Turndog~ターンドッグ~の投稿作品一覧
-
ぐらりと傾ぐ身体。
ふわりと消える音波。
タイムリミットを迎えたミクの体は、もはや完全に動きが止まっていた。
(やっちゃった……まさか……もう20分経っていただなんて……!!)
わかっていたはずだった。自分の体は20分しか動かせないことを。それ以上闘おうとしてもただの的にしかならないことを。
そのこ...輝く鏡、拡がる音 Ⅴ~鏡の音、覚醒~
-
低い駆動音を鳴らしながら、静止する空中戦艦『破壊者《デストロイア》』。
その船の中では、『TA&KU』の四人が余裕綽々とした様子で操縦を行っていた。
「くく……この船をまともに飛ばすのはかれこれ5年ぶりだが……思ったよりまともに動いているじゃねえか、安治よ?」
田山権憎に声を掛けられた安治怒羅介は、...輝く鏡、拡がる音 Ⅳ~ミク、孤軍奮闘~
-
~~~かなりあ荘、Turndog視点~~~
あ……ありのまま今起こったことを話すぜ!
『ゆるりー家のミクさんが遊びにきたと思ったらいきなり何もないところで盛大にすっ転んだ拍子に時限転移用PCに吸い込まれて行った』
何を言っているかわからねーと思うが俺も何が起きたのかわからなかった……
世界最大級のド...ヴォカロ町に遊びに行こう 12【コラボ・d】
-
「ターンドッグさん、ネルちゃん呼んでくだs」
『あたしならここにいるよちびボカロね!?』
「え、えっ!? な、なんでわかったの!?」
「カマかけてみた!!!!」
「……おい」
この間、俺の部屋の扉が開かれてから3秒間のことである。少なくとも俺はこれ以上速い改造受注のシーンをこれまでに見たことがない。...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑨~
-
「……あ!」
不意にリンとレン、そしてルカが声をあげて駆け出した。
走っていくその先には、『ネルネル・ネルネ』から出てきたミクとメイコの姿が。
その様子に気づいたのか、少し離れたところで待っていたカイトとグミもミク達の元へ近づいてきた。
「ミクちゃん! もう……大丈夫なの?」
「うん! 平気平気!!...輝く鏡、拡がる音 Ⅲ~破壊者《デストロイア》~
-
機械。
それはまさしく、人間の技術の結晶であり、人間が極めた科学のある種の形態だ。
油や電気を喰らうことで、知能の代わりに力を捨てた非力な人間に不可能なことを可能にしてきた。
発達した機械は武器としてある種の変貌を遂げる。―――――そう、普通の動物にはまず不可能な、『鋼鉄の超遠距離攻撃』―――――銃...四獣物語~獣憑戦争編③~
-
『さて―――――』
ロシアンが斜に構えて、私の事を見上げた。
『避難は終わったか?』
「ええ、全員シェルターに避難完了」
『よし。ではルカ……まずは心透視で町全体のヤクザを洗い出せ』
『O……K!!』
全身の発音器官を揺るがし、町一杯に調査音波『心透視』を広げた。因みにうちのボカロ達は喉だけじゃなく...ヴォカロ町に遊びに行こう 10【コラボ・d】
-
――――――――――深夜。
先生とルカちゃんも、そしてめーちゃん達も寝静まった頃。
私とロシアンだけは、ボカロマンション前の公園で静かに対峙していた。
『……準備はいいか?』
「ええ、もちろん」
全身に装備した鉄鞭の状態を軽くチェックして、ロシアンの問いに答えた。
『―――――では、行くぞ』
唸るよ...ヴォカロ町に遊びに行こう 8【コラボ・d】
-
『ネルちゃん、お願いがあるの』
――――――――――何気なく考えた、受験生カルテットを祝うためのセール。
俺は今さらだが―――――このセールは双方にとって大成功だったのではないかと思った。
『ちびボカロを―――――作ってください!』
目の前のちずさんとゆるりーさんに、ロケット砲のように飛び込んで抱き...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑨~
-
「……ん~……よし、おっちゃん! これとこれ2つずつ、あとこいつ3つにこれ4つね!」
「おうよ! ところであんちゃん、一人旅かなんかかい? このへんじゃ見ない顔だなぁ」
「へへ、一人旅ではないんだけどね。双子の妹と一緒にちょっと冒険ってところかな」
「そいつぁ豪気だねえ! 気に入った、こいつも持って...四獣物語~獣憑戦争編②~
-
《ててーんててーんててーんててーてててん♪》
ミクとロシアンと3人でルカちゃんと先生をからかっていると、いきなり私の携帯が鳴った。
このメロディは…………………。
「ダブルラリアットですか?」
「自分の曲を着メロにしてるのか……」
「い、いいじゃない別に……」
だがそんな悠長なことも言っていられない...ヴォカロ町に遊びに行こう 6 【コラボ・d】
-
「ほほぉ。このIHコンロを修理してくれ、と? どこも壊れていそうにはないけれど」
「しるるさん曰く、ただの持ち運び用で機能がいろいろ簡略化されてるから普通に使えるようにしてもらって、と」
「ふーん……そりゃつまりあたしの自由にしていいってこったね?」
「ま、まぁそうなるのかな……」
『きらーん』とい...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑧~
-
――――――――――ねえ、あなたは幽霊がなぜ現世に残るかについてどう思う?
なんでこんな質問するのかって? そりゃあ、このかなりあ荘には一人幽霊が住み着いてるじゃない? だから何となく気になって?
で、どう思う? ……ふぅん、そんなふうに考えるんだ。
私はさ、幽霊ってのは現世の人間に大切なことを伝え...【単品】幽霊のココロ~遺したい想い~
-
―――――幕末に生きた人斬りは、現場に『天誅』の一言を残した。
意は『天に代わって罪深き者を罰する』という正義の意思表示。
それに倣い、未来と流歌は人を切り刻み、叩き潰し、焼き尽くした町や国に、『天誅』と書いた紙を一枚置くようになった。
そうやって真似をしているうちに楽しくなってしまい。
更に人を殺...四獣物語~獣憑戦争編①~
-
やぁ、マスター。
今日はどんな用事だい? 歌? それとも喋り? できれば歌がいいね。喋りはまだまだ苦手だよ。
いや、文句は言うべきじゃないな。値段以外はVOCALOIDよりも劣るこのボクを使ってくれるマスターに対してね。ははは。
で、何の用事だい? ……えっ?
…………ボクを実体化させる機械を作った...【テト誕】April Fool~嘘つきな恋心~【怨】
-
「ふむふむ成程、町について私についての情報を集めてたら、これにいきなり襲われて、軽くいなしてたところに私たちが来て、その隙を狙って噂のチョークアタックをぶつけたところパワーアップ補正で破壊力満点の一撃を叩き込んでしまい、巻き添えでロシアンがぶっ飛んだと……」
『巻き添えというわりにはこの吾輩でも冗談...ヴォカロ町へ遊びに行こう 4【コラボ・d】
-
「……大丈夫だといいがなぁ」
ゆるりーさんのがっくんとルカさんを見送った後、俺はぽつりとつぶやいた。
「まだ言ってるんですか? 本人たちも言ってたし、たぶん大丈夫だと思いますよ?」
「……だといいがなぁ」
もう一度言葉を繰り返す。
確かにヴォカロ町は平和な町だ。だが平和と言っても、『あの世界』基準で...ヴォカロ町へ遊びに行こう 2【コラボ・d】
-
「さてっとぉ!!」
どっかりとカウンターに腰を下ろし、俺の部屋の扉を輝く眼で見つめるネル。その扉が開くのを、今か今かと待っている。
「ネル……いくら何でもそうそう同じ日に客が現れたりはしないと思うぞ……?」
「わかんないでしょっ!?」
「じゃあせめてもう少し屋台を前にな、机が開いてくれんと勉強もでき...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑦~
-
ネルが『スターシルルスコープ』を生み出してからかれこれ一か月ほど経った。
ネルはあの時の経験が生きてか、少ない材料で高品質の物を作ることにハマったらしく。
今では『ネルネル・ネルネ出張店』で売っている物はほとんど普段の半分から5分の1ほどの材料で作ることができるようになっていた。
そう、ネルはかなり...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑥~
-
「そいやああぁぁぁぁああああ!!!!」
――――――――――雪合戦。
「ほっ」
-―――――――――雪玉を投げ合うだけの楽しい遊び。
「どりゃああああああああああああ!!!」
―――――――――――――――のはずが。
いつの間にかカーブやスライダーやシンカーやシュートやナックルの乱れ飛ぶ超次元戦場へ...dogとどっぐとヴォカロ町!Part12-3~芸術的な戦術式雪合戦~
-
いろは・リュウトとの死闘から一週間。
メイコ、リン・レン、そして未だロリ化したままのルカは、『改造専門店 ネルネル・ネルネ』にて、ネルが現れるのを待っていた。
しばらくして……
《♪てんてんてててーん♪》
どこかで聞いたことのあるようなチャイムが鳴った後、奥の扉が開いてネルが現れた。その後ろからは―...輝く鏡、拡がる音 Ⅱ~満身創痍~
-
『……なんだと!?』
『TA&KU』の研究所で―――――田山権憎が声を荒げた。
「田山君? どうしたの?」
「……猫村いろはとリュウトが……敗れた」
歯ぎしりをしながら椅子を蹴飛ばす田山に、久留須飽花が思わず駆け寄る。
「嘘!? あの二人がやられるだなんて……何かの間違いじゃないの!?」
「奴等の良...輝く鏡、拡がる音 Ⅰ~プロローグ~
-
「ふぅ。すっきりした☆」
『俺がすっきりしね―――――よ!!』
憑き物が取れたような顔をしているルカさんに対し、付き物(主に自分の血とか)が大量にくっ付いている俺。シュール。
体は動くし、ダメージも残ってない。だが十数分に及ぶ痛みの記憶だけは俺の脳を締め上げるように残っている。
「はいはい、ごめんご...dogとどっぐとヴォカロ町! Part12-2~青い少女の憂鬱~
-
~どっぐちゃん視点~
年が明けてからもう、既に二月が経ってしまった。
まだまだ寒さは厳しいけれど、日も少しずつ伸びてきて、いつか来る春を予感させる。
そんな―――――二月の末のこと。
「あれ? どっぐちゃんどうしたの?」
不意に声を掛けられたあたしは、何気なく振り向いた。
と、真正面に―――――――...dogとどっぐとヴォカロ町! Part12-1~ルカさんの照れ隠し(物理)~
-
―――――それは小さな一言だった。
「ねぇどっぐちゃん、髪伸びて来たんじゃない?」
「ふぇ?」
遊びに来ていたネルに呼びかけられて、どっぐちゃんが振り向いた。
言われてみれば、確かに随分と髪の長さが伸びたような気もする。年明け前に切ったはずなんだけどなぁ……。
「ちょっとあたしが切ったげるよ!」
「...dogとどっぐとヴォカロ町!~改造専門店ネルネル・ネルネ出張版⑤~
-
世界には、主役と脇役がいる。
主役がいなければ物語は始まらず、脇役がいなければ物語は色付かない。
だが主役と脇役は別にあらず。視点を変えれば主役と脇役は表裏一体。
ある者が主役のつもりで動いていても、他の誰かから見れば脇役の一人でしかない。
そう、皆が主役であり、皆が脇役。それがこの世界の理だ。
…...【カイト誕】完全で瀟洒な雑用係【ヴォカロ町の脇役】
-
―――――――――――――――少女は眠りについていた。
一気に4人もの規格外の獣憑きを作り上げたため、体力が限界に来ていたのだ。
しばらくは休んで、身体に力をため込む必要があった。
そうでもしないと、『解けて消えてしまうかもしれない』から。
『いつか来るべき闘い』のために、『戦える身体』になっておく...四獣物語~電子の虚構重音テト~
-
レンが町を出てから数日後。
「うーん……」
悩んでいた。
幻獣少年は悩んでいた。
(しまったなぁ……もうちょっと金持ってくりゃよかったか……)
単身で荷物もあまり持たずに飛び出してきてしまったために、大した金を持ってきていなかったのだ。
案の定―――――現在レンの所持金:0円。もはや食べ物すら手に入...四獣物語~幻獣少年レン⑦~
-
もそ、もそ、もそ。
ほかほかのご飯を噛み締める音だけが、ジムの中に響いていた。
律も、煉も、俺も。誰一人として言葉を発することなく。
昨夜の大騒動の後、俺に潰されたと勘違いして気絶していた豚饅頭の役人は警察に連れていかれた。
どうも俺たちへの脅迫以外にもいろいろと裏で悪事をやっていたらしく、タイミン...四獣物語~幻獣少年レン⑥~
-
『…………!』
律と煉の耳が同時に動く。
聴覚の敏感な二人にとっては―――――あまりにも耳障りな音。
「……聞こえるね」
「ええ……大勢でここに迫ってる」
その数秒後の事だ。
《―――――ガシャンっ!!》
入口の扉が壊され、入ってきたのは―――――大勢の獣憑きを連れた、役人だった。
「……町の皆まで...四獣物語~幻獣少年レン⑤~
-
《……やれやれ、こいつは少々厄介な獣憑きが流れついちゃったもんだ……》
意識の端で、何やら声が聞こえる。
目を開けてみると、そこには赤い髪の少女が座っていた。
俺が目覚めたことに気付いた少女は、俺の顔を覗き込んで小さな笑みを浮かべた。
《やぁ、レン・ミラウンド。目が覚めたようだね》
『……あんたは?...四獣物語~幻獣少年レン④~
-
翌日の夜。
俺は一人で散歩に出ていた。
ふと、ジムのことを考える。
俺を生んだ直後に肺塞栓で母親は死に、父親は夜逃げし、妹とも病気により離れ離れになって、一人残された俺を拾ってくれたのがジムの創設者であり、天才ボクサーと言われた狐の獣憑き・波音妖狐―――――律の母親だった。
妖狐は得体のしれない獣憑...四獣物語~幻獣少年レン③~
-
《ビィィィィィィィ―――――――――――――――ッ!!!》
部屋の中で、激しいブザーが鳴り響く。
真ん中には正方形のリング。そこで俺と対峙しているのは―――――赤い髪の『少女』。
どっしりと構えて、拳を握りしめ俺を鋭く睨みつけてくる。
相手は自分から動くことのないカウンター型だ―――――仕掛ける...四獣物語~幻獣少年レン②~
-
――――――――――みんなは、空想上の動物、というものを信じるだろうか。
そう、例えばペガサスとか、グリフォンとか、フェニックスとか。
そんなもの存在するわけがない―――――そう笑うだろう。もちろん俺もそうだ。
では――――――――――奇跡は信じられるか?
それは存在するさ、だけど自分で起こすものだ...四獣物語~幻獣少年レン①~
-
――――――――――夢を、見ていた。
2年前の夢。嬉しかったあの日の夢。
あのバカが、忘れちゃった二人の記念の夢。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私、巡音ルカは珍しく悩んでいた。
(……何で……何で誰も何も言ってくれないのかしら……)
...想起『2年前』