪江戸時代≫というところらしい。
さまざまな文献や資料を参考にして、生活習慣、言葉づかい、礼儀作法、文化、どれもこれも完璧にしてきた。
これで私が人間ではない、もはや≪悪魔≫であるとは、誰にもわかる筈がない。
重苦しい下界へ...ノンブラッディ
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第三十七話 悪魔の人
「君には学園をあげて期待しているからね……ああ、そうだ、実に物分かりがいい」
私の前に立った学園長は、私の発言についてそう言った。
私の「私が学園長室に呼ばれた理由は要するに、すぐれた成績をこの研修で修め、他の生徒たちの手本となるように、ということですか」という質問にだ。
...ノンブラッディ
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第三十六話 昔々のそのまた昔
「……あ、おかみさん、よかった……。目が覚めましたか?」
目を開くと目の前にいたのは、私が娘を任せて逃がした、奉公人の姿だった。
しかしただの奉公人ではない。
彼は、魔界からきた、≪ヴァンパイア族≫だ。
「私がここに来た時には、もうおかみさんは倒れていましたよ。お...ノンブラッディ